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第二十部第一章 新たなる舞台の開幕その四
「連合の広さから見てそれ程破格とは思えませんが」
「それはそうですが」
 言われてみれば確かにそうなのである。連合はエウロパと比してあまりにも広大だ。銀河の大半をその領土としている。その中においては星系の一つ位どうということはなかった。連合において領土の基本基準は星系なのである。惑星がかっての都市の様な扱いを受けている。星系が郡や県、州の様なものなのである。
「では独立国家になるのですか」
「そうかと」
「それはまた意外ですね」
「ですから権益を考えるにあたってはいささか注意が必要ですね」
「さて、どうなるか」
 以前にもバチカン問題は話し合われた。だが結論は出てはいないのである。そして今も。それは容易に出せそうにないものであった。
「それはまたこれからですね」
「長い議論になりそうですね」
「ですが何時までも放置できる話ではありません」
「ええ、それはわかっています」
 ベニョーコフは答えた。
「案外中央政府も動くかも知れませんね」
「中央政府が」
「星系一個単位ですし。それに国家の設立になりますから」
「ではまた事情が異なります」
 伊藤は述べた。
「中央政府が積極的に話に出て来たならばまた事情が変わって」
「複雑になりますかね」
「むしろシンプルになるかも知れないですね」
「簡単にですか」
「ええ。今のままですと各国での対立になりますが」
「はい」
 その対立という言葉に応えた。
「中央政府が出ると中央政府とそれぞれの国の。対立となります」
「つまりは中央と地方というわけですな」
「そうですね」
 伊藤はそれに頷いた。
「無論我が国も」
「おや、貴国が中央政府とことを構えられる」
 ベニョーコフはそう言ってくすりと笑ってきた。
「まさか」
「何かおかしなことでも?」
「いえ、日本が中央政府と対立するというのは。珍しいと思いまして」
 実際には珍しいどころかそうそうなかった話である。日本は中央政府がある太陽系にほど近い場所に領土があり、また長い間中央政府には忠実な方針であった。その日本が中央政府と対立を辞さないというのがベニョーコフには実に奇妙に映ったのである。
「あくまでケースバイケースです」
 そしてこれが伊藤の返答であった。
「状況による、ということですか」
「その通りです」
 伊藤の返事には何の淀みも迷いもなかった。率直なものであった。
「ふむ」
「日本といえどその政策が中央政府のそれと添ぐわないならば対立することもあります」
「そうなのですか」
「そうです、それの何処がおかしいのでしょうか」
「いえ、現実にはそうなのですが」
 ベニョーコフはまた言った。
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