ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第三十七部第一章 辺境の兄弟その十二
「それはいいとしよう」
「王として褒められるべきのことだ」
「全く。限度がこれであればな」
「私も言うことはないのだが」
 そんなことを言い合いながらさらに食べていく二人であった。そして二人の妃は笑顔でそんな彼等を見守っているのであった。幼い時のまま。
 この話は中央政府にも伝わっていた。クリシュナータは一連の話を聞いたうえで述べるのだった。
「相変わらずの二人だな」
「はい、全くです」
「困ったことです」
 彼の近くにいる私的な秘書達がその言葉に応えていた。彼等は今首席宮の首席の執務室にいる。そしてそこで話をしているのだった。
「何をするにしても」
「そうして揉めるのですから」
「揉めないで話が済んだことがあったのでしょうか」
「覚えがありませんが」
「私が記憶している限りではだ」 
 クリシュナータは執務室のソファーに座り紅茶を飲んでいる。その上等な白いカップを右手に持ちそうしながらその秘書達に対して話す。
「ないな」
「やはりありませんか」
「あの王と宰相の代になってから」
「うむ、ない」
 断言さえするのだった。
「はっきり言ってな。ない」
「ありませんか、やはり」
「それは」
「あの二人は何かにつけ常に意見衝突をしている」
 彼も言うのだった。そのことを。
「一方が緊縮策を言いもう一方が放埓案を言う」
「そうですね」
「まさにその通りです」
 彼等は口々に話していく。
「おかげで我々も調整に苦労します」
「何かにつけですから」
「しかしだ」
 だがここでクリシュナータは言うのだった。
「それはいいことだ」
「いいのですか?」
「あれだけいがみ合っているというのに」
「あれはいがみ合いではない」
 彼は言うのだった。
「あれはな」
「いがみ合いではないのですか」
「常に衝突しているというのに」
「二つの強烈な個性が同じ場所に存在していればそうなる」
 こうも言うクリシュナータだった。
「ああしたふうにな」
「いがみ合うというのですか」
「ああした風に」
「だから別にどうということはない」
 彼はまた言うのであった。
「どうにもな」
「そういえば衝突は常にすぐに終わりますね」
「それも後腐れなく」
 秘書達は口々に述べた。
「そして話は終わって」
「また次の衝突になっています」
「だから問題はない」
 彼の言葉は続く。
「後腐れがないのだからな」
「確かに遺恨は感じられませんね」
「実際に」
 秘書達もそれに気付いたのだった。気付いてみるとそうなのだった。
人気サイトランキング site_access.php?citi_id=254078182&size=200小説・詩ランキングcont_access.php?citi_cont_id=343008101&size=200


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。