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第二十四部第一章 戦いの幕開けは静かにその十六
「我々のそれとは明らかに違うな」
「そうなりますか」
「連合は我々とはまた違う」
 アジュラーンはまたそれを述べる。
「彼等はあくまで文民によりコントロールされた軍隊なのだ」
「軍人が動かしていてもですか」
「彼等は官僚だ」
 この言葉もまた連合軍を的確に言い表していた。連合軍というのは軍人を公務員、即ち官僚であると考えているのだ。軍人ではあるがやはりそこにはそういう考えが念頭にある。軍人に対する考えがサハラのそれともまた違っているのである。
「官僚ですか。そう言われると」
「違和感はあるな」
「ええ」
 マナーマはそれに頷く。
「だから戦略も違っているのですか」
「そうだな。軍人が考える戦略とはまた違ったものになる」
「文民の考えた戦略」
「軍人が考える政治もだ」
 相反すると思われるものが出て来た。
「そう考えるとわかるか」
「それはわかります」
 軍人の政権はサハラでは時折見られるものだ。だからそれには想像がいく。
 所謂軍国主義というものである。第二次世界大戦後の日本では批判的な言葉として使われてきてきた。軍人が政権を握り軍部主導で政治が行われる。そこでは指導者による独裁や軍人による弾圧といったことが起こる場合も多い。
 連合では存在しないものである。一千年の間どの国でも軍のクーデターやそういった政権の誕生はなかった。あくまで選挙で選ばれるものであってきた。選挙の洗礼により文民が選ばれてきたのだ。それが連合であった。連合は中央軍が出来上がる前から軍という存在にはあまり政治的な力はなかったのである。
「軍人の行う政治は」
「では逆に考えてみればいい」
 アジュラーンは述べる。
「文民が考えて立てる戦略というものをな」
「何処となくわかってきました」
 マナーマは言う。
「何か軍人をユニットとして考えそうですね」
「そういうところはあるな」
 アジュラーンもそれは感じていた。
「彼等は何処か軍人をユニットとして考えている」
「ふむ」
 ゲーム感覚ということか、マナーマは話を聞いて思った。
「それがあるな」
「危うさもあるようですな」
「それは確かにあるだろうな」
 アジュラーンもその言葉に頷いてきた。
「八条長官のように軍事を知っている者でなければな」
「大変なことになりますか」
「だからこそチェックする態勢も整えているがな」
「それでもですか」
「危険もあるのは事実だ」
 だからこそチェック態勢もあるのだ。一歩間違えればそれが国家の一大事となるのもまたわかっているからである。議会が軍人の意見を聞いてそれを政府へのチェックに使っているという体制がそれである。
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