まずは謝罪を。
これは前回投稿した話を修正したものです。
投稿後、いざ読み直してみたら、
作者の考え不足が浮き彫りになってしまいました。
このままではまずいと修正したものがこの話になります。
その為、若干の差はあるものの、内容はほぼ同じになっています。
但し、大事な部分が多い為、再投稿という形を取らせて頂きました。
次話だと思ってくれた方には大変申し訳なく思います。
すぐにでも次話を投稿する事で謝罪の代わりとさせて頂きたく思います。
それでは、お楽しみください。
「なるほど。あれは囮であった可能性が高いのだな?」
「ハッ。既に接触したと見てよろしいかと」
「・・・そうか。北辰。準備は滞りないな?」
「御意。受け渡しも予定通りに」
「ならば、それを万全の状態としよう。
何、既に繋がっているのなら利用してやれば良い」
「如何しますか?」
「当日、ナデシコには蚊帳の外にいてもらおうじゃないか。ある意味、当事者でもあるが」
「・・・・・・」
「妨害工作は順調だったな。ふっ。次は見逃してやれ。無論・・・」
「ハッ。改竄の準備は既に完了済みです」
「ロック解除法は?」
「捕獲した機体より解読致しました。多少の変化も対応できるかと・・・」
「良くやったぞ。北辰。クックック。これでは既に見逃してやってるとは言えんがな」
「ハッ。後は捕獲し、都合良く・・・」
「うむ。指示通りに」
「仰せのままに」
「既に火星は掌握済み。後は遺跡のみだ。最早、和平など何の意味もない。
憎き神楽の嘆きが今からでも聞こえてくるわ。ハーッハッハッハ」
「それにしても、ケイゴさんはどうしたんだろうか?」
ナデシコが地球に帰ってきてから早二週間。
すぐにでも連絡を取ると言ったケイゴさんからは未だに連絡なし。
う~ん。忘れてるって事はないだろうし。
・・・やっぱり妨害工作とかで大変なのかな?
出来れば早めに連絡取りたいんだけど・・・。
「コウキ」
「あ。アキトさん。お疲れ様です」
「ああ。コウキこそ、お疲れ様」
相変わらずクールなアキトさん。
若干汗を掻いてるし、訓練でもしてたのかな?
「木連和平派から連絡は来たのか?」
その話でしたか。
「いや。残念ながら、まだです」
「・・・そうか。随分と待たせるな」
「・・・すいません」
「いや。コウキに言っている訳ではない。やはり大変なのだろうか?」
「恐らくそうでしょう。草壁派は優先的に神楽派の妨害をしていると考えられます」
「草壁派の策。和平交渉時の味方殺しか・・・」
「それを知っているというのが俺達の利点ですね。阻止し、かつ、利用できます」
「利用か・・・。人が死ぬか死なないかという瀬戸際なのにな」
「・・・ええ。俺も随分と汚くなった気がします」
・・・若干、自己嫌悪。
昔の俺なら利用しようなんて考えなかった筈。
策略とか権謀とか、汚い世界に足を踏み入れてしまったからな。
嫌われちゃいそうだよ。本当に。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・暗くなっちゃったな。
「と、とりあえず、俺達は待つ事しか出来ません」
「・・・そうだな。信じて待つしか―――」
ウィーンウィーンウィーンウィーンウィーン!
「敵襲か!」
突如鳴るエマージェンシーコール。
最近は忙しくて戦闘に参加できなかったけど、今回はここにいるし。
データ収集+自身に新型機を慣れさせる為にも参加しようと思う。
「ブリッジへ向かいましょう」
「ああ。急ぐぞ」
「はい」
さてさて、今回の襲撃だが、何かしらの意味がある気がするな。
流石に、木連も無闇に戦闘を仕掛けて来る程、愚かではないだろうし。
ひょっとしてケイゴさんが何か?
・・・まぁ、戦闘終了後には全てが分かっている事だろう。うん。
「なんでこうなる」
「しょうがないでしょ。実戦データが欲しいって言ったのはコウキ君なんだし」
戦闘が開始しました。
僕はそれをブリッジから眺めます。
・・・参加したいって言ったよね?
