第十九部第三章 会議は変わりその一
会議は変わり
連合軍はウラノスにおいて何かしらの建設を行っていた。それは軍事基地ではないにしろエウロパの者達にあまりよい感情を与えてはいなかった。
「何をするつもりだ!?」
彼等は巷で、そしてテレビやネットのうえで話し合っていた。
「あんな場所で」
「何を作るつもりなのだ」
しかし何をするのかはわかりかねていた。それが一層彼等を不安にさせていた。
「大丈夫なのか、あれは」
それはラフネールも同じであった。自身の執務室でカミュに対して問う。
「彼等をあそこで自由にさせて」
「何、監視役の将校達は大勢派遣しております」
カミュは落ち着いた声でそう述べた。
「軍事施設でなければ何も問題はないと思いますが」
「それはそうだが」
だがラフネールはそれでも不安を感じていた。これは多くのエウロパの者達も同じであった。総統である彼はそれを代表する形となっているのだ。
「宴の準備のようですね」
「宴の」
「はい、それもどうやら連合軍全軍を挙げて」
「連合軍のか」
「エウロパに駐留している連合軍全軍でそうした動きが見られます」
彼は述べた。
「どうやらその関係であると思われます」
「ウラノスで宴をか」
それがラフネールには理解し難かったのだ。
「あの様な場所で」
「彼等の考えることはわかりませんね」
「全くだ」
ラフネールにはカミュ程の連合に対する偏見はないがそれでも理解出来ないことには違いなかった。
「あの荒涼とした星で。何をするのか」
「まあ面白いものが見られればいいですね」
「面白いものか」
「はい」
カミュは笑っていた。連合に対する嘲笑の顔であった。
「所詮彼等では何をしても無理でしょう」
「無理か」
「単に大勢いるだけでは。限界があるというものです」
「だが我々はその数に負けたが」
「それでもですよ」
彼はそれを問題とはしなかった。
「今回は無理です。まあ楽しみしておきましょう」
「楽しみか」
「猿知恵をね。見せてもらうとしましょう」
カミュの態度は変わらなかった。相変わらず連合を甘く見ていた。しかしその間にも連合は動いているのだ。カミュはそれを知っていながらも侮蔑を止めてはいなかったのだ。
連合軍はウラノスに集まっていた。そしてそこで黙々と作業にあたっていた。
「まずは水だ」
指揮官が工兵達に指示を出していた。
「そして空気だ、いいな」
「わかっております」
「ただし長時間のものではないぞ」
指揮官はそう付け加えた。
「少しの間だけでいい、水と空気も」
「宴をやる間だけですね」
「そういうことだ。その間さえ水と空気があればいいからな」
「緑もですね」
「緑はホノグラフィーで出す」
指揮官は述べた。
「こんなところに木を植えても仕方ないだろう」
「確かに」
「エウロパの奴等にくれてやるものは何もない」
ここで上を見上げた。
「あそこにいる奴等にはな」
そこにはガイアがあった。彼はそこにいるエウロパの貴族達に対してカミュのそれよりは幾分かましな侮蔑の目を向けていたのであった。
「木なんてくれてやることもないだろ」
「わかりました」
「それではホノグラフィーの用意もしておきます」
「建物も一時的なのでいいぞ」
「それでいいんですか?」
「ここに移住するわけじゃないんだぞ」
彼は部下の言葉にそう返した。
「それとも何だ。エウロパに住みたいのか?」
「まさか」
部下達はその言葉には肩をすくめておどけてきた。
「こんな場所に誰が好き好んで」
「何もないじゃないですか」
「そうだ、ここには何もない」
それがエウロパを席巻してきた連合軍の意見であった。
「資源も土地もない。住みよい惑星ばかりみたいだがこの程度なら連合に幾らでもある」
「住みよい惑星に作り替えられますし」
「そういうことだ」
指揮官は部下の一人のその言葉に頷く。
「ここにあって連合にないものは何一つとしてない。思えば貧しい場所だな」
「我々と比べたらいけませんよ」
部下の一人がそれを聞いて笑った。
「本当のことを言えば彼等も怒りますよ」
「おいおい、本当のことか」
これを聞いて一堂思わず顔を崩してしまった。見ればかなり楽しく作業をしている。
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