第三十五部第四章 軍律研修その二十五
「あそこだけはな」
「まさか」
「それはないだろ」
周りはそれは流石に否定した。
「鉄拳制裁とかはな」
「だよな」
連合軍ではそれは否定されている。体罰自体が完全に禁止されているのだ。それを行った場合容赦なく憲兵隊に通報され取り調べられるのである。
だからだ。彼等もその常識の中で話をするのであった。
「それだけはな」
「幾ら何でもないだろう」
「向こうにも憲兵隊いるんだろう?」
そしてこのことも話された。
「やっぱりな」
「憲兵のいない軍隊なんてあるか」
「そうだよ」
憲兵は言うならば軍内部の警察である。警察の存在しない世界なぞ存在しない。それがなくては治安を守ることができないからである。
「あるよ、それはな」
「ちゃんとな」
「じゃあやっぱりないだろ」
憲兵の存在が確認されたうえでの言葉だった。
「それ幾ら何でもな」
「体罰とかはな」
「正規軍だったらな」
だがここでこの注釈がついたのだった。
「連合軍だったらな。それは当然になるな」
「連合軍だったらか?」
「それだったらか?」
「ああ、俺達だったらな」
ここでは正規軍がそのまま連合軍とされていた。義勇軍は連合軍ではないというのである。ここに連合軍の意識がはっきりと見られた。
「それはないさ。連合だったらな」
「向こうは違うっていうのかよ」
「サハラだからな」
連合ではなくサハラと考えられるのであった。彼等については。
「サハラってそんなのあるのか?」
「鉄拳制裁とかよ」
「いや、人権の発想自体が希薄だろ?」
こう思われているのだ。連合から見れば。
「サハラってな」
「鉄拳制裁程度はあるいっていうのかよ」
「それじゃあ」
「有り得るか?」
彼等はそう考えていくのだった。
「サハラだったら」
「何せ戦争ばかりしているからな」
「教育だって相当厳しいらしいしな」
この場合は新兵教育等だけではない。子供の教育もだ。かなり厳格なイスラム社会であるサハラは連合から見ればそういう評価もあるのである。
「それもあるんじゃないのか?」
「けれどそれは流石に見たことないぜ」
「俺もだ」
目撃の話が検証されるがそれはまずは起こらなかった。
「流石にそれはな」
「ないよな」
「ないんじゃねえのか?結局のところは」
そしてこうも言われるのだった。
「やっぱりな。義勇軍でもな」
「そうじゃないのか?」
また話されていく。
「幾ら何でも体罰とかな」
「普通に叱責が精々だろ?」
連合ではそれさえもかなり感情的な罵倒だと問題になる。もっとも教師の中にはそうした罵倒はおろか異常な体罰を行う教師も存在している。教師という職業はある意味においてきわめて大きな特権を持っている職業でありどのような無能な人物や異常な人物でも教師としてやっていけるのである。もっともそうした教師というのはやはりごく一部であるが。それでもそうした教師が何時までも存在するのも事実だ。
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