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徐々に最終回へと近付いている事を実感。
早く完結までもっていきたいと思いつつも、
反面なんか寂しくもあってもっとゆっくり書こうかなって・・・。

とにもかくにも、投稿します。
第八部 ~コウキ帰還と情勢立て直し~
第百十五話




「ふはぁ~。疲れた」

欧州方面軍の教導を終えた。
腕に自信があるというのは偽りではないようで、非常に苦戦。
実際、致命傷喰らって撃墜ギリギリなんて事もあったし。
落とされなかったのは、あれだね、意地。
こんな所で躓いてちゃ夢なんか叶えられないっていう。

「また、また私・・・」

教導の際に再び落とされてしまったカエデ。
今回はナデシコの中にも、カエデ以外で落とされた人がいるんだけど・・・。
やっぱり悔しいんだろうな。

「カエデ」

落ち込むのも分かる。
俺だって自分だけミスしたり落とされたら劣等感を抱くだろうし。
でもな、カエデ、人は挫折を繰り返して強くなるんだ。
よく言うだろ?
涙の数だけ強くなれるって。
今はとことん悔しがれ。
それが糧となり、バネになる。
高く飛ぶ時ってしゃがむだろ?
今のお前はそんな時なんだよ。

「コウキ。どうすれば良い? 私、どうしても近付かれると・・・」

うん。何が弱点か自覚しているみたいだな。
カエデの弱点は接近戦の弱さ。
それを自覚し、克服するだけで一回りも二回りも強くなれる。
さて、どうするかな・・・。
出来る事なら、接近戦が強い人に相手してもらうのが良い。
スバル嬢やガイ、アキトさんなんかがそれに当たる。
でも、彼らも教導で疲れている筈。
そんな人達に相手してもらうのは・・・なんか気が引ける。
疲労がない相手なんて・・・。

「・・・いるじゃないか」
「え? 何がよ?」

なんで忘れてたかな?
カエデに相応しい練習相手がいるって事。

「カエデ。教導を終えた後、訓練する気あるか?」

こいつ自身にやる気がないと始まらないからな。

「あるわ! もちろんよ!」

おし。こいつ自身のやる気はOK。
後はその場を俺が作ってやるだけだ。

「付いて来い。スペシャル特訓スケジュールを組んでやる」
「お、お手柔らかにね」

どうした? カエデ、腰が引けてるぞ。

「何を弱気になってる? 強くなりたいんだろ? だったら、鬼の訓練あるのみ」
「・・・なんて危ない笑顔。コウキ、正直、怖いわよ」

ふっふっふ。
確実に強くしてやるから、安心して耐えてくれ。
まぁ、間違いなく対近接格闘型には強くなれると思うぞ。
なんたって相手が格闘のスペシャリスト兼高機動戦を得意とするパイロットなんだから。
・・・残念ながら本人じゃないけど。





「アルフォンス大尉であります」
「えっと、始めまして。マエヤマ・コウキです」

欧州方面軍でもアジア方面軍の時と同じように反省会兼懇親会が開かれた。
適当に放置で待遇ばっちりって最早懇親会といっても過言じゃないよな?

「姉と義理の兄がお世話になったと聞き、こうして参った次第です」

懇親会中、アジア方面軍の時の教訓を活かし、色々な人に積極的に接触してみた。
話す中、もちろん、和平や抗戦についての話になるんだけど・・・。
やはり和平派も抗戦派もいた。
部隊単位の時もあったし、個人単位の時もあり、更には支部単位もあったり。
色々とあったけど、一つ言えるのは確実に意見が違う者もいるという事。
誰もが同じ意見なんてやっぱり持つ訳がないんだよな。

「姉と義理の兄?」

そんな様々な人間に意見を聞く中、逆にあちらから接触してくる者がいた。
突然、名前を告げ、頭を下げてくる。
いや、正直焦ったね。
俺、なんかしたか? とか思っちゃったし。

「はい。私はアレス隊所属アマゾネス艦長アルメイラ大佐の弟です」
「あぁ。アルメイラ大佐の」

道理でイケメンだと思った。
アルメイラ大佐も目が覚めるかのような美人だったけど・・・。
こっちは失神するぐらいのイケメンだ。
無論、女性限定で。
いや、一部の男もそうかもしれないな。
あ、もちろん、僕は違いますよ。
カッコいい顔には憧れるけどね。

「こちらこそ、御二人には大変御世話になり、感謝の思いでいっぱいです」

頭を下げる。
どちらかというと俺の方が世話になったよな?
うん、やっぱり、感謝するなら俺の方。

「頭をおあげください。そのような事をされたら私が姉に怒られてしまいます」
「え?」

なんで大尉が怒られるの?

