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第三十四部第一章 他勢力の目その十六
「それでどうかと思ったのですが」
「敵愾心を利用するのはいいけれど」
「やはりそれでも問題がありますか」
「どうしてもね。それにしても」
 カバリエはあらためて腕を組んだ。
「今度の新国家建設は難しいわね」
「確かに」
 このことは二人共強く認識していた。
「果たして。何処に置くべきか」
「開拓省も悩んでいるわ」
「あちらもですか」
「普通に辺境の何処かの星系に設けてもいいのだけれど」
 これは新国家建設の際によく行われる。その辺境の場所に移住者が入りそのうえで国家建設となるのだ。なお新国家建設には前以って中央政府から承認が必要だ。移住にしろそうでありそれにより無軌道な勢力圏拡大や新国家乱立を防止しているのである。
「それもね」
「事情が普段とは異なりますし」
「軍事で成り立つしかない国家」
 あらためてその国家形式が述べられる。
「今そうした国家が成り立っていけるかどうかもあるし」
「かなり問題です」
「それでも国家は築かれるのね」
「そうですね」
 これはもう決まっているのだった。
「閣議でも議会でも。まだ議決等は行われていませんが」
「それはまだね」
「はい。まだ決まってはいませんが」
「難民次第だけれど」
「彼等はそれを望んでいます」
 八条はそこに一言付け加えた。
「ただ。望んでいる方もおられるということですが」
「中には故郷に帰りたいという人もいるでしょうね」
「おそらくは。既にサハラにいる難民達は続々と故郷に帰っていますし」
「平和になれば人が戻る」
 戦争の後に必ず起こる事柄の一つである。
「それは当然の流れだけれどね」
「やはり連合の難民問題も無縁ではありませんし」
「さて、どうなるかしら」
 カバリエは言った。
「そういった問題は」
「難民は今までは帰るか帰化でしたが」
「今まではね」
「はい、それで話は済んでいました」
 それでも様々な議論があったがそれでもだったのだ。少なくとも新国家建設にまで話が至ることはこの千年の間なかったことである。
「ですが今回は、ということですね」
「ええ。さて、話はこれで一段落ついたけれど」
 カバリエは状況を冷静に述べていた。
「これから。どうするの?」
「これからですか」
「国防省も暇ではないわよね」
「はい、それは」
 既に一連の話は終わり日常業務に戻っていた。カバリエの方が先にそれを感じ取っており八条が続く。そうして話を別のものにしていたのだ。
「今も。何かとやるべきことが」
「軍は書類仕事こそ真の戦場というわね」
「戦争は戦場で行われるだけではありません」
 八条は冷静に言葉を述べた。
「むしろ戦場の後ろでこそ」
「補給や整備も然り」
「そして書類もです」
 やはりそれもであった。
「そちらもまた。かなりのもので」
「そうね。書類もよね」
「戦争が行われている時は壮絶なものでした」
 語るその顔に苦笑いが浮かぶ。
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