遅くなりました。
スランプなどと大袈裟な事を言うつもりはありませんが、
何故か筆が進まない。助けて欲しい今日この頃です。
『各機散開! 出撃してくるジンを二人一組となって撃墜せよ』
『『『『『『「了解!」』』』』』』
男四人、女四人の現状、それぞれ二人組になれば四つのチームが出来る。
「イツキさん」
『はい!』
そのような時、殆どが俺はイツキさんと組んでいる。
スバル嬢はイズミさんと、ガイはヒカルと会長はアキトさんと大抵組む。
まぁ、僕達は途中参加した人間と正規なパイロットじゃないっていう、
言わばあまりものみたいなものですしね。
でも、甘く見られちゃ困る。正式ではないけど、教官と教え子の仲だ。
連携では他のチームにも劣らない。
「俺が先行します。イツキさんは援護を」
『了解しました。お気をつけて』
ディストーションブレード。
俺も未熟とはいえ、ケイゴさんに剣術を習った身。
鈍い動きしか出来ないジンに遅れは取らない。
「はぁ!」
向かってくるジンのロケットパンチを断ち切る。
ディストーションブレードの切れ味を舐めてもらっちゃ困る。
「ハァァァ!」
イツキさんの援護によって拓けた道に飛び込む。
小型グラビティブラストに注意しつつ、ディストーションフィールドを突破する。
「クッ。固い」
流石にバッタとは訳が違った。
DFの強度が段違いだ。この状況下では突破できないか!?
『コウキさん。一度下がってください』
どうやらイツキさんもそう判断したようだ。
立て直そう。
「了解」
周囲に注意を配りながら後退。
流れ弾はDFが弾いてくれるが、安心は出来ない。
向こうの小型GBを喰らえば流石にまずいしな。
『流石にバッタのようにはいきませんね』
「はい。フィールドガンランスなら全体重を込められるんですが、
ディストーションブレードでは厳しいかもしれません」
これには形状が大きく影響している。
ディストーションブレードは切れ味重視で突破力不足。
対して、フィールドガンランスは突破力重視で切れ味不足。
要するに、敵機体を直接切り付けるならディストーションブレード。
敵機体を纏うディストーションフィールドを突破するならフィールドガンランスがベストという訳だ。
『分かりました。それならば、私がDFを突破します』
現状の装備は、ガントレットアームの両腕、腰にディストーションブレードとレールカノン、
背中に大型レールキャノンという近、中、遠に対応した武器。
ガントレットアームに装着されている簡易ライフルは出力調整で連射性を重視してもらった。
要するに、完全に撹乱用という訳。
後はディストーションブレードか、大型レールキャノンで仕留めるというスタイル。
ジンを相手にするならこっちの方がベストだ。
対してイツキさんは俺とは用途の違った選択。
ガントレットアームなのは同じで、
違うのは近、中に対応するフィールドガンランスにラピットライフルを二丁という点。
また、このライフルは威力重視らしく、辛うじて遠距離にも対応できる威力と精度を持つらしい。
基本的に中距離にいるイツキさんにはベストの選択だと思う。
そして、現状で必要なのはフィールドガンランスの突破力。
俺が持っていない以上、イツキさんに任せるしかない。
『突破後、私が追い討ちをかけます。コウキさんは―――』
「いえ。俺が・・・仕留めます」
『そう・・・ですか。分かりました。御願いします』
・・・甘えるな。
イツキさんにばかり負担を掛けていては二人組の意味がない。
突破後、イツキさんがフィールドガンランスで装甲を削り、
俺がディストーションブレードで仕留める。
これがベストの選択の筈だ。
それを、人を殺したくないなんていう甘えで・・・逃げる訳にはいかない!
何より、そんな役目を彼女だけに押し付ける訳にはいかないだろ!
俺も背負うんだ! 自らが殺してしまった人の命を! 責任を!
