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第三十六部第一章 エウロパの英雄その二十一
「差別を制度化するなんてな」
「あいつ等は馬鹿だ」
 ただしマウリアのカーストはこれといって批判しない。これは最早カーストは法律では禁止されているせいもあるがそれ以上にやはりマウリアが連合と長きに渡る盟友だからだ。それに対してエウロパは連合の敵だ。その違いによりマウリアはあまり言われないのだ。
「所詮白い肌だけの奴等だ」
「本当にな」
 連合ではかえって純血の方が珍しい。なお純粋な白人や黄色人、黒人もいるが彼等が差別されるということもない。あくまでエウロパだけ批判するのである。
「そんな連中が何ができるんだ」
「あのまま朽ち果てろ」
「酔い潰れたままだ」
 彼等の偽らざる本音である。
「何かまた総統選挙らしいけれどな」
「ああ、そうか」
「もうか」
 エウロパの情勢も伝わっているのだった。これはサハラやマウリア経由である。なおエウロパもこのルートで連合の情報を入手している。
「もうそんな時期か」
「思ったより速いな」
「確か四年に一度だったよな」
 その選挙が行われる感覚である。
「エウロパの総統選挙はな」
「その四年か」
 彼等はあらためてそのエウロパ総統選挙のことを考えるのだった。
「今度はあれだろ?ラフネールは出ないんだろ?」
「そうらしいな」
「出たくても出られないだろ」
 一人がラフネールについてこう言った。
「何しろうちに負けたんだからな」
「それの責任取ってか」
「そうらしいな」 
 こう離されていくのだった。
「戦争に負けた責任がやっぱりあるからな」
「それにもう二期務めてるよな」
「三期じゃないのか?」
「確か三期だったぞ、あいつ」
 つまり十二年である。それだけの歳月の間総統として務めていたのである。
「それにもう歳だろ」
「政治家としちゃまだそんなに歳じゃないだろ?あいつ」
 エウロパの総統とはいえ他国、しかも敵国の国家元首であるからあいつ呼ばわりであった。やはりここにもエウロパへの反感が出ていた。
「それで引退か」
「やっぱり敗戦の責任取ってじゃないのか?」
 こう話されるのであった。
「任期よりもな」
「それだろ」
「やっぱりそれか」
「考えてみればそうだな」
 彼等はラフネールが選挙に出ないとすればそれだと結論を出しかけていた。
「あれだけ派手に負けたらな」
「責任を取らないといけないか」
「そういうことだな」
 これが結論になった。それでラフネールのことはわかったということになるのだった。
 そしてそのうえで。彼等はさらに話していくのであった。当然その間も酒に料理を次々とその口の中に入れて飲み食いしていくのである。
「それじゃあ次の総統は誰だ?」
「エウロパの総統は」
「さてな」
 ところがそれはわからないというのだ。
「誰なんだろうな」
「本当にな」
 これについては誰もわからないのだった。皆首を傾げている。
「とりあえずあのフランス貴族の代わりに改革派から出るのはだ」
「ああ」
「誰だ?」
 この場合のフランス貴族とはラフネールのことである。彼はフランス人であるのだ。
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