ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第三十部第一章 戦利品その二十
「コピーもありますし」
「そうですね。それでは」
「そちらも頂きたいです」
「わかりました。ただ」
 ここで八条は少し念を押してきた。
「これはまだトップシークレットです」
「トップシークレットですか」
「そうです」
 言葉も表情も鋭いものになり部屋の雰囲気もそうしたものになった。このことからトップシークレットという言葉の重みが実によくわかる。文書の管理で言うと最重要機密扱いにあたるからだ。彼等は制服組のトップである元帥だからこそ見られるのである。それだけの地位にあるということなのだ。
「ですから読み終われば」
「わかっております」
「すぐにシュレッダーにかけそれから」
「はい。即座に再利用行きです」
 ここまで徹底されるのだ。情報管理において八条はかなり徹底させている。それでも幾らかの情報がマウリア軍に漏れ伝わったりしているという指摘があり彼も神経を尖らせているのである。情報管理というものはかなり徹底してもそれでも完璧はまず有り得ない難しいものなのだ。
「無論そちらの予算案もです」
「わかっております。これに関しても」
「承知しました」
「御願いします。さて」
 話が一段落したところでまた彼等に声をかけた。
「お話はこれで終わりです。お疲れ様でした」
「はい、それでは我々もこれで」
「退室させて頂きます」
「予算に関してはこれでいけると思います」
 最後にこう述べてきた。
「駄目ならまた案を練り直しますので」
「左様ですか」
「そう考えています。ところで御二人は食事は召し上がられましたね」
「それに関しましては」
「私も」
 二人の言葉はここでも一致した。話の内容は先程とは全く違っているが。
「そうですか。とはいっても」
「何か?」
「ティータイムです」
 にこりと笑って二人に言ってきた。二人はそれを聞いてすぐに己の手にある腕時計を見た。見れば確かにもうかなりいい時間であった。
「確かに」
「時間的には」
「では宜しいですね」
 二人の言葉を聞いてにこりと笑ってみせてきた。
「お付き合い願えますか」
「総監」
 バールがマトリョーフに顔を向けて問うてきた。
「はい」
「どうされますか?」
「私の方は時間はあります」
 マトリョーフはまずはこう述べた。
「ですが本部長はどうなのでしょうか」
「私もそれだけの時間は」
 あるということだった。答えとしては八条にとって満足のいくものであった。顔には出さなかったが心で穏やかに笑うのであった。
「そうですか。それでは」
「長官」
 ここまで話したうえで再び八条に顔を向けた。二人して。
「そういうことで」
「宜しく御願いします」
「誘いに応じて頂き有り難うございます。実はですね」
 八条はにこやかに笑って二人に述べた。
「抹茶でいいものが届きまして」
「抹茶ですか」
「そうです。コロンビア産で」
 この時代はコロンビアはコーヒーだけではなくお茶の栽培でも有名になっているのである。その栽培で連合ではかなり有名な国になっている。
「黄色いものですが」
「黄色い抹茶ですか」
「如何ですか」
 あらためて二人に対して問うのだった。
「黄色い抹茶は」
「面白そうですね」
「それでは」
 二人もそれに乗った。実際のところ軍人といえど人としての好奇心は存在する。機械でないのならばこれは当然と言えることである。だからこそ頷いて応えるのである。
 こうして三人で抹茶のティータイムとなった。黄色い抹茶はバールにとってもマトリョーフにとっても実に飲みやすく楽しい時間を提供するものであった。
人気サイトランキング site_access.php?citi_id=254078182&size=200小説・詩ランキングcont_access.php?citi_cont_id=343008101&size=200


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。