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第三十五部第五章 サハラの軍律その七
「掃海艇だけを行かせてもそこを狙われる」
「そうですね。敵もそれを狙っています」
「こちらが掃海艇を出せば間違いなく主力を出してくるでしょう」
 実に容易に想像できることであった。
「そうなればやはり同じです」
「それをどうするかですが」
「既に考えはある」
 アッディーンは述べた。
「それはな」
「そうですか。既に、ですか」
「では閣下」
「それは次の会議の時に言おう」
 今は言おうと橋なかった。そこにも考えがあるかのように。
「次にな」
「わかりました。それでは」
「その時に」
「あの要塞を破っても次がある」
 彼は第四の防衛ラインを突破してそれで終わりだとは最初から思っていないのであった。それは他ならぬ彼自身が最もわかっていた。
「次がな」
「そうですね。次があります」
「その最後が」
「全てを陥落させてやっとだ」
 アッディーンの言葉は部下達よりもさらに先を見ているものであった。
「その次に取り掛かれる」
「ハサン中心部への進撃ですか」
「できれば王都は我が軍で陥落させたい」
 遥か先である筈のこのことにももう考えを及ばせていた。
「是非でもな」
「その通りです。首都はまさにその国の中心ですから」
「そこを抑えておくと統一にかなり楽になります」
 部下達も軍人である。しかもアッディーンが選んだだけのものがある。それならばこの程度の戦略眼があって当然のことであった。
「では要塞を全て陥落させた後はそれですね」
「王都を目指し」
「急ぐ」
 今度は一言であった。
「その場合はな。急ぐぞ」
「電撃戦ということですね」
「その通りだ。今までもそうだったがその時も素早く攻める」
 アッディーンの軍事行動の特徴であった。圧倒的な機動力を使いそのうえで迅速に兵を進めていく。これが彼の用兵の大きな特徴である。
「すぐにな」
「はい、わかりました」
「ではその際は」
「攻める。そしてその為にも」
「残る二つの要塞を最低限の損害で迅速に陥落させる」
 ここで戦略が述べられたのだった。
「それですね」
「そうして王都も」
「今はこの場所を拠点にしているがその際が五つの要塞全てを補給ラインとする」
 即ち敵の基地を利用するということであった。敵のものを奪いそれを利用するというのもやはり戦争にとって非常に価値のあるものである。
「そのようにしてだ」
「わかりました。それで閣下」
「どうした?」
 アッディーンは部下達の言葉の調子が変わってきたのをすぐに察した。
「今は何かあったか」
「そろそろ夕食の時間ですが」
「どうされるでしょうか」
「そうか。もうか」
 彼等の言葉を聞いて部屋の壁にかけてある時計を見る。見れば確かにいい時間であった。それを見れば確かにいい時間であった。
 彼等の言葉とその時間を見てアッディーンは。また言うのであった。
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