ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第二十八部第四章 原理主義者その二十七
「むしろその頭脳は恐ろしいまでに鋭いものがあります」
「そうした意味でも魔王なのです」
 八条はそこを見ていた。
「魔王はただ野心だけで魔王になるのではなく」
「その軍略と知略によっても」
「だからこそ彼は今に至ります」
 八条もまた今ここにいない男を見ていた。サハラにおいてその野心を胸に戦場を駆ける魔王を見ていたのである。
「北方をその手に収めただけではなく」
「後の政治も見事なものがあります」
「そう、それです」
 八条が言いたいのはそこであった。シャイターンはただ北方をまとめただけではないのだ。その後もまた注目すべきことであったのだ。八条はそこも見ていたのだ。
「政治なのです」
「サハラ北方は戦乱により荒れ果てていました」
 エウロパの侵攻もありそれはサハラの中でもとりわけ酷い有様であったのだ。それにより北方は難民の出る場所になり何もかもがなかった。だがそれは昔のことになっていたのだ。
「それが今では」
「不足なぞない世界になっています」
「そうです。瞬く間に」
 八条はそれを高く評価していたのだ。
「今では北方はその力も見事なものになっております」
「それだけの短い期間によってです」
「政治力も卓越したものがあります」
「頭脳もあります」
「政治家としても卓越し」
「力関係を見るのも敏です」
 話がさらに核心に入った。
「それにより」
「ハサンのあれですか」
「その通りです、やはりあれは」
「ティムールの謀略と確実に言えるでしょう」
 戦いの前にハサンの要人達が次々に謎の死を遂げた事件である。これは謎の死であるとされているが八条はもうその真相を確信していたのだ。
「証拠こそありませんが」
「全ては勝利の為にです」
「そうです。彼はこのままでは勝利を手に入れるのは難しいと考え策を弄しました」
 ディカプリオはこう述べた。
「勝てないと考えたせいです」
「だからこそ謀略を使ったのですね。それならば」
「統一してさらなる野心を持てば」
 八条に対して述べる。その目が光る。再び光ったのであった。
「それでどう動くかですか」
「連合に向くと思われますか」
 ディカプリオに問うてきた。
「その野心に燃えた目は何処に」
「それが連合に向くと思われるのですね」
「可能性は皆無ではありません」
 八条はそう述べるのであった。
「違いますか」
「確かにそうです」
 それはディカプリオも認めた。
「サハラの人口は二千億です」
「はい」
 今度は国力が述べられた。
「連合でここまでの人口の国はありません」
「それに国力もですね」
「はい」
 それについても検証が為される。
「連合のどの国よりも高いものがあります」
「あくまで統一されれば、ですが」
 その前提があるにしろだ。それでもそうした力が潜在的に備わっているのは非常に大きいのである。二人はそうしたことも踏まえて話をしているのだ。
「連合にとってはエウロパ以上の脅威になるかも知れません」
「シャイターン主席が今以上の野心があるならば」
「その可能性は否定できません。ですが」
「ですが?」
 ここでディカプリオの言葉に顔を向けた。
「それはおそらくはないでしょう」
「ないですか」
「彼が見ているのはあくまでサハラだけです」
 まずはこれについて述べられる。
「サハラだけを見ています」
「そういえばそうですね」
 そして八条もそれはある程度見ていた。
「彼が考えているのはあくまでサハラの統一であり」
「人類の統一までは考えていません。その証拠に」
「証拠に」
「彼の発言では連合は全くと言っていい程出てきません。マウリアもです」
「ですね」
 ここに大きなものがあるのであった。話に出ていないのだ。それはこの場合は彼が連合やマウリアに対して興味がないことの証左になるのである。
「エウロパは違いますが」
「エウロパの話が出るのはまた違う理由からですね」
「そうですね」
 これはもうわかっていることであった。
人気サイトランキング site_access.php?citi_id=254078182&size=200小説・詩ランキングcont_access.php?citi_cont_id=343008101&size=200


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。