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第二十三部第三章 長城その九
「そちらに関心が集中しています」
「ふむ」
「ハサンもまた同じです」
 連合と国境を接している国はハサンである。元々ハサンは連合とは友好関係にありその国境には兵は少なかったが今はとりわけ少ないのである。
「ですから」
「そちらの心配はないと」
「そうです」
 彼は述べる。
「ですからそちらに関してましては」
「わかりました。それでは配慮はしますが」
「極端なものでなくてよいかと」
「しかしです」
 八条はここで言葉を付け加えさせてきた。
「何か?」
「ハサンがこのまま残ればそれで問題はありませんが」
 彼はこれからのことにも目を向けていた。元々この防衛ラインは一時的なものではない。永続的なものである。従って長期的な見方をしているのである。
「若しハサンが敗れれば」
「国境を接する相手が変わると」
「そうです」
 答えてきた。
「それも考えていきたいですね」
「相手の兵器の種類も考えてですか」
「そういうことです。やはり三国でそれぞれ傾向が違いますね」
「そうですね、サハラといえば機動力中心ですが」
 青いスーツの男がそれに応えて述べてきた。
「やはりそれだけではありません」
「それに加えてそれぞれの個性があるのですね」
「そうです」
 青いスーツの男はまた述べる。
「それが中々面白いと言えば面白いのですが」
「そうですか。具体的にはどんな感じですか?」
「まずハサンは諜報能力が高いです」
 最初に出されたのはハサンに関してであった。
「その為ビジョンが広い戦術が多いです」
「ふむ」
「そしてオムダーマンはさらに機動力が高く」
「最後のティムールは」
「攻撃力です」
 彼は述べた。
「おおむねそうした傾向にあります」
「そうなのですか」
「少なくとも機動力に関しては我々よりも遥かに上です」
「三国共」
 これは事実であった。連合軍の艦艇の機動力の遅さはとりわけ機動力を重視しているサハラ各国の艦艇と比べるとかなり落ちる。小回りという点でも大型の割にはいいと言ってもいいがそれでも同じタイプの艦艇、例えば駆逐艦と駆逐艦では大きな差がある。これはサイズも大きく関係していた。そもそも連合軍の艦艇は単独行動を意図してはいないのである。あくまで集団戦闘を考えているのである。
「はい、特にオムダーマンは」
「わかりました」
 八条はそれを聞いて了承した。
 実は連合の兵器はそもそもが機動力を犠牲にした設計なのである。大型で居住性に今後の武装増加や開発の為の余裕があり攻撃力と防御力、そして電子能力を追求している。その為機動力はかなり犠牲にしているのである。エウロパとの戦いにおいても速度では負けていたのである。それで迂回攻撃を許さなかったのはその索敵能力の高さ故であった。そうしたことを全て踏まえての設計であったのだ。
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