ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第三十二部第三章 伝わる動きその十三
「他にも色々と工夫をしまして」
「全体のコストを減らしたと」
「いつも通りですな」
 首脳の一人がここで楽しそうに語った。
「コストを減らして的確にですか」
「そうです」
 八条はその首脳の問いに対して答えた。
「それを念頭に置きです」
「しかしです」
 別の首脳がここまで話を聞いて質問してきた。
「果たしてそれは成功していますか」
「といいますと」
「コスト削減自体はいいことです」
 政治家としてこのことを認識しているのは当然だった。費用がかかってはそれだけ国庫を圧迫する。ましてや出費だけで収入のない軍事費はそれが特に問題になる。
「ですがだからといって質が落ちればお話になりません」
「そうですな。それは」
「まさにその通りです」
 彼の言葉に幾つかの首脳達も応えて頷く。
「安くついても有事で役に立たなければ」
「何の意味もありません」
「長官」
 彼等はあらためて八条に対して問う。
「その辺りはどうなのでしょうか」
「質も保障できますか?」
「無論です」
 ここで八条はあらたなデータを出してきた。
「この配置を御覧下さい」
「むっ、これは」
「それは」
 またモニターに出て来た。それは防衛ラインの地域そのものの配置宙図だった。首脳達は今度はそれを見たのであった。
「如何でしょうか」
「むう」
「これはまた」
 見れば実に重厚長大な防衛ラインである。互いに護り合うよう、連携し合うように造られており艦隊配備も補給ラインも確かだ。幾重にも複雑に重ねられ尚且つ柔軟である。一見しただけで尋常なものではないことがわかる。それだけの密度を持つものであった。
「これならばまず」
「大丈夫でしょうか」
「例え二千個の艦隊が来てもです」
 なおサハラ全土合わせても二千個も艦隊はない。
「この防衛ラインは破ることはできません」
「左様ですか」
「それにしても」
 首脳達はそれを見てさらに言う。
「万全に万全を期していますな」
「整備工廟や艦隊の港だけでなく」
「補給基地までありますか」
「ここまであらゆる分野に充実しているとは」
「これはまた」
 あらためて感服する首脳達だった。
「あのアタチュルク要塞群にも対抗できますな」
「全くです」
「護りは万全であるべきです」
 八条ははっきりと前にいる彼等に対して述べた。
「だからこそ。これだけのものを」
「わかりました」
「そういうことですな」
 遂に首脳達の多くが彼の言葉に頷いた。
「では長官」
「はい」
「まずは期待しております」
「こん防衛ラインに施設に関しましては」
「有り難うございます」
 謙虚な態度で彼等の言葉を受ける八条だった。
「では。砕骨粉身して向かいます」
「そうですな。それでは」
「予算はこれでいいとしまして」
「計画もまた」
 双方について語られる。
「まずはよしとしましょう」
「皆さん、では採決を」
 採決に入る。その結果は八条にとって満足のいくものであった。連合はこれでまた護りを固めることが可能になったのだった。彼等にとっては実に大きなことであった。 
人気サイトランキング site_access.php?citi_id=254078182&size=200小説・詩ランキングcont_access.php?citi_cont_id=343008101&size=200


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。