「確かに言いましたけど、別に乗りながらでも・・・」
「残念ながら、数が足りなかったんだってさ」
「ガーン」
新型機はまだ戦場には出せません。
その理由は二つあって、一つは単純に調整中である事。
いきなり実戦配備して損傷でもされたら、どうしていいか分からないからね。
とりあえず一度整備班で分解・組み立てして、損傷用の予備パーツを見極める。
一度っきりならいいけどさ。何度も整備しては実戦、なんてのを繰り返すかもしれないし。
きちんと機体の内部、武器、外部、細部を把握して、
いつでも完璧に近い状態に持っていけるようになって、
その状態・環境で初めて戦場に出す事が出来るという訳さ。
新型機ならではというか、新型機故の、まぁ、弊害って奴ですね。
大量生産じゃないからいちいちマニュアル作りから始めないといけないし。
まぁ、その作業さえ終えれば成果を期待できる訳だから仕方のない事なのだけど。
それで、もう一つは・・・。
「切り札ってのは最後まで取っておくものなのさ」
「誰に言ってるの?」
「このナデシコなら良くある事です」
「はぁ・・・」
とりあえず、続きを・・・。
新型機という訳で一応は新しい機能を追加してある訳だ。
そんな機体をたかが通常戦闘で表に出すのは愚か過ぎる。
出撃回数が多いという事はそのまま分析される回数が増えるという事に繋がるからだ。
分析されれば利点も大した利点にならない。
最終決戦まで長引かせるという訳でもないけど、少なく出来るならした方が良い。
無論、慣らせる為に、という事も必要なので、通常戦闘でも出撃する事はあるだろう。
まぁ、それはもう一つの理由でもうちょい後って事になるでしょうね。
・・・しっかし、俺も一応パイロットなんだしさ。乗りたかったよ。
「ほら。落ち込んでないで。仕事しなさい」
「分かりました」
ま、それもそうか。
仕事しましょう。
「セレスちゃん。手伝って」
「・・・はい。頑張ります」
「うん。よろしく」
さて、セレス嬢の協力も得られたので・・・。
「久しぶりに使いますか」
スチャッと懐からバイザーを取り出す。
若干進化したナデシコのレールカノンカメラ接続用の端末。
装着すれば全方位が視界になるという優れものだ。
ナノマシンの扱いもこれでもかという程で大分慣れたしね。
さてっと・・・戦況はどうなってるのかなぁ?
『各機散開。いつも通りだ』
『『『『『『了解!』』』』』』
・・・既に乗りこなしてますねぇ。
現在、パイロット勢が搭乗している機体はリアル型とスーパー型。
これらは既に量産体制が整っているからという理由で、
機体の整備が可能なのといずれ軍単位で表に出るんだからいいんじゃねという意見から。
軍の方針としては各基地に防衛用として一機か二機、スーパー型を配備して、
小隊のリーダー機やエースパイロット用ににリアル型を配備するつもりらしい。
とりあえず優先的にこの二つのフレームを回してもらったのだが・・・。
「俺だけないってのもあんまりだよな」
ナデシコ内にあるのは、まずスーパー型が一つ。
まぁ、予備パーツ含め場所を取るから仕方ないとも言える。
そして、肝心のリアル型だが・・・。
何故か、六つしかない。そう、何故か。
スーパー型はガイが乗るとして残り七人。
あれれ? 数が合わないぞ? 状態に陥る訳だ。
そして、結局、お前は情報収集に徹しろと俺だけブリッジにいるという事態。
・・・どうしてもう一つ補充してくれなかったんだ!?
まぁ、確かに現在六つの新型機があって、八人全てに用意できない時、
リアル型で補うとしたら三機必要になってくるってのは分かる。
一応、予備としてそれぞれ一機ずつ用意しようって事で六機なのも分かる。
・・・分かりたくないけど。
結果としてリアル型は六機、スーパー型と合わせて七機。
結局、俺だけなしなのかよ!? って事になるのは・・・分からん!
