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第三十三部第三章 機雷戦その十四
「だが。速いに越したことはない」
「そうです」
「だからこそ」
「やっとか」
 ここでだった。ハサン軍の艦艇がようやく動きだしたのだった。少しずつその艦隊を整えてきたのであった。確かに少しずつであったが。
 その動きは当然ながらシャイターンにも見えていた。参謀達はそれを彼に対して告げた。
「艦隊を元に戻してきましたな」
「うむ」
 シャイターンは参謀の一人の言葉に頷いた。
「ようやくだな」
「どうされますか、主席」
 ここでその参謀は彼に問うのであった。
「このままでの速度では我等が射程に入るまでに艦隊を整えられてしまいますが」
「そうなってしまえば」
「速度をあげよというのだな」
 参謀達がここで何を言いたいのか。それは既にわかっているシャイターンだった。
「そういうことだな」
「御言葉ながら」
「ですから。ここは」
「よい」
 しかしシャイターンはここでは。動こうとはしなかったのであった。そしてこう言うのであった。
「速度はこのままだ」
「このままですか!?」
「ですがそれによって敵は」
「わかっている」
 こう答えるだけであった。話を聞いても。
「既にその動きもな。想定していた」
「ではどうして」
「ここで」
「来るな」
 彼等の言葉には応えずに呟いた。
「遂にか」
「遂に!?」
「一体。何が」
「見よ」
 いぶかしむ彼等に対して告げた、腕を前に出しその指で差し示したそこにあったものは。
「来たぞ、彼等がな」
「彼等・・・・・・なっ!?」
「これは・・・・・・まさか」
「いいタイミングだ」
 不敵に笑うシャイターンであった。
「丁度今ここで来てくれて。最高の状況になった」
「そうですか。彼等でしたか」
「その彼等を待たれていたのですか」
「最高の援軍だ」
 シャイターンの今の言葉は勝ち誇ってさえいた。
「彼等こそがな」
「では主席」
「ここは」
「そうだ。あえて速度はこのままだ」
 この指示は変えないのであった。何故ならば。
「機雷の動きに合わせよ」
「はっ」
「わかりました」8
 皆彼の言葉に頷く。今ティムール軍は勝利を確信して前に突き進む。しかしそれに対して協同軍は。思わぬ敵に足並みを乱していた。
「機雷だと!?」
「何故だ!?」
 それはアヤグーズ軍においても同じであった。各艦隊の司令達もまた突如として左手に現われたその機雷達を見て狼狽しだしていた。
「ここで出て来るとは」
「どういうわけだ」
「まさかとは思うが」
 ここでその艦隊司令の一人が言った。
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