『・・・いきます!』
一呼吸置いて飛び出すイツキさん。
俺はそれの少し後方から彼女を追い、彼女に迫るバッタを排除していく。
彼女も周囲に向けてラピットライフルを撃ち続けるが、それはあくまで牽制。
彼女のスピードが落ちないよう、周囲を片付けるのは俺の役目だ。
ディストーションブレードを右手に、レールカノンを左手に持ち、
ガントレットアームのライフルで牽制しつつ、
近ければDBで、遠ければレールカノンで的確に屠っていく。
先程、彼女が俺の道を拓いてくれたように、今度は俺が彼女の道を拓く番だ。
『ハアァァ!』
どうにか接近に成功したイツキさんがジンを覆う強固なDFにフィールドガンランスを突き立てる。
全ての力を槍の先端に乗せ、敵へ突き立てる行為は圧力が凄まじい。
ディストーションブレードを弾き飛ばしたDFをフィールドガンランスは容易に突破してみせた。
・・・さぁ、いくぞ・・・。
「ゴクッ」
息を呑む。
そんな時間はないと自覚している。
だが、知らぬ間にそうしていた。
『コウキさん!』
突破と同時にフィールドガンランスのレールカノンを放ち続けるイツキさん。
・・・そうだ。ここで躊躇していれば、彼女の身に危険が迫る。
それは即ち、彼女を危険に陥れ、更にはナデシコまでも危険に陥れてしまうという事。
ナデシコには護りたい大切な人がたくさんいるんだ。
ここで躊躇する。それが結果として彼女達を失う事になってしまったら・・・。
『コウキさん! 後退しま―――』
「・・・やるしかないんだ。ハァァァ!」
一生後悔する。大切な人を失うくらいなら、俺は罪を背負おう。
ザァン!
「・・・・・・」
断ち切り、駆け抜ける。
後ろからは眩しい光。機体内の機関部が損傷し、内部爆発した結果だろう。
そんな爆発に飲み込まれれば、中のパイロットは生きていられない。
そう・・・死んだんだ。
『・・・コウキさん』
心配そうなイツキさんの表情。
嫌だな。こういう時はサウンドオンリーにしたかった。
俺の今の表情は誰にも見せたくなかったのに。
『免罪符にする訳ではありませんが、殺さなければ殺されていた。それが戦争です』
「・・・ええ。分かっています」
『・・・帰艦しますか?』
「いえ。最後まで、俺も戦場に立ちます」
『・・・そうですか。・・・頑張りましょう』
「・・・はい」
気分は最悪だった。
実際に人が死んだ瞬間を見た訳じゃない。
でも、事実、俺はこの手で人を殺したんだ。
背負おうと誓ったんだ。
強く心を持て。俺。
恐怖に飲み込まれれば、お前が死ぬ事になるんだぞ。
『各機へ。敵戦艦の機関部へ突撃する。援護を頼む』
あらかたジンを片付けたからだろう。
戦艦への道が拓けた事を機にアキトさんが戦艦へと飛び込んでいった。
『コウキさん。見てください!』
アキトさんの援護をする為に敵戦艦へ近付いた俺とイツキさん。
ナデシコメンバーもジンを片付け、俺達と同じようにアキトさんの背中に付いていた。
そして、叫ぶように大声を上げるイツキさん。
その視線の先には・・・。
「・・・エステ・・・バリス?」
以前、地球で戦った木連側の新型人型機動兵器。
その姿があった。
しかも、以前のようなどこか違和感のある姿から、
更にエステバリスへと近付いた完璧に近い高機動戦フレームの姿だった。
機体性能、OS、そのどちらも、こちらに対して劣っていないと判断した方が良いのかもしれない。
やはり木連の技術は甘く見てはいけなかった。
『テンカワ君の突撃は変わらないよ。あれは僕達が引き受けようじゃないか』
会長からの一声と躊躇する事なく飛び込んでいくアキトさん。
俺達は会長の言うように、アキトさんの邪魔はさせまいと、
アキトさんを追うように移動し始めた敵の機動兵器の前にそれぞれ立ち塞がった。
『ここから先は行かせねぇぞ』
『お前の相手はこの俺だ』
早速斬りかかる我らが前衛二人。
敵機動兵器の数はこちらの半数に当たる四機。
アキトさんの援護に三機を当てるとして、一機に対して一機を割り当てる計算だ。
「俺が行きます! 皆さんはアキトさんの援護を!」
