第二十七部第二章 晴れ舞台の前その八
「ことを為すに当たっては。これでいいかしら」
「それでしたら」
こう言われると彼女も納得する。言いようということである。
「わかりました。ではそのように」
「頼むわ。じゃあ」
「はい」
話が一旦終わり別のところに向かう。
「お茶漬けを食べたら次はあれね」
「デザートですか」
金の目が笑う。無類の甘党の彼女らしい動きであった。
「いよいよ」
「内相は和菓子も好きだったわね」
「あっ、はい」
その言葉にすぐに頷く金であった。やはり彼女も政治家としてはかなり素直な性格をしている。そもそも嘘なぞつかなくとも能力があればそれでいいと考えるタイプであるが。
「それもかなり」
「その通りです」
自分でもそれを認めるのだった。
「和菓子のあの上品な甘さが」
「いいのね」
「外相はどうでしょうか」
「私もよ」
くすりと笑って答える。そこから彼女もかなり和菓子が好きなのがわかる。
「抹茶と合うわね」
「あのお茶がまたいいですね」
金は金でお茶にかなり五月蝿い性格をしている。なお彼女のお茶の飲み方は普通の人間を引かせるのにかなり役立っている。
「日本の味そのものです」
「茶道ね」
「茶道も習いました」
金はお嬢様育ちである。だからそうしたことも学んできているのだ。
「正座が辛かったですが」
「けれど素直に学んだのね」
「そうでしょうか」
「ええ、それはわかるわ」
カバリエは笑いながら言う。先程と同じくすりとした笑いであった。
「貴女の様子を見ていたら」
「我が家は昔から日本と関わりの深い家でして」
「韓国にはそうした家が多いわね」
「はい」
その言葉にも素直に頷く。口では何と言っても韓国が日本と深い関係にあることは連合の誰もが知っている。単に韓国側が素直でないだけだと言われている。
「千年前から」
「そうですね、地球にあった頃から」
思えばかなり長い付き合いである。
「私としては日本は立派な国だと思います」
「本当にそう思っていて?」
何故か急に金をからかうような笑みを見せてきた。
「貴女最初は八条長官に」
「あれは彼の考えが最初理解できなかったからです」
カバリエのからかうような言葉にすぐに切り返してきた。すぐに普段の切れ者の顔になっていた。
「八条長官の」
「そうだったの」
「はい。何を考えているのかわかりませんでした」
そう述べるのだった。
「日本人には多分にそうしたところがありますが」
「そうね。日本人には」
カバリエもその言葉に頷く。日本人の腹の底は読みにくいというのは連合でよく言われていることである。それが彼等を狐だの狸だの呼ばれる原因の一つでもあるのだ。
「ましてや長官は無口な方ですし」
「特に女性の前ではね」
そのせいで同性愛者説まで出ているのである。
「無口ね」
「それで困りました」
金はその整った顔に少し皺を寄せて述べた。
「そのせいです」
「そうだったの。でも今は違うわね」
「はい」
カバリエの言葉にこくりと頷く。
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