第二十七部第一章 コムへその八
「連合のイスラムが変わっても特に驚きはしない」
「わかりました」
「ただ」
そのうえであえて言う。
「どうなっているのかは興味があるな」
「興味がですか」
「他の文明や文化を知っておいて悪いことはない」
シャイターンはあくまでそういう考えの男であった。他の存在であってもそれがよいと思えば拒みはしない。そうした男なのである。
「だからだ。学んでおきたいな」
「この戦いが終わればですか」
「そうだな。若しくは統一が成った後で」
また統一が出された。
「学んでおきたい。いや」
ここで言葉を変えるのだった。
「既に学んでおきたいな」
「連合の中のイスラムをですか」
「今考えを変えた」
いきなり方向転換をしたがそこもまた彼の柔軟さであった。そうした思考ができるのもまた彼の強みであるとも言える。硬直していては中々容易に動けないからである。
「ここはだ」
「はい」
「連合全体について学んでおきたい」
そう言うのだった。
「全体をな。どうか」
「そうですね」
若い執事がまた答える。
「宜しいかと。統一されれば連合とも向かい合います」
「うむ」
「そこにあるのは決して友好的なものだけではないでしょうし」
こうした言葉が出されるがそれは決して対立ということではない。人と人の付き合いが常に晴れではないように国家同士の交流もまた友好的であり続けるということはないからだ。時には貿易や経済のことで対立することもある。こうしたことは連合においては日常茶飯事でもある。
「ですから」
「学んでおいて悪いことはないな」
「私はそう考えます」
執事は礼儀正しい様子で述べた。
「とりわけ連合に関しては」
「やはりあれだけの勢力であり続けるには理由がある」
シャイターンもそう述べる。
「そうだな」
「はい、やはりそれも理由あってのことです」
執事もその言葉に頷く。
「ですからそれを学ぶというのも」
「よし。ならばわかった」
そこまで聞いて彼も頷いた。
「一度連合についてじっくり学ぶとしよう」
「はい」
「そしてよきものは取り入れる」
またシャイターンの考えが出た。
「そういうことだ」
「わかりました。それでは」
執事がまた答えてきた。
「そちらについては手を回しておきます」
「まずは裏のデータはいい」
そこはよしとした。
「まずはな」
「そうですか」
「とりあえずは表だ」
そう言うのだった。
「表を学びそれから裏を学んで」
「取り入れていきますか」
「それでどうか」
「はい、よいと思います」
執事は彼の今の言葉に頷いた。これはへつらいではなく実際にそう心に思ったことである。彼は自分の主を本当に認めていたのである。
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