第三十三部第五章 地上での決戦その十
「まずは基地を抑えよ!」
「いいな!」
まずはそれであった。そうしてまずは前以って宇宙から攻撃を浴びせていたその基地を次々と占領していくのだった。
その基地にはアヤグーズ軍の将兵は殆ど残ってはいなかった。だからこそ基地の制圧自体はそれぞれ何も問題なく進められた。
「基地の奪取ですが」
「順調だな」
「それ自体は順調です」
やはりアッサルームに降り立ったシャイターンに対して報告が述べられる。彼はその制圧した基地の中でもとりわけ大きなその基地に入ってそこを司令部としていた。
「それ自体は」
「基地は、か」
「そうです」
これは言葉のレトリックだった。
「基地自体は進んでいるのですが」
「アヤグーズ軍の将兵は」
「いません」
こう答えが返って来た。
「殆ど。残ってはいません」
「残っている将兵達は負傷して捕虜になるしかない者達で」
「彼等はどうした?」
シャイターンは彼等の処遇に対して問うた。
「彼等はどうしたのだ」
「既に捕虜にしました」
こう返答が返って来たのだった。
「宇宙へあげる用意を整えております」
「そうか。ならいい」
シャイターンはその報告に対して静かに頷いた。
「それはな」
「はい。そしてです」
「設備は。駄目か」
「既に破壊されております」
こうも報告が届いたのだった。
「我々が破壊した分もありますが」
「それ以上に。彼等が」
「アヤグーズ軍が破壊してきたというのだな」
「その通りです」
そういうことであった。アヤグーズ軍はただ基地を放棄したわけではない。こうして全てを破壊して撤退するのは基本的な戦術であった。
「物資もまた」
「全て持ち去られていたか」
「おそらく首都中枢に集めております」
「アヤグーズの中枢に」
そういうことであった。全ては最後の抗戦の為であった。
「全て集めております」
「何もかも」
「それでです」
彼等はさらに報告を続ける。
「今彼等はそこで護りを固めております」
「主席、そうなれば」
「わかっている。すぐに基地を制圧した将兵を集結させるぞ」
「はっ」
「それでは」
「そしてだ」
彼はここでも順調に作戦を進めていくのであった。この辺りの指揮は艦隊戦を行うにあたる時と全く同じで実に冷静沈着かつ的確なものだった。
「私もだ」
「主席も?」
「何かお考えが」
「ここでの惑星全体の指揮は適してはいない」
こう言うのである。
「この基地ではな」
「それではここを移られるのですか」
「では何処に」
「首都中枢の手前にあるA基地だ」
「その基地ですか」
「そうだ。そこに入る」
彼はそこから指揮にあたることを決断したのであった。
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