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第六部第四章 ゲリラその六
「おい、昨日出した連中はどうなった」
 旗艦の艦橋で田代は吠えていた。既にこの艦も何度かの戦闘で激しく傷ついている。
「駄目です、連絡がありません」
 側にいた部下が首を振って答えた。
「どうやらやられたようです」
「そうか。で、今敵は何処にいる」
「前の宙域に進出を開始しています。かなり多いようです」
「そうか。あの道にはあの化け物みてえな戦艦がウヨウヨいやがるしな」
「ティアマト級戦艦ですね」
「ああ、あれはどうしようもねえ。何であんなのがいやがるんだ」
 彼は苦渋に満ちた顔で言葉を吐き出した。
「あれ一隻でこっちの艦隊一個分の戦力がありやがる。おまけに索敵能力もハンパじゃねえ」
「昨日も奇襲を仕掛けた部隊が返り討ちに遭っていますからね」
「千隻のな。あれはいけると思ったんだが」
 彼の顔はさらに苦渋で歪んでいく。
「全滅しちまいやがった。あの戦艦の巨砲の前にな」
「あれは凄いですね」
 部下の顔も苦渋に満ちたものになっていた。
「あの一撃で百隻単位で消えますからね」
「それも三つもついていやがる。何なんだあれは」
「しかも他の装備も艦載機も多いですからね。手に負えません」
「だが何とかしねえとこっちが危ないぞ」
「はい、今それが一斉にこちらに向けてやって来ていますから。何とか対処法を考えないと」
「前からも来るんだろうな」
「おそらく。あっ」
 そこで彼等はモニターに映る艦影を見た。
 見ればそこには連合軍の艦艇があった。かなりの数である。そしてその中にあの艦もあった。
「チッ、あの化け物もいやがるか。やっぱりな」
「どうしますか?」
「おい、今ここにはどれだけいる」
 彼はそこで部下に問うた。
「二個艦隊程ですが」
「そうか、殆ど残存戦力全てだな」
「はい」
「で、向こうも同じ位か」
「どうしますか?」
「決まってるだろうが。もう逃げることもできねえ」
 彼は覚悟を決めていた。
「イチかバチかやってやる。こうなりゃやけっぱちだ」
「わかりました」
 彼は全艦隊に攻撃を命じた。その二個艦隊はそれを受けてすぐに陣を整えた。それは連合軍からも確認された。
「来ますね」
 その艦隊を指揮する二隻のティアマト級戦艦のうち一隻の艦橋で艦隊司令と参謀が話をしていた。
「ああ、もう破れかぶれになっているようだな」
 司令はそれを見ながら言った。
「すぐに攻撃に移れ、巨砲の射撃準備はできているか」
「ハッ、何時でも」
 艦長がそれに答えた。見れば普通の艦の艦橋よりも遙かに大きい。百人以上のスタッフがそれぞれの場所で任務にあたっている。
「そうか。では巨砲射撃用意」
「了解」
 戦艦はそれを受けて前に出る。他の艦は後ろに下がる。
 もう一隻の艦も前に出て来た。巨砲に光が集まる。
「射撃用意完了」
「目標捕捉」
「照準セットしました」
 次々と報告が届く。司令はそれを聞いて頷いていた。
「よし、前方に友軍はいないな」
「はい、確認済みです」
 再び報告が入る。司令はまた頷いた。
「巨砲発射」
「巨砲発射」
 命令が繰り返される。艦橋内の動きがさらに活発になる。
 司令がゆっくりと右手を掲げた。場を緊張が支配する。
「撃て!」
 そして振り下ろされた。
「ファイアーーーーーッ!」
 三つの巨砲から光が一斉に放たれた。それは巨大な光となり解放軍に襲い掛かる。
 そして艦隊を貫いた。その直撃を受けた艦艇が消える。そしてその周りの艦も衝撃により次々と爆発していく。
「巨砲掃射終了!敵の損害は甚大です!」
「どれだけだ!?」
「一千隻程です!僚艦の斉射と合わせて敵の一割程が消失しました!」
「よし、次は砲艦及びミサイル艦の攻撃だ!敵に隙を与えるな!」
「はい!」
 再び指示を下す。それを受けて二隻のティアマト級戦艦が後ろに下がる。そしてまず砲艦が前に出て来た。
「撃て!」
 その艦首の巨砲、そして前面の主砲が火を噴く。それにより先程の攻撃でダメージを受けていた解放軍の陣にさらなる攻撃が加えられる。
 それが終わると次はミサイルであった。この三段の攻撃により解放軍の戦力は四割近く減少していた。だが連合軍の攻撃はこれで終わりではなかった。
「戦艦及び巡洋艦、駆逐艦を前に!」
「戦艦及び巡洋艦、駆逐艦を前に!」
 今度は主力艦艇が前に出る。そしてまずは主砲の斉射を加える。
 そのまま前に突き進む。そして陣を崩していた解放軍にさらに攻撃を与える。
 解放軍も反撃を加える。だが三度の一斉射撃でかなりのダメージを受けているうえにこの主力艦艇の攻撃で戦力を失っており組織的な反撃にはなっていなかった。そして連合軍の艦艇の防御力の前にその攻撃も殆ど功を奏していない状況であった。
 突撃を許した。連合軍の艦艇は戦艦を先頭にそのまま敵陣に雪崩れ込んだ。
「艦載機発進!」
 次の指示が下される。それを受けて護衛艦を周りに従えた空母の甲板から艦載機が発進する。空母のものだけでなく他の艦艇からも発進している。
 艦載機は主力艦のミサイルや砲座と連動して敵艦に襲い掛かる。一隻の艦に一個中隊、十二機を単位として四方八方から襲い掛かり一隻ずつ的確に沈めていく。解放軍の戦力が殆ど消滅するまでに然程時間はかからなかった。
 やがて降伏勧告が出された。最早彼等にそれを拒むことはできなかった。こうして解放軍の最後の主力は壊滅した。その損害は九割を越えていた。
 連合軍はそのまま進んだ。そして小規模な戦闘や掃討戦を行いながら敵の本拠地に達した。ここでもまずティアマト級戦艦が前に出て来た。
「あの中に一般市民はいるか」
 司令はまずそれを問うてきた。
「奴等に拉致された人々がいるようですが」
 情報参謀の一人がそれに答えた。
「そうか、ならば巨砲の使用は控えよう。巻き込むわけにはいかないからな」
「はい」
「揚陸艦を前に出せ。他の艦はミサイル砲座等を狙え」
「わかりました」
「護衛として空母、護衛艦も同行させよ。この艦も行くぞ」
「はい」
 この戦艦には揚陸能力も備わっている。中には揚陸部隊もいるのである。
「では攻撃開始。一気に攻め落とすぞ」
「ハッ!」
 こうして惑星への攻撃が開始された。まずは主力艦によるミサイル、ビーム砲座への集中攻撃が行われた。
 黒い星が光に覆われる。そして砲座が次々と爆発していく。
 それが終わると揚陸部隊等が前に出て来た。それを迎撃する為に惑星から僅かな航宙機が出撃する。
 しかしそれは連合軍の艦載機により次々と撃ち落とされる。数があまりにも違い過ぎた。
 その中でも活躍するパイロットが何人かいた。彼等は次々に解放軍の航宙機を撃墜していく。
「こりゃ七面鳥撃ちだな!」
 一機のタイガーキャットが他の十一機のタイガーキャットを率いて暴れ回っている。見ればそのタイガーキャットの翼には星のマークが描かれている。それもかなり多い。
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