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老若男女の童話
作:カスヤ セイイチ



中編


彼は疲れたような足取りで砂漠を歩いていました。
実際に、彼はブリキだから人間達のように疲れはしません
しかし、照り付ける太陽は容赦なく彼を蝕み、死神が後ろから一歩一歩彼に近づいているような気さえしました。
それでも彼は歩き続けました。
すると、遠くの方から何かが近づいてきます。
どうやら砂嵐のようです。
砂嵐は何もかもを飲み込まんとする猛烈な勢いで、こちらに向かっています。
彼もこのまま飲み込まれてしまうのでしょうか?
いいえ
違いました。
砂嵐は彼の前まで立ち止まると、彼をサボテンから奪った目で見ました。
品定めするような、見下すような、そんな目付きで見ました。
しかし実際には小さく、サボテンの黒く小粒程度の瞳ではどんな目をしているのか彼には分かりませんでした。
でも彼には品定めされるような、そんな感じがしました。
やがて、砂嵐はその大きな体にも負けない大きな口を開けて、彼に言い放ちました。
『お前はここで何をしている?』
口からは言葉とともに猛烈な突風が彼に襲い掛かりましたが、彼はそれを踏ん張って耐えました
やがて彼は口を開き
『僕にも分からない』
とだけ言いました。
すると、砂嵐は何やら憤慨したような顔をして
『馬鹿にしおって』
と言い、その大きな口で息を吸い込むと、フーっと息を吐き出しました。
するとたくさんの砂に混じってそれはそれは、凄まじい勢いの風が吹き荒れました。
彼は吹き飛ばされまいと必死に耐えました。
それを見た砂嵐はもっともっとと、意気込み、さっきよりも大きく息を吸い込み今度はブーーっと吐き出しました。
さっきよりももっと激しい風が彼に襲い掛かりました。
今度ばかりは彼も駄目か――――
いえ、なんと彼はさっきよりも、もっと足に力を込めて、うぅんと踏ん張って耐えていました。
さすがに根負けしたのか砂嵐は、吐き出すのをやめ、彼に尋ねました。
『どうして、そんなにお前は頑張るのか?』
彼は答えました。
『分からないけど、頑張らなきゃいけない気がして、、、、それに』
彼は答えに詰まっている様子だったので、砂嵐は催促するように
『それに?』
と言うと、やがて彼は決心したように口を開き、こう言いました。
『それにあなたがどんなに必死にしていても、とてもじゃないけど迫力に欠ける。そう考えてたら、何だかあなたが起こす風もそよ風にしか感じませんでした』
それを聞いた砂嵐は大きく息を吐きながら、大笑い。
あまりに突然の事に、彼は吹き飛ばされそうなった程でした。
『お前はそんな事を考えてたのか?はっはっは、それじゃあいくら風を吹いても駄目なわけだ』
『そうですよ』
『どうすればいいものか?』
もし腕あったら、腕組みするような様子で、砂嵐は考え込みました。
『簡単な事ですよ』
彼は砂嵐に言い放ちました。
『本当か 』
砂嵐は驚きのあまりその豆粒みたいな大きさの目を、落花生ぐらいの大きさにして彼を見つめました。
『あなたのその豆粒のような目を彼女に返してあげてください』
『それでは、私が見えなくなるではないか?』
砂嵐は聞き返しました。
『僕の目があなたの世界を見る目となりましょう』
砂嵐は驚きのあまり、さらにその目を大きく見開いて彼を見ました。もうこれ以上目を開いたら目が破裂するのではないかと、彼が心配になるほどでした。
『それでは、お前が見えなくなるではないか?』
『その心配は無用です。目など無くとも、僕は心で見る事が出来ますから』
砂嵐は、ブリキのお前に心があるものか、と思いましたが、彼があまりにも誇らしげに自分の胸に手を置き言うので、その事は黙って置きました。
『それに、、彼女は僕の目を代わりに付けているので、交換すれば少しは貫禄が出ると思いますよ』
っと彼は付け加えました。
『そうか、、、』
それ以上、砂嵐は何も言いませんでした。



砂嵐が去ったあとはとても静かな砂漠が広がっていました。
その中にポツンと、佇む人が、、いやブリキの彼がいました。
彼には目があるべき所に目は無く、ぽっかりと黒く穴が開いてました。
時々その穴から砂が入ってきましたが、そんな事は気にしない様子で彼はまた歩き出しました。
彼は一体何処へ向かっているのでしょうか?


おっと、時間が来たようです。またの機会にお話し致しましょう―――














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