第三十四部第二章 風の変化その十一
「サハラが一つになったその時にもな」
「その時にもですか?」
「この五重の防衛ラインは南から北に向かう為の重要なルートにある」
軍事的にかなり重要なルートである。オムダーマンからハサンに向かうにはこのルートを通るのが最も近い。そして交通も容易であるのだ。だからこそオムダーマン軍はこのルートを進んでいるのである。
「そこを固めれば例え東方のかなりの部分を抑えられても」
「ルートを押さえてさえいれば」
「そこからの南下は止められますか」
「少なくともかなり遅らせることはできる」
これが彼の考えであった。
「間違いなくな」
「ではその為にもですね」
「この五重のラインを固めておく」
アッディーンはまた言った。
「あらゆるケースを考えておきたい」
「はっ、それでは」
「そのように」
ガルシャースプとバヤズィトが彼の言葉に頷いた。
「致しましょう」
「まずはこの要塞を」
「そうしてくれ。さて、まずは先程話した艦艇を集める」
アッディーンはここで話を元に戻した。
「それからだな」
「暫く時間があります」
ラシークが述べてきた。
「その間は」
「基地化は何度も言った通りだ」
これはそのままとした。
「しかし進撃しないからといって何もしないというわけではない」
「それでは」
「今まで占領した宙域の軍政も進めていく」
それについても考えているのだった。
「今はかなり安定しているがな。それでもだ」
「これにつきましてはやはり軍規軍律を徹底し穏健なものにしたのがよあったようです」
ガルシャースプはこのことについても述べてきた。
「今我が軍は占領した宙域については市民の安全と経済活動をかなりの範囲で保障しています」
「その通りだ」
アッディーンが命じたことなのでよくわかっていた。
「やはりそれがよかったな」
「その通りです。これは連合軍のものに倣ったのでしょうか」
ラシークはまた彼に問うてきた。
「やはり。そうなのでしょうか」
「そういえば以前の我が軍の軍政は」
「ここまで緩やかではなかったような」
司令達もこのことに気付いた。オムダーマン軍の軍政はこれまでも軍規軍律は厳しかったがそれと共に占領した宙域も民政に移管するまでかなり厳格なのであった。経済活動も厳しく規制しそのうえでかなり締め付けてきていたのである。それがオムダーマン軍のやり方だった。
「しかし今回はかなり」
「何故ですか?」
「やはり連合軍のやり方を見た」
アッディーンもそれは認めた。
「それは事実だ」
「やはり」
「そうでしたか」
「エウロパで行っていたあのやり方だ」
見ていたのは当然ながらそれであった。
「あれを真似てみた」
「だからでしたか」
「厳しく締め付けるより緩やかに治めた方がいい」
アッディーンはこうも言った。
「その方がな。いいものだ」
「宜しいのですか」
「経済活動が活発ならばだ」
話は経済にも及んだ。
「その分流通がよくなる」
「はい」
これは完全に経済の話だった。軍人はどうしても軍事の専門家であるが故に経済には疎くなる。それは仕方のないことだがそれでもアッディーンは今その経済を見て話をするのだった。
人気サイトランキング
小説・詩ランキング
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。