・・・文句を言っても始まらないので、諦めるとします。
「やっぱり適正が高かった三人はダントツだな」
アキトさんもいいけど、こうして見比べてみると無駄というか、まぁ、そういうのが目立つ。
まぁ、撃墜数はトップだけど、やっぱり状況判断、位置取りという点では敵わないかな。
何かしら目立つという訳じゃなく、三人とも無駄が少ない。
いや。無駄が少ないからこそ目立たないのかも。
誰かの言葉で本当の戦上手こそ讃えられず、目立たないとか言ってたな。
まぁ、そんな事はどうでもいいとして、やっぱり小隊に一人は欲しい存在だと思う。
俺達も八人という大人数、かつ、得意距離や機体もバラバラな訳だし、
いずれ本格的に隊を二つやら三つに分けて小隊として活動させる事になるだろう。
その時、彼ら三人には調整役としての役割が期待されるな。
すると、ガイとスバル嬢は近距離だから別になるだろう。
後はバランス型のイツキさんとヒカルかな、別になるとしたら。
そして、遠距離型といえる俺とイズミさん?
まぁ、僕はバランス型と自負してますが・・・。
とりあえずそんな所でリーダー機としてアキトさんとアカツキかな。
しっかし、実際アキトさんはリーダーって感じじゃないんだよな。
どちらかというと遊撃に走ってくれた方が助かる訳だし。
いや、リーダーシップはあるよ。でも、戦法がね。
真ん中か後方で状況を把握して指示を出せるのがベストな訳じゃん。
常に飛び回っているアキトさんは指示とかより戦闘に専念させた方が遥かに効率が良い。
でも、確か女四人衆のリーダーはスバル嬢だったか?
う~ん。分かんなくなってきた。この辺りは艦長辺りと相談しよう。
俺なんかより断然良い意見がもらえるだろうし。あと副長もね。
「見た限り、かなり有効な気がしますね」
「そうね。以前よりスムーズに進んでいる気がするわ」
「・・・機体性能の向上に伴い、以前より数倍の速さで既定数を撃破しています」
なるほど。貴重なご意見をありがとう。セレス嬢。
「これらが軍で出回って、しっかりと扱えるようになればかなりの戦力の向上になりますね」
「そうね。優勢に立てるかも」
「向こうが無人機である以上、殲滅戦でも問題ないですしね」
しかし、無人機の量産は本当に性質が悪いぜ。
そりゃあ、既にエステバリス一機で何体分もの活躍が出来るさ。
でも、やっぱりパイロットは人間な訳だし、人海戦術は堪える。
疲労がないのは結構大きいのかもしれん。
まぁ、無人機同士での戦争は唯のゲームになっちゃうから断固として反対だけどね。
人間の感情があるから戦争が起こる。
それは当然の事だけど、逆を言えば、人間の感情があるからこそ戦争は収まる。
それは被害だったり利益だったりするけど、確かに人間の力だ。
それがどうだろう、無人機同士の戦いだったら・・・。
恐らく戦争は永遠に終わらない。
その背後に人間がいようと、危機感も平和への意思も芽生えないのだから終わる事はない。
戦争を対岸の火事にしちゃいけないんだ。
当事者にならないと何も考えようとしない。
こうして和平へと意思を重ね合わせられたのは人間の意志があったからだと俺は思う。
「さて、そろそろ・・・ん?」
敵の数も少なくなってきて、そろそろ終わりかなという時、ちょっとした違和感に気付いた。
一体? 一匹? まぁいいや、そいつだけ妙に動かない。
そのくせ弾丸だけは見事に避けている。
これはさぞかし倒しづらいだろうなぁと思いしばらく眺めていたのだが・・・。
「なんだか何かしらの意味がある気がしてきたぞ」
近付こうとも逃げようとしない一定の距離感。
ひたすらにナデシコを見詰めるその瞳は普通とは違う気がする。
あ。ちなみに相手はバッタだから。あしからず。
『うおっしゃぁ! ラスト!』
って、いつの間にかそいつ一機に。
「ちょ、ちょっと待て!」
『う、うお、何だ? コウキ』
「撃破する前にちょっと様子を見させてくれ」
『あん? どうしてだよ?』
「いいから」
今、確かにガイの拳に反応していた。
しかし、攻撃されたというのに逃げようともしない。
これは明らかに意味がある。