「姉より貴方は『一生頭があがらない方』と聞かされています。
 そのような方に頭を下げられたと知れば、姉は烈火の如くお怒りになるかと」

そ、それは言い過ぎですってば!
何もしてないのに・・・。

「昨日、その姉より伝言を頼まれました」
「伝言?」
「はい。必ず伝えるようにと言われています。
『戦死したと聞きましたが、やはり生きておるようで嬉しく思います。
 すぐにでも再び会う機会があるでしょう。その際には是非お立ち寄り下さい。
 改めて、貴方様には感謝を。生涯、このご恩は忘れません。
 それでは、決戦の場にてお会いしましょう。必ずや活躍してご覧にいれます』」

そっか。アルメイラ大佐らしい言葉だな。
なんか嬉しい。
でも・・・。

「少し修正しましたか?」
「分かりましたか」

苦笑いのアルフォンス大尉。
いや、内容自体は変わってないと思うけど、口調がね。
貴方様とか言いそうにない。
多分、いつも通りの口調の伝言だったのをアルフォンス大尉が修正したんだろう。
まぁ、俺は別に気にしなかったけどね、いつもの口調で。
アルメイラ大佐はあの口調が似合ってるし。
なんか女神様って感じで・・・素敵だと思う。

「先日、貴方の死亡届けが取り下げられ、生存が伝えられた際には、
 姉と義兄は狂喜乱舞だったと同じ部隊の方々に聞かされております」
「それは・・・光栄です」

そこまで気にしててくれたなんて嬉しいな。
そういえば・・・。

「先程、姉と義理の兄と言いましたが、もしかして・・・」
「はい。先日、正式に婚約しました。披露宴の際には貴方にも出席してもらいたいと」
「そうですか。おめでとうございます」
「ありがとうございます」

あの二人が結婚か・・・。
美女にナイスミドル。
うん、お似合いの夫婦だな。
・・・嫉ましい。
俺の場合は美女に野獣・・・ではなく、美女に・・・何だろう?
良い言葉が見付からない。
まぁ、どちらにしろ・・・ガクリッ。

「あのような姉と兄がいて羨ましいです」
「私の誇りですから」

どこまでも爽やかな青年だ。
多分、ファンクラブとかがあるだろうな。
しっかし、ここにいるって事はアレス隊所属じゃない訳だろ?
いや、公私混同とか嫌そうだから、それはそれで良いんだけど・・・。
この人はどこの部隊に所属してるのかな?

「アルフォンス大尉はどこの部隊に?」
「若輩の身ながら、一部隊を任されています」

部隊長? この若さで?
・・・やっぱり凄いな、この姉弟。

「その部隊の名は?」
「アテナ隊と」
「アテナ隊!?」

さっきの演習で一番苦戦した部隊じゃないか!
精鋭が集められた中、一際目立ってた高い能力を持つ部隊。
一人一人の練度はもちろんの事、あの連携が凄まじかった。
カエデも彼らに倒されたんだったよな。

「姉弟で優秀なんですね」

本当に。
優秀で容姿端麗で器量良くて・・・。
いや、世界にはこんな人もいるんだな、と脱帽。

「いえ。私などまだまだ。姉にも兄にも敵いません」

そして、謙虚ときた。
あれだな。パイロット王子とでも命名してやろう。
爽やかな人間は血筋関係なく、皆王子なのさ。

「マエヤマ・コウキさん」
「はい」

真剣な表情のアルフォンス大尉。
きっと真面目な話だろうから、俺も態度を改める。

「私達軍人にとってナデシコとは希望です」
「希望・・・ですか?」
「はい。なかでも私達のような和平を望む者にとっては夢といってもいい」

希望。夢。
重いな、その期待が。
でも、やり甲斐のある仕事だ。
潰される事なく、歩み続けてやろう。
目的を果たすまで、必ず。

「必ずや我らの夢を、世界中の民に争いのない平和な時を」
「はい。必ずや」

断言してしまった。
これは何があっても成し遂げないとな。

「その為であれば、私達も助力は惜しみません。なんでもおっしゃてください」
「ありがとうございます。では、さっそく一つだけ」
「何でしょうか?」
「少しでも多く軍人を和平派に引き込んで欲しいんです。
 私達は和平を成し遂げたい。でも、その為には皆さんを含めた民の協力が必要になる」
「私達も民の一人であると?」
「はい。お願いできるでしょうか?」
「分かりました。微力ながらお手伝いさせて頂きます」

