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第二十二部第三章 兵器と作戦その十四
 食事が終わるとアッディーンはすぐに国防省へ向かった。そこで軍の責任者としての務めを果たすのであった。
 まずは国防省の自身の執務室に入った。そしてデスクワークを終わらせると次は作戦会議であった。既にそこには歴戦の将達が集まっていた。
「皆来ているな」
「はい」
 機能的な作戦会議室に入った彼をガルシャースプが迎えた。彼ももう上級大将になっている。今までの功績から歴戦の参謀や提督達も栄達を果たしていたのである。
「それでははじめるとしよう」
 アッディーンはそれを聞いたうえでこう述べた。
「次の作戦についてな」
「了解」
「わかりました」
 参謀と提督達がそれに応える。そしてアッディーンを上座に左右に細長く置かれた席について話をはじめるのであった。
「まずはだ」
 アッディーンが口を開いた。
「既にティムールも戦争準備の最終段階に入ったことを伝えよう」
「遂にですか」
「そうだ」
 彼は提督達に述べた。
「遂にな。おそらく近いうちに彼等とハサンは戦闘に入るだろう」
「そして我々もまた」
 ラシークがそれを聞いたうえで言う。
「戦争準備は最終段階に入ろうとしております」
「そうだ。そのことはさっき大統領閣下にお伝えした」
「左様ですか」
「副大統領としてな」
 アッディーンは彼等にこう答えた。
「賽は投げられようとしている」
 アッディーンはまた言った。
「二つの賽がだ」
「南と西から」
 ガルシャースプはここではあえてハサンの視点に立った見解を口にした。
「放たれますな」
「そうだ、二つな」
 アッディーンもそれをあえて強調する。
「さて、これに対するハサンの体制だが」
「はい」
 それが最大の問題であった。相手が何をしているのかを知るのが戦争というものの最も重要な問題の一つであるのだ。これがわからない限りは勝利はあまりおぼつかない。敵を知り己を知れば百戦危うからずというわけである。それを怠って敗れ去った者は実に多い。これは戦争だけに限らない。
「わかっていることを述べてくれ」
「わかりました」
 シンダントがそれに応えた。そして口を開いた。
「まず最高司令官ですが」
「うむ」
 話はスタッフの面に関するものからはじまった。まずは人材ということである。
「形式上は国王ということになっていますがやはりこれは形式的なものです」
「あくまで名目上はか」
「はい、国家元首としてです。あくまで」
 これは当然のことであった。その国家の元首が軍の最高司令官であるのは常識である。
「それで実質的な司令官は彼か」
「はい」
 シンダントはそれに答えた。
「ルクマーン王太子です」
「彼しかいないか、やはり」
「ええ。ですが」
 ここでシンダントの言葉がやや曇った。アッディーンもそれに気付いた。
「どうした?」
「人材が減り彼はそれへの対処に追われています」
「そういえばテロが多発したな」
 これがティムールのものであることはここにいる者達は皆薄々気付いていた。だが確たる証拠は掴んではいないのであえて口には出さなかった。
「それのせいだな」
「はい。今ハサンはソフトウェアの面でいささか深刻な状況にあります」
「それまで政府や軍の中枢にいた者達が減ってか」
「ええ」
 それは同時に王太子の腹心の者達が減ったということである。これが彼、そしてハサンにとって深刻な事態であることは言うまでもない。
「その結果止むを得なく二線級と目される人物が要職に就いていたりします」
「ふむ」
 アッディーンはそれを聞いて考える目を見せてきた。
「止むを得なくか」
「そうです」
 シンダントもそれに答える。
「中には明らかに問題のある人物も見受けられます」
「それでも使わなければならないのだな」
「そういうことです。これがハサンにとって深刻な事態になっています」
「成程な。中には意外な人材もいるかも知れないな」
「意外な人材ですか」
 ハラスがそれを聞いて声を出してきた。
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