「アキトさん」
『どうした? コウキ。あと一機なのだが・・・』
「その一機ですが、妙だと思いませんか?」
『妙?』
「ええ。他の奴らより俊敏さに優れているくせにまるで見守るように外側で待機。
攻撃しようともせず、逃げようともしない。こいつの意図が俺には掴めません」
『確かに。だが、意味なんてあるのか?』
「恐らくは・・・」
もしかしたら、ケイゴさんからのメッセージかもしれない。
回線が繋げられないから強引な方法を取るしかなかったとか。
いや、過信は出来ないけど。
「アキトさん。似たような事が以前にもありませんでしたか?」
『ん。いや。あったのかもしれんが、気付いたのは今回が初めてだな』
初めてかぁ・・・。いや、もしかしたら何度も送ったのかもしれないし。
確か地球に帰って来てからの初戦闘は五日後だったと思う。
それから何度も戦闘はあったらしいし。
ケイゴさんとしてもすぐに整えられずに、連絡だけ取ろうと思っていたのかもしれない。
そして、未だに連絡が取れずに焦っているなんて事も・・・。
でも、あれがもし草壁派とかだったとしたら・・・。
安心しきった時に銃を放たれるなんて事があるかもしれない。
クソッ。どうする? どうするのがベストなんだ?
・・・俺が行くか。
「皆さんは一度帰艦してください。艦長」
「はい。何でしょう?」
「俺は今からあれを回収、もしくは解析してきます」
「そ、それは危険です」
「いえ。何かしらの意味がある。俺はそう考えています」
「し、しかし・・・」
『それならば、ひとまず推進装置やら武装やらを破壊してから回収すれば良かろう』
アキトさん。
「アキト。そんな事、出来るの?」
『ああ。構造は把握しているからな。データに損傷が出ないよう慎重に回収しよう』
「・・・御願いします」
『任せておけ』
助かります。アキトさん。
「どういう意味があるって考えてるの?」
問いかけてくるミナトさん。
他のブリッジクルーからの視線も感じる。
「以前、俺が神楽派と伝手があるという話はしましたよね」
「ええ。連絡待ちって奴よね」
「はい。しかしながら、地球帰還から二週間。なんの音沙汰もありません」
「それじゃあ、あのバッタが神楽派からのメッセージかもしれないの?」
「それは数ある可能性の一つです。もしかすると、草壁派からの監視かもしれませんし」
「ナデシコを分析してるって事?」
「恐らく、草壁はナデシコにかなりの注意を払っていると思います」
「地球で最も勢いがあるから?」
「ええ。一応、確実に撃破しているらしいのでデータは渡っていないと思いますが・・・」
「分析データは渡ってなくても映像は渡っているかもしれないんでしょう?」
「そうですね。その可能性はあります」
映像からでも分析は可能だ。
まぁ、監視対策として切り札を取っといてある訳なんだけど・・・。
「でも、それならバッタごと回収した方が効率的なんじゃなくて」
「イネスさん」
またもやいつの間にか後ろに。
やっぱりボソンジャンプをマスターしたのでは?
「映像データだけではなく分析データだって欲しい訳じゃない。
別に遠距離からでも保存は出来るけど、やっぱり現地での方が精度は良いし。
とにもかくにも、監視が目的なら逃げようとしないのはおかしいって訳ね」
「ええ。その通りだと思います」
「分かっているのなら候補から消せばいいじゃない」
「万が一がありますから。逃げないのは回収させた後、生身のパイロットを狙う為、とか」
「・・・性質が悪いわね。でも、ありえない話ではないわ」
「はい。監視しつつ、データを手に入れられて、うまくすれば危険人物をも暗殺できる」
「向こうにとっては良い事尽くめって訳ね」
「ええ。だからこそ、アキトさんの提案には感謝です」
「そうね。行動不能にして、向こうのデータだけもらえるならそれ以上の事はないわ」
「はい」
「それにしても色々と考えてるのね」
「まぁ、備えあれば憂いなしといいますか。臆病ですから」
「ま、過信して油断を招くよりは何倍もマシよ」
「アハハ」
一応、フォローしてくれたのかな?
