老若男女の童話(1/2)縦書き表示RDF


老若男女の童話
作:カスヤ セイイチ



前編


あるところにとてもおおきくて広い砂漠がありました
砂漠は全てに無慈悲でした。
照り付ける太陽は、全てのいきものを容赦なく照らしだし、あるものは水を求めて蜃気楼という名の幻想に翻弄され、またあるものはサソリという名の死神に自らの時を止められ、あのものは夜の残酷さに凍え死にました。
いきもの達は自分だけは生き残らんと、とても必死でした。
その砂漠の中に一人の人間がいました。
いや、違います。よく見るとブリキで出来た生き物でした。
それはどんないきもの分かりませんが、分かっているのは彼はもしくは彼女は、ブリキで出来ているという事です。人間を模したであろう身体には所々錆び付いていて、頭の上には三角形の帽子を乗せています。
その小さな身体からは時々金属同士が触れる耳障りな音を立てていました。
ゆっくりとした足取りからは、彼もしくは彼女はとても疲れているように見えました。
肩にはリュックを重そうに背負っています。
彼もしくは彼女は、ブリキの錆び付いた身体を引きずるように、この広大な砂漠を歩いていきました。


すると彼もしくは彼女は、一人の人間を見つけました。
その人間は太っちょでとても暑そうに、その場にへたりこんでいました。

彼もしくは彼女は太っちょの人間に話しかけました。
『どうかされましたか』
男性とも女性とも取れる声でした。その人間は、彼もしくは彼女に怒鳴りつけました。
『こ、こんな砂漠で追いはぎにあった俺にどうかされましたかだとっ!?』
喉が渇いていたのかすっかりしゃがれた声を張り上げて怒鳴りました。
『それは大変でしたね。喉が渇いている様子なのでお水を上げましょうか?』
すると男性は目を見開いて
『くれっ!!何でもするから!!』
と彼もしくは彼女に擦り寄って懇願しました。
『いいですよ』
彼はそう笑顔で言い放つとリュックの中から小さな水筒を取り出しました。
それを男性が素早く奪うと、あっという間に全部飲み干してしまいました。
『もっとくれ!!!』
男性がそう言うので彼もしくは彼女がリュックからまた新たな水筒を取り出そうとすると――
男性はリュックもろとも奪い、どこにそんな力があったのか何も言わずに走り去っていきました。
『・・・』
彼もしくは彼女は黙ってその場にいましたが、やがて立ち上がりまた歩き出しました。


容赦なく照り付ける太陽は彼もしくは彼女を徐々に蝕んでいきます。
それでも彼もしくは彼女はゆっくりとした足どりで進んでいきます。


すると一つのサボテンがうなだれています。
今まで見てきたサボテンは太陽の光を身体一杯に浴びるため身体を目一杯反らせているのに、このサボテンは目一杯うなだれています。ブリキの彼もしくは彼女は尋ねました。
『どうかしましたか?』
するとサボテンはゆっくりと顔を上げました。
片方の目がありませんでした。
『この顔を見たら分からないの?貴方はおバカさんね。私の片目がなくなっちゃったのよ!』
泣きながら刺々しくサボテンが言いました。
彼女が言うには、、ある日道を歩いていると、突然大きな砂嵐が舞い上がり、あっという間に彼女を飲み込みました。
彼女の身体は刺が少し抜かれただけで無事でしたが砂嵐は彼女の片目だけを奪い去って行きました。
『片目がないだけなのに、他のサボテン達は私をいじめるの!それに、ブリキの貴方には分からないと思うけど私の美しい身体が両方の目で見れないのよ?片目だなんてあんまりだわー』
また泣きながらうなだれてしまいました。
『僕の片目で良かったらあげる。』
ブリキは言いました。
『本当に?』
顔をあげ、期待と不安の混じった瞳でブリキを見つめました。
『ちょっと待ってね。』
そういうと彼はおもむろに左手を目に添えて、右手で後頭部をポンッと軽く叩くと目がポロッと手に落ちました。
ちょっとオイルの滲んだ目を彼女にハイっと渡しました。
『いいの?』
彼女は尋ねました。
『いいよ』
彼はそういうとじゃあ、といいそのままいってしまいました。
あとに残されたサボテンは目を取り付けると、嬉しそうに他のサボテンの元へ行きました。

彼はどこへ行くのでしょうか?



おっと時間ですので、続きは後ほど、、、お話しましょう。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




TOP | NEXT


小説家になろう