『コウキさん!? 私が!』
「いえ。イツキさんは援護に回って下さい。
あれだけの迎撃体制に対して的確に援護できるのは俺よりイツキさんです」
悔しいが、援護役、フォロー役にはイツキさんが最も適している。
俺はどちらかというと万能という名の器用貧乏だ。
それぞれの頂点に君臨する者には遠く及ばない。
『・・・分かりました。コウキさん。御気を付けて』
「イツキさんこそ。健闘を祈ります」
『・・・はい』
心配そうに去っていくイツキさん。
駄目だな。パートナーに不安を抱かせてしまっては。
もっとしっかりしないと。
「貴方の相手は俺がします」
『・・・容赦しないぞ』
ッ!? ・・・有人機か。
「・・・こっちだって!」
『かかって来い!』
・・・失望した。
有人機である事に対して焦った自分自身に。
どうやら俺は無意識に無人機である事を望んでいたらしい。
覚悟を決めた筈なのにな。
『ハァァァ!』
フィールドガンランスを両手に突っ込んでくる敵機動兵器。
ジンのDFを突破した武器だ。こちらのDFも突破される恐れがある。
ここは避けるしかない。
「クッ」
向こうの機体もこちら並のスピードがあるらしい。
強引に避けた為に凄まじいGが身体に襲い掛かってきた。
『・・・ほぉ。あれを避けるか。貴様、名はなんという?』
「て、敵の名前を聞いてどうするんですか?」
『なに。強き者と雌雄を決する。なんとも素晴らしい事ではないか』
なるほどね。
木連らしい熱い魂だよ。
「マエヤマ・コウキ。愛機はエステバリス・高機動戦フレームです」
『なるほど。貴様がケイゴの言っていた奴か』
ケイゴ!?
ケイゴさんの事か!?
「貴方はケイゴさんの―――」
『礼儀だ。こちらも名乗ろう。俺は優人部隊所属キノシタ・シンイチ少佐。愛機は福寿だ』
話しかけている途中に台詞を入れてきやがって。
礼儀なんてなっちゃいないだろうに!
『さて、無駄話は終わりにして、勝負を決めようじゃないか』
な、なんつうマイペース。
自らが振った話を無駄話と切り捨てやがった。
『ハァ!』
「クッ」
フィールドガンランスからレールカノンが放たれる。
あれを調整したのは俺でもある。その特徴は掴んでいる。
『チィッ! ちょこまかと』
それは通常のライフルに比べ、重みがあるという事。
その重みは若干の方向転換の遅れへと繋がる。
気付かれなければ問題にならないが、気付けば一瞬を争うような戦闘だ。
充分な隙と成り得る。
とにかく照準を付けられないよう駆け回り、そして、徐々に近付いていけばいい。
『クソッ。調子に乗るな!』
どうやら射撃はあまり得意ではないらしいな。
まぁ、性格的に接近戦を好んでいるだけかもしれないが。
『これならどうだ』
その手には逆手に持たれたイミディエットナイフ。
それなら、こちらも受け止められる。
ガキンッ!
『やはりやるな』
ディストーションブレードで受け止める。
賞賛されるが、そんな事はどうでもいい。
こいつには聞きたい事がある。
「聞きたい事があります」
『それに答える義理はないが?』
「それでも答えてもらいます」
鍔迫り合いをしている今がチャンス。
なんとしても聞いてみせる。
「先程、ケイゴと言いましたが、それはカグラ・ケイゴの事ですか?」
『無論だ。そちらもケイゴの事は知っているんだったな』
「・・・やはり、ケイゴさんは木連側の人間だったんですね」
『やはり、か。なるほど。予想は付いていたという事だな』
「怪しんではいました。でも、それが事実だと知ると・・・」
『ケイゴの言った通りの奴だな。ふんっ!』
「クッ!」
油断したのだろうか。
イミディエットナイフに弾き飛ばされてしまった。
『甘い奴だ。まぁ、仲間を愛し、信頼する精神は尊いと思うがな』
・・・別にケイゴさんがスパイであった事に対して憤りを感じている訳ではない。
ただ、無様にもOSを持ち込まれてしまった自分が許せないだけだ。
「福寿といいましたよね?」
『答えてやる義理はないと言ったが、教えてやろう。その通り、この機体の名は福寿だ』
・・・福寿。エステバリスの和名。
これは皮肉だろうか?