『回収したぞ』
「お疲れ様です」
『ああ。とりあえず格納庫の方へ運んでおいた』
「分かりました。すぐに向かいます」
『一応、外側からは潰しておいたが、まだ不安だからな。内側から機能を停止してくれ』
「了解しました」
ソフト面で停止させないと怖いですからね~。
「艦長。ちょっと行ってきます」
「はい。後で報告御願いします」
「了解です」
さてっと、向かいましょうか。
「これだ」
「ありがとうございます」
アキトさんに指し示されてバッタのもとへと向かう。
それまでは一応危険という訳でパイロットや整備班には隠れていてもらった。
まぁ、銃口側にいなければ万が一もないだろうけど、一応ね。
「機能停止っと」
いやぁ。バッタはソフト面のブロックが貧弱で助かります。
あっという間に制圧してしまいましたよ。アッハッハ。
「もう大丈夫ですよ」
その言葉をきっかけにぞろぞろ集まってくる連中。
「それで、何でこいつを回収させたんだ」
「奇妙だったから、こいつ。何かしらの意味があるんじゃないかなと」
再びコンタクト。
何かしらのデータが・・・。
「んなもんあるのかねぇ?」
「ま、なかったらなかったでいいんじゃない?」
「そうね。別に問題ないわ」
「はい。あったら良いぐらいの気持ちでいいかと」
「とりあえず、早くして欲しいんだけど」
はいはい。
「えっと・・・」
お、あった、あった。
「ありました。とりあえず映像データらしいので流しましょう」
バッタの背中から映像が飛び出して空中に。
今更ながら、3D技術って凄いな。
『この映像を見ているという事は無事に辿り着けたという事でしょうか』
あ。ケイゴさん。
「誰だ? こいつ」
「この人はカグラ・ケイゴさん。神楽派の代表の息子さんです」
「お、って事は向こうの和平派からの連絡って事だな」
「はい。そうなります」
やっぱり、そうだったか。
ひとまず安心って奴だ。
『こちらの不手際でご迷惑をおかけして申し訳ありません。
連絡の取りようもなく、何度も襲撃をかけるような真似をして申し訳なく思っています』
「それじゃあ地球帰還後の戦闘は全部連絡を取る為だったって事かよ」
「紛らわしいなぁ。おい」
でも、仕方のない事なんだよな。
バッタ単体でいたら確実に怪しいし。
違和感なく、連絡するならこういう形でやるしかない。
要するに、今までもずっと連絡を取ろうとしてくれたって訳だ。
もっと早く気付けてればって思う。
『こうして強引な連絡しか取れなかった事から分かるように、
残念ながら約束していた回線への接続は失敗に終わってしまいました。
繋ごうとする度に妨害があったからです。所属不明でしたが、恐らく草壁派でしょう』
やっぱり妨害があったのか。
『急な話であり、そちらの都合を聞かずにで大変申し訳ないのですが、
妨害工作が繰り返される以上、草壁派にバレずに極秘で接触するしかありません。
そちら側の移動時間などを考慮し、勝手ながらこちらで日時を決定させて頂きました。
その決定を付属データの方に乗せましたので、
そのデータ通りに所定の場所まで来て頂けないでしょうか』
「付属データ?」
「ああ。多分、これです」
もう一つのディスプレイを展開。
しっかし、厳重なロックだったな。
バレてはならない最も重要なものだから仕方ないか。
これは俺のソフト面の扱い、所謂ハッキングの腕を信頼していたという事だろう。
・・・なんか複雑な気分だ。
「地球近海って所か? まぁ、行くのには割と時間が掛かるが」
「それでも俺達にとっては近い方だろうよ」
「まぁ、向こうは便利な移動方法があるし遠くても大丈夫なんだろ?」
「しっかし、そこに着くのに一週間ぐらいは掛かるんじゃねぇか?」
「だからだろ。日時指定」
「一応、所定の時間は3月の24日って事で余裕はあるわな」
「移動時間を考慮してって言ってるんだから、多めに取ってあるんだろ?」
「到着次第こちらから接触しますだってよ」
「・・・なぁ、これって罠じゃねぇのか?」
