第三十七部第一章 辺境の兄弟その二十二
「決してな」
「むしろ品性は高いのですね」
「そちらは」
「人間としてもその品性は高い方だ」
高潔ではないにしてもである。この辺りが微妙に言葉の意味合いが違うのである。だから高潔ではないが品性は高いと評されるのである。
「エウロパ貴族に相応しくな」
「そしてカリスマもあるのですね」
「それも」
「容姿も関係してのことだ」
カミュは容姿端麗、眉目秀麗でも知られている。その美貌はまさに貴族の美貌そのものだと謳われてきているのである。そこまで高く評価されているのだ。
「だがその高く止まった発言や行動がかえって人々を惹き付け」
「カリスマとなっている」
「そうなのですね」
「敵も多いがな」
こう言い加えられはした。これはカミュの日頃の発言や行動から致し方のないものだった。つまり味方も多いが敵も多いというわけなのだ。
「それもかなりな」
「しかしカリスマはあると」
「そうなのですね」
「その通りだ。カリスマは確かにある」
こう強く断言するクリシュナータだった。
「それもかなりな」
「それを考えますと」
「似ているのでしょうか」
彼の話を聞くうちに秘書はこう述べだしたのであった。
「連合のあの長官に」
「八条長官に」
「そうだな。丁度裏返しになるか」
クリシュナータは彼等の言葉を聞いてから述べたのだった。
「あの長官を白とすれば彼は黒だ」
「黒ですか」
「あの外相だ」
「そうだ。黒だ」
色で述べていた。これは彼等がわかりやすいようにだ。色というものは目に入ることにより必然的にそのイメージを作り出すものだから述べたのであった。
「彼はな」
「裏返しだからですね」
「白に対して」
「八条長官は政治においてプラスの力しか使わないし知らない」
それでやっていけるのはそれだけ彼の能力が高いからだということだがそれと共にそうしたことに縁がなくても済む恵まれた環境も影響している。
「そしてそれに対してだ」
「カミュ外相は謀略にも長けている」
「そして政治の裏にも」
「そういうことだ」
ここで答えが出た。結局はそういうことなのである。
「彼はそういう世界も知っている。貴族としてな」
「貴族なのですね」
「だからこそ」
「貴族の世界は表は華やかだが裏では陰惨としていたりもする」
これは古今東西共通のことである。宮廷で血生臭い政治闘争がなかった国はない。どの国も激しい権力闘争が行われてきているのである。
「その中にいるからこそだ」
「知っていると」
「そうしたことも」
「その通りだ。プラスもマイナスもだ」
それが大きいと。シャイターンはその言外で述べていた。
「知っていて使うことができる」
「それもバランスよくですね」
「尚且つ臨機応変に」
秘書達はこう言っていくのだった。
「合わせて持っていてそのうえで使う」
「これは大きいですね」
「その彼が改革党から出る」
クリシュナータはそのことを強調したのだった。
人気サイトランキング
小説・詩ランキング
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。