第二十七部第二章 晴れ舞台の前その十八
「やはり見栄えをよくしなければ」
「軍は」
「だからこそ日本軍を意識してですね」
「あの軍服ならばなおよかったです」
日本軍の軍服のことだ。あの詰襟の軍服は今でも人気が高いのだ。その名残は下士官候補生の七つボタンの詰襟に残っている。これは日本軍のものなのだ。かつて予科練が着ていた軍服であり自衛隊でも少年自衛官等が着ていた。それを今も使っていたのだ。
「ですが」
「それは仕方ないです」
八条は悔しがる彼等を宥めるのだった。
「軍服はやはり背広が多かったですから」
「それはわかっていますが」
「しかし」
「それにですね」
まだ悔しがる彼等に対してまた述べた。
「確か皆さんは」
「ああ、それは関係ありません」
「そうです」
先に八条に対して述べるのだった。
「祖国の軍服が背広であっても」
「そういうことです」
「左様ですか」
「はい」
また八条に答える。
「やはりこれは個人的な嗜好ですから」
「それを考えますと」
「そういえばですね」
八条は彼等の言葉を聞いてまた述べるのだった。
「エウロパ軍の軍服は人気があるそうですね」
「はい」
「確かに敵ですが」
それでも人気があるというのだ。第二次世界大戦におけるドイツ軍の軍服がかなりの人気を今でも誇っているようにだ。こうした嗜好は国を越えるのである。なおイタリア軍やソ連軍の軍服も人気がある。他にはイギリス軍もだ。日本軍は海軍のそれが好評だったりするが実はこの時代の日本軍の軍服はその帝国海軍のものをモデルにしていた。特に将校の軍服は。それで人気の的だったのである。
「それでもやはりあの格好よさは」
「特に将官のそれは」
「詰襟はそれだけいいのですか」
「それだけではありませんね」
「そうですね」
スタッフ達はまた述べる。
「マントもいいですし」
「腰の短剣もまた」
「短剣もですか」
「日本軍もそうでしたね」
黒人のスタッフがすかさずそこを指摘する。
「詰襟で短剣を下げて」
「あれは最高に格好よかったです」
「しかしですね」
八条はまた苦笑いになる。その軍服について知っているからだ。軍服は実際に着てみなければわからない。これは他の服と同じである。
「あの軍服は案外動きにくいのですよ」
「そうなのですか」
「ええ。アイロンもいつも当てさせられましたし」
これは身だしなみを重視する日本軍独特のものである。なおこれもまた連合軍において導入されている。流石に日本軍のそれ程厳しくはないが。
「大変なのですよ。何かと」
「そうですか」
「動きにくいのがありましたか」
「そこが重要ですね」
八条は言う。
「やはり軍服ですから」
「ううむ」
「確かに」
スタッフ達もその言葉に頷く。
「そういえばエウロパ軍の軍服も動きにくそうですな」
「それもかなり」
「あれは相当動きにくいと思います」
八条が言う。
人気サイトランキング
小説・詩ランキング
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。