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第二十六部第二章 観戦者達その一
                   観戦者達
 サハラ全土を巻き込んでいる三国の戦いであるが連合ではこの戦いはニュースでしかなかった。それは軍でも同じで彼等は完全に他人事としてことの成り行きを見ていたのであった。
 とりわけ兵士達はそうだった。ある基地でのことである。昼食中に三次元テレビからニュースが流れていた。
「たった今入ったニュースです」
 白を基調とした広い部屋に同じく白いテーブルが無数に並べられている。兵士達はそこにそれぞれ座って食事を食べている。食べながらニュースを聞いている。
「ジェルメでのオムダーマン軍とハサン軍は」
「ああ、あれか」
「どうなったんだ?」
 将校も下士官も兵士もその言葉に顔を向ける。しかしその顔はやはり厳しいものではなかった。何処か芸能ニュースを聞くような感じであった。
「戦闘に入ろうとしております」
「何だ、まだはじまってはいないのか」
「遅いな、案外」
 彼等はそれを聞いて拍子抜けしたような顔になる。そうして食事に顔を戻す。
 メニューはジャガイモをスライスしてそれを玉葱、豚のベーコンと炒めたもの、鰐肉のソテーに中華風の野菜スープであった。今日の主食は餅である。餅といっても米のものではなく中国の小麦粉を丸めて焼いたそれであった。彼等はそれを食べていたのだった。
「もうあっちじゃはじまってるんじゃないのか?」
 あるテーブルで兵士の一人が言っていた。見れば彼等は作業服である。兵士や下士官の青い作業服と将校の紫の作業服があちこちに見える。
「とっくに」
「そうだろうな」
 同僚の兵士が彼の言葉に頷く。
「情報が伝わるのにログがあるからな、どうしても」
「サハラは遠いからな」
 同僚達は彼の言葉に頷く。話している彼は眼鏡をかけそれが妙に知的な印象を与えている、そうした兵士であった。兵士というよりは学生に見える。
「どうしてもな」
「もう勝敗ははっきりしているのかもな」
 その眼鏡の彼の同僚の太り気味の兵士が言ってきた。
「こっちにはまだ話が伝わっていないだけで」
「そうかもな」
 その言葉に金髪の兵士が頷く。
「じゃあどっちが勝ったかな」
「ハサンだろうな」
 眼鏡の兵士はこう述べた。
「話を聞くとかなり有利だ」
「そうだな」
「じゃあオムダーマンはこれで終わりか」
 彼等は口々にそう述べる。それを黙って聞いていた彼等のリーダー格である少し年長の男がここで言うのだった。階級は第三軍曹のものであった。
「どっちにしろ俺達にはあまり関係ないな」
「そうですね」
「俺達整備屋には」
「あるとしたら施設だな」
 軍曹は言う。
「何でもサハラとの境に防衛施設をかなり築くらしいからな」
「ああ、それで最近施設の連中が慌ただしいんですね」
 太っている兵士がそれを聞いて言う。
「そっちに回されるかも知れないから」
「そうだろうな。何かかなりのを築くらしいぞ」
「大変ですね、施設の連中も」
「最近大忙しじゃないですか」
「まあそれも当然だ」
 軍曹は部下達にそう述べる。
「連中は何か作れと言われたら作るのが仕事だからな。今の長官は作るのが好きだしな」
「確かに好きですよね」
「ニーベルング要塞でしたっけ」
 ここで金髪の兵士は要塞の名前を間違えた。
「あそこも随分派手に作り変えたし」
「おい、今はニーベルングじゃねえぞ」
 太った兵士が彼に突っ込みを入れる。
「今はアタチュルクだ」
「おっと、そうか」
 頭に手を置いて申し訳なさそうな顔になる。
「そういえばそうだったんだ」
「そうだよ。しっかりしろよ」
「あいつ等から奪ったんだしな」
 眼鏡の兵士も言う。実は彼等はエウロパとの戦争に参加している。その時にニーベルング要塞も通っているのである。
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