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第二十八部第四章 原理主義者その十七
「しかしそれは連合軍、それを動かす中央政府にとっては邪魔なのです」
「私は彼等との軍事交流も反対しているしな」
「そうですね」
 これについてもラコシなりの主張があった。国粋主義的な理由からだけでなくマウリアはマウリア独自で兵器を開発し軍事思想を確立させるべきであるというのである。連合のそれがマウリアには合わないものであると彼は考えているのだ。これもまた一理あると言えるものであった。
「それが気に入らないのか」
「少なくとも気持ちのいいものではないですしマウリアとの交流に関しても障害です」
「私は障害か」
「彼等にとってみれば。それが大きくならないうちにというのもあるでしょう」
「実に慎重なのだな」
 ラコシは皮肉を言うタイプではないがここでは少しだけそれが入っているように見えた。
「そうして芽を摘み取るとは」
「そうかも知れません」
 プラーナもそう思うところはあった。
「我々はマウリアでも少数派ですから」
「それも圧倒的にな」
 実際のところ政党マウリアは少数野党でしかない。原理主義者というものは元々その過激さから支持を得られにくいところがあるが元々寛容な空気のあるマウリアではとりわけそうである。そうした意味においてラコシ達は鬼っ子なのである。その鬼っ子に対して連合中央政府は仕掛けたというわけだ。
「用心深いと言うべきか」
「予防にしても」
「そのせいで我々はかなりの打撃を受けてしまったな」
 声はそのままだったがその内容は現実をはっきりと実感しているものであった。
「彼等によってな」
「そうですね。ですがそれならばこれで終わりでしょう」
「終わりか」
「我々の膿は出きりました。それに」
「それに?」
 プラーナに対して問う。
「工作ならばここで終わりでしょう、今回は」
「終わりか」
「こうした工作は一撃離脱です」
 そうして相手が気付かないうちに安全圏に逃げる。工作は気付かれたり見つかってしまったならば元も子もないものだからである。
「ですから」
「もうないというのだな」
「おそらくは。我々はもう気付いていますし」
「気付いてからそうだったのかと気付くというものだな」
「そうです」
 またラコシに対して答えた。
「気付くことに気付くのです」
「思えば面白い話だ」
 あまり上手いとは言えない言葉遊びだったがラコシはそれに乗った。
「しかし。気付いたことは大きいな」
「そうですね。こちらが気付いたということは向こうも見ているでしょうし」
「それを考えても相手の動きは止まるか」
「おそらくは」
 プラーナは述べてきた。
「こちらが気付いた時にはもう逃げている。工作の基本です」
「私も同じことをする」
 ラコシは自分に当てはめて考えてみた。
「工作をするのならばな。これは気付かれれば終わりなのだからな」
「そうですね。我々の受けたダメージは小さくはないですが」
「暫くは派手に動けまい」
 連合の読み通りだ。ラコシもそれはわかっていた。そうした意味で彼の政治的な読みは正確であった。正確であったからこそ苦々しい思いも抱いているが。
「当分の間は力を蓄えよう」
「失った人材を育てることも必要ですね」
「それが最優先課題だな」
 政党マウリアにとってはである。
「それを進めていこう、暫くは」
「わかりました」
「そのうえでだ」
 ここで彼は別のことを思いついたのであった。
「人材の中にとりわけ育てたい者がいる」
「それは何でしょうか」
「後継者だ」
 ラコシは言った。
「後継者を育てたいのだ」
「先生のですか」
「そうだ。政党マウリアを引き継ぐ存在だ」
 語るラコシの目が光った。
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