「確かに。その可能性もなくはないよな」
「おう。必ずしも確実にこいつが言ったとも限らないんだろ?」
「捏造っちゅう訳か?」
「怖いな。罠だったりしたらよ」
・・・その点も考慮しなくちゃならないか。
整備班の皆さん、ご意見ありがとう。
『そこで落ち合い、今後の話し合いを行いたいと思います』
両派閥のトップ同士の会談か。
出来る事ならば実現したいけど、罠である事を考慮すると・・・。
「コウキ。残念だが、その日はちょうどミスマル司令の演説の日だぞ」
「え? 正式に決まったんですか?」
「ああ。昨日、司令から連絡が来てな」
・・・ミスマル司令は当然演説を優先しなければならない。
そうなると、ミスマル司令をその場所まで送る事は出来ないな。
移動時間とかも考えて。
さて、どうするか。
『この事を和平派のトップの方にお伝え下さると幸いです』
そうだよな。トップには報告しておかないと。
しかし、用心してるなぁ。ケイゴさん。
既にトップである司令と接触してるのに、隠す為に知らない振りなんかしてるし。
俺との回線も約束のとか言って誤魔化してるしね。
所謂、必要最低限の情報しか載せず、重要なデータは厳重にロックって奴。
いやぁ。流石に色々と考えてますね。
必ずしも草壁派に拾われて漏洩しないとも限らないし。
秘密だったもんな。ケイゴさんが極秘で地球に来てた事。
ロックされたデータさえ露見しなければそれほど影響はない。
・・・接触を図っているって事はバレてしまうだろうけど。
まぁ、そんなのはとっくに知っているだろうからやっぱり問題はないな。
「とりあえずミスマル司令に相談したいと思います」
罠とか色々と考慮しなくちゃならないし・・・。
「ああ。それが良いだろう」
「とりあえずデータをコピーして艦長と司令に提出しましょう」
「そうだな。そうしよう」
うん。まずはそれが最優先かな。
『また、ナデシコがメッセージを受け取った証、かつ、了承の返事として、
次回の戦闘時、チューリップを破壊する前に捕獲したバッタを送って頂きたく思います』
まぁ、受け取ったって事を知らないと困っちゃうだろうしね。
「了解っと」
途中で誰かしらに拾われたら困るだろうからデータは全削除だな。
とりあえずこっちには今の映像を保存したデータがある訳だから問題ない。
向こうは向こうで自分達が送ったのだから理解してるだろうし。
『最後になりましたが、これを機に両陣営が歩み寄れる事を願っています。
強引な方法で大変申し訳ありませんでした。それでは、私はこれで失礼させて頂きます』
ありがとう。ケイゴさん。
なんだか希望が見えてきた気がします。
おし。今まで連絡が取れなくて不安だったけど、ようやく連絡が来た。
急だけど、会談もセッティングできたし、これで足並みを揃えられる。
ミスマル司令は流石に厳しいだろうから、№2のムネタケ参謀にでも御願いするかな。
申し訳ないけど、大切な日だから、司令は諦めてもらうしかない。
「火星の方への報告は会談後すぐにしたいから・・・」
参謀はナデシコで送っていくとして、俺とアキトさんは火星の方達の所にいるとしよう。
司令の演説後、すぐに火星の方達を説得した方が納得してもらえる気がするし。
おぉ。なんか色々と明確なビジョンが見えてきたな。
更にやる気が出てきた。
今から大体二週間後の3月24日が勝負か・・・。
とりあえず、火星側で誰かしら味方を作っておこうかな。
出来るだけ求心力のある人を。
おっしゃ。和平提唱に火星再生機構の発足などなど。
やる事はまだまだたくさんあるぞ。
気合入れて頑張るとするか。
真実か、罠か。
読者様に意外と思って頂けるような展開にしたいと思います。
あまり話すと自分短慮ですからネタバレしそうなので、
この辺りにしておきます。
次回を楽しみにして頂けると光栄です。
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