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第二十一部第一章 代理人の座その十五
 この時代でも、特に連合においてはよく見られることである。もっとも政治家は選挙資金やスタッフへの給与、支持者へのサービス等で金が幾らあっても足りない職業なのでその袖の下もまず自分達の懐には入らない。この時代は誰もがまず餓えも渇きもなく、安定した生活を送られるので多少の賄賂も謝礼のうちという考えになっている。人間とは不思議なもので自分が安定した生活を送っていれば汚職や賄賂には寛容になれる。少なくとも個人的に些細なレベル、国や企業が傾くものでなければ見つからなければよいという考えである。凶悪犯罪には五月蝿いが汚職、収賄には甘い傾向が連合にはある。なお見つかれば当然罪に問われる。
「それが効果がある者にはな」
「ではそうしておこう」
「国としてはどうするかだな」
「それが一番厄介だな」
「連中の言い分をそのまま聞くと大変なことになる」
「その通りだ」
 大国の横暴というやつである。
「だが見返りをやらなければ首を横に振りそうもないぞ」
「全く。何処までも勝手な奴等だ」
「仕方ないな。何かの便宜を提供するか」
「そうするとしよう」
「中央政府にも話をしてな」
 そちらの根回しについても述べられた。
「若しそれで従わなければその時は」
「思い知らせてやるか」
「そうだな。痛い目を見せてやろう」
 彼等は口々に言う。
「我々の手でな」
「だが完全には怒らせぬようにな」
 最長老はここで釘を指してきた。
「連中は力が強い。それに頭もある」
「わかっている」
「あくまで切り札だ」
「しかも。致命傷は与えぬさ」
「何人かは苦しむことになるだろうがな」
 彼等は不敵で不気味な笑みを浮かべてそれぞれ述べた。
「便宜を優先させる」
 最長老の下した結論はこれであった。
「バチカンと見合うだけの便宜をな。紹介しよう」
「そうするか」
「まあ話し合うとするか。それで話を纏めていけばよいか」
「幸い利益だけの話だしな。信仰が絡まないと実に楽だ」
「左様、信仰の重みは我等こそが最も知っている」
 中の一人が述べる。
「それが為に我等があるのだからな」
「うむ」
「そしてそれを元に行動する国は」
「フィリピン、そしてメキシコにまず動くか」
 どちらもカトリックの国である。そしてその信仰は強い。
「彼等を抑えて」
「それから小国へ移っていく」
「とりあえず小さい国なら与えてやってもよかろう」
「そうだな。あまり影響のない国に」
「ならばそうした国も調べておこう」
「焦ることはない。じっくりとな」
 彼等は言い合う。
「やっていけばいい。どのみち決まるまでに相当な時間がかかる」
「調停役としてはな。好都合だ」
「終わる頃には適度なことになっているだろう」
「あとバチカン自身にも接触しておくか」
「そうだな、彼等の考えも聞いておきたい」
「やることは実に多い」
 既に彼等は考えを纏め、行動に移ろうとしていた。
「何かとな」
「打つべき手はまだあるか」
「今後はあるだろうな」
 答えが返って来た。
「ではその時にまた」
「集まるとしよう」
「では今日はこれで終わりだな」
「うむ」
「また会おう。その時まで」
「神の僕でいよう」
 老人達は部屋から姿を消した。後には円を描くテーブルだけが残った。それは十二あった。まるでそれぞれを代表するかの様にそこにあった。
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