豆カン。(22/25)縦書き表示RDF


遅くなりました^^;

ほんの少しではありますが、官能的な場面がございます。
苦手な方はお控えくださいませ。
豆カン。
作:乙麻呂



チョコレート


とろりと口内に広がる甘味と苦味。

それらは深く深く交わるように、私の中を満たしていく。

「ふわぁー幸せぇー」

ぽぅっと頬に手を添えて目を閉じる。

目を閉じれば、まだ僅かに残る香りが鼻を抜ける。

もう少し口内にその香りを閉じ込めておこうと、私は深く息を吸い込んだ。

「あぁっ!もう食べちゃったの!?」

突然、私の幸せを遮る声が聞こえてきて、私は吸い込みかけた空気を溜息と共に吐き出した。

閉じていた瞼を重たく持ち上げて、目の前に被さる影を鬱陶しそうに見上げる。

太陽を背負った黒い影は、手に2本の缶ジュースを持ち、ちぇ、と小さく舌打ちした。

「なんだよぅ、チョコレート、俺も食べたかったのに」

どさっと無造作に私の隣に腰かけて、ほい、と手に持っていた缶ジュースを渡してくる。

オレンジジュースだ。

私は冷えたオレンジジュースの細いフォルムに手を添えて、ぷしっ、とタブを引っ張った。

そのまま何も言わずに缶に口を付けようとすると、彼が私の唇と缶ジュースとの間に右手を割り込ませてくる。

「何すんのよー」

唇に触れる彼の手のひらにモゴモゴと抗議すると、彼はムッとした表情をしてみせる。

「責任とって」

「はぁ?」

「責任とってよ」

彼は私の唇に手のひらを乗せたまま、今度は開いている方の手で私の持つ缶ジュースを受け取る。

カコン、と音を立てて座っているベンチの上に缶ジュースを置くと、彼はやっと私の唇から手のひらをどけた。

「俺もチョコレート、食べたいの」

ふっと視界いっぱいに彼の顔が映って、気づけば唇に柔らかくてふわふわしたものが重なっていた。

「んんんーっ!!!」

油断して緩んでいた唇から、何か熱っぽいものが侵入してくる。

それは私の口内を隈なく舐めまわし、ほんの僅かに残っていたチョコレートの余韻を、ひとつ、またひとつと奪っていく。


私は両手をぎゅっと握りしめて、ドンドンと彼の胸を叩いたが、ビクともしない。

それどころか行為はどんどんエスカレートしていくようで、それと共に私の体から力が抜けおちていった。

酸欠と緊張で意識が朦朧とし始めた頃、やっと彼の唇が離れる気配がして、私はぐったりと彼にもたれ掛かった。

「ごちそうさま」

にっこりと私の顔を覗き込み、そう言う彼はとても憎い、嫌なやつ。

「今まで食べた、どんなチョコレートよりも美味しかったよ?」

ちゅ。

小さな音を立てて落とされたキスは、唇にほんの少しの香りを残して。

私は彼にされるがままになりながら、小さく彼に笑ってみせる。

「当たり前でしょ。私のチョコレートは世界一よ」

カンっと地を打つ音が響いて、オレンジの染みがベンチから滴り落ちる。

再度至近距離に迫る彼の顔に、私は微かに微笑んだ。

こんな彼は、とても憎い、嫌なやつ。

だけどこんな彼だから、とても愛おしい、大好きな人。

私はそっと瞼を閉じて、口内に再度広がる香りを味わった。

それは今までに食べたどんなチョコレートよりも、甘美で妖艶な香りがした。


『チョコレート』いかがでしたでしょうか。

実はこれ昨日投稿しようと思っていたんですよ
しかしながら昨日は少し忙しくて出来ませんでした…
待っていた方がいらっしゃったかは分りませんが、お待たせいたしました^^

別にバレンタインデーではないんだけれども、チョコレートなお話です
よく考えたら、ニュースの「口移しでチョコレートをもらおうとして事故」ていうのを思い出してたみたいですね
それを今思い出しましたw
久々に危なくない、普通なラブシーンが書けたと思いますがいかがでしょう?
一応前書きには注意書きを書きましたが…^^;

それでは少しでも『チョコレート』楽しんでいただけたら幸いです♪

これからも『豆カン。』をよろしくお願いします(つω`*)テヘ






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