『既に理解しているのだろう?』
こちらのエステバリスの情報を基に製作された機体である事。
その性能はこちらと同等である事。
・・・そんな事、とっくに理解しているさ。
『さて、今度こそ、無駄話は終わりとしようか。マエヤマ・コウキ』
・・・福寿。
俺の干渉によって産み出されてしまった木連の新型機動兵器。
それなら、俺が責任を持って・・・潰す。
「ハァァァ!」
『いいぞぉ! その気迫だ!』
ディストーションブレードで斬りかかる。
単純な突進だ。工夫も何もない。
案の定、簡単に受け止められた。
だが、俺の攻撃はそこからだ。
「ハッ!」
『何!?』
剣術の腕前で他のパイロットに劣る俺が彼らと対等に戦う為に編み出した戦闘術。
それは剣術と柔術の組み合わせ。言わば、足元がお留守だよ攻撃だ。
『ク、クソッ』
悔しそうな声をあげる敵パイロット。
ふっ。膝を砕いてやったぜ。
宇宙空間だからあまり意味はないかもしれないが、それでも精神的にダメージを与えられた。
「油断しましたね」
接近し、敵の攻撃手段を防ぎ、隙を突き、蹴り上げる。
OSを弄くり、常に足に対して強力なDFを纏わせる事に成功した俺の愛機だ。
蹴られればひとたまりもないだろう。
『・・・なるほど。どうやら甘く見ていたようだ』
・・・空気が変わった。
今までのが嘘かのように、敵方からの凄まじい圧迫感。
どうやら、手加減されていたらしい。
「・・・・・・」
『・・・・・・』
俺も向こうも対面したまま動かない。
いや、動けないんだ。
恐らく向こうは隙を窺い、俺は隙を見せまいと構えているから。
どちらも攻撃を仕掛けるきっかけがない。
『敵戦艦の機関部の破壊に成功した。各機、状況を窺いつつ、徐々に後退しろ』
そんな中、告げられるアキトさんからの報告。
どうやら、俺達が福寿を足止めしている間に撃破に成功したらしい。
『・・・作戦は失敗のようだな』
「・・・・・・」
『残念だが、勝負は預けておこう。さらばだ』
・・・向こうは向こうで撤退命令が出たらしい。
そうだよな。母艦がやられたんだから。
追撃しようにも、それじゃあ命令違反だし、これといった利点がない。
ここは素直に撤退しよう。
「・・・ケイゴさん」
今回の戦闘。
俺にとっても大きな意味を持った。
初の人殺し。福寿の存在。ケイゴさんの真実。
考える事がたくさんあって、頭はこんがらがっていた。
初の人殺しに感慨深くなっている余裕もなく、状況はめまぐるしく変化している。
これからどうなるのか、俺には全く見当が付かなかった。
「・・・コウキ君。今はゆっくり休みなさい」
「・・・ミナトさん?」
「いいから。ね?」
「・・・はい」
・・・そうですね。少し休みます。
ミナトさんの優しい温もりに包まれながら、俺は眼を閉じた。
どうやら思ったよりも精神的に疲れていたらしい。
知らぬ間に、俺はミナトさんの膝の上で死んだように眠っていた。
あれ? オリキャラ登場?
・・・キノシタ・シンイチ。
これ以上オリキャラを登場させるつもりはなかったのですが・・・。
あくまでコウキ君のライバルはケイゴなんですけどね。
ナデシコ側にも多くいるあまり出番のない人間。
それと同じような扱いをしてしまって構いません。
便宜上、いないとおかしいというだけで、重要じゃないかもしれませんしね。
さて、それは今後に注目してください。意外と出番は多々?
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。