心強い。
彼ほどの人間が声をかければ皆が和平派に属するだろう。
彼の人気を利用するようで悪いけど、背に腹は変えられない。

「それでは、そろそろ失礼します」
「はい。ご協力感謝します」
「いえ。こちらこそありがとうございました」

そう言って去っていくアルフォンス大尉。
最後まで爽やかな人だった。
ペレとは大違いだぜ。

「さて、もうちょっと回ってみるかな」


欧州方面軍。
己の腕に絶対の自信を持つ集団。
そして、それ相応の腕を持つ集団。
今回はナデシコ側にとっても良い訓練となった。
このようなチャンスが再び来るかは分からないが・・・。

「次こそは余裕で勝利してやる」

和平、抗戦もあるけど、それよりも前に自身の勝負だった。
まだまだ子供だな、俺も。
でも、男ってのはそういう生き物だ。
負けず嫌いでも構わないだろ?





『コウキ君。今、大丈夫?』
「あ、はい」

今日も今日とてレポート作成。
あれです、ミスマル司令に提出するタンポポ調整と木連状況の奴。
タイトなスケジュールでも、頼まれた仕事はきちんとこなしてみせますよ。
それが必殺仕事人ですから。
ごめん、嘘。

『ブリッジに来てくれるかな? なんでも地球連合政府の大統領の会見があるとかで・・・』
「大統領の会見? 分かりました。急ぎます」
『ええ。作業中にごめんなさいね』
「いえ。ではまたブリッジで」
『了解。待ってるわ』

今日も今日とてミナトさんの世話に。
いや、いつもご苦労をおかけしまして・・・。
感謝の気持ちでいっぱいです。

「大統領の会見か。多分、総選挙の事だろうな」

政府関連の事なんてそれぐらいしかない。
さて、どうなったのやら。





SIDE MINATO

『国民の皆様、まずは謝罪から入らせて頂きたいと思います。
 先日からの一連した出来事。さぞかし不安を覚え、怒りを抱いた事でしょう。
 大変申し訳ありませんでした。これも全て私達政府の人間の力不足が原因です』

謝罪から入る大統領。
いつも高圧的なイメージが強い政府の人間も変われば変わるものなのね。
形だけだとしても、受け取る側としては全然印象が違う。
前置き一つで支持率は大きく変わるものよ。

『先日、連合軍改革和平派の代表であるミスマル・コウイチロウが告げたように、
 私達政府は地球に住む方一人一人の意見を反映させ、今後の方針を決めようと思います』

政府といえばメリット・デメリットを考えるもの。
本来であれば、戦争の舵取りも自身達で行いたい筈。
でも、こうして国民に任せる、もっと言えば国民に依存する選択をした。
逆に言えば、そうせざるを得ない程に国民達の関心が強かったって事。
政府に任せればいいやっていう適当な認識ではなく、
自分達で決めるべきだ、という意識が強くなったってのが大きい要因でしょうね。
そういう意味ではコウキ君達の頑張りは実を結んだって事になる。
国民に戦争への関心を植え付けるのも仕事だった筈だし。
しっかし、政府の人間からしてみれば屈辱的だったでしょうね。
認めざるを得ない状況だったんだけど、認めたくなかった筈だわ。
自分は民の代表としてここにいる。
それなのに、どうしてわざわざ民の意見を聞く必要があるんだって。
まぁ、確かに政治家というのは民の代表としてそこにいる。
でも、だからといって信じられるかどうかは別よ。
汚職やら何やらで逆に支持を失っているのが事実だもの。
結局、権力を握ると人って堕落するものなのかしら?
それって嫌よね、凄く。

『その期日は、といきたいのですが、その前に皆様に伝えねばならぬ事があります』

伝えなくちゃならない事?

『それは二つあります。一つは地球連合軍の元最高司令官の事です』

地球連合軍最高司令官。
今では頭に元という文字が付くが、それ以前は軍部のトップとして君臨していた人物。
そして、コロニー落としという大罪を犯したもの。
到底、許されるものではないわよね。

『先日の裁判にて、彼は有罪と決まり、終身刑と相成りました』

終身刑か・・・。
当然といえば当然よね。
もしコロニーが落下してたら、何億人もの人間が簡単に死んでいたんだもの。
たとえ落下前に爆発する予定だったとしても、許していい訳がない。

『皆様のお怒りは尤もです。このような大罪を犯した者を許して良い訳がない。
 ですが、どうか矛をお収めになって、今は地球の今後について考えては頂けないでしょうか?』

庇っているようにも聞こえるけど、切り捨てるようにも聞こえる。
一体、どっちなんでしょうね?
まぁ、今更最高司令官を庇った所で連帯責任を取らされるだけ。
誰も助けようとはしないわよね。

『さて、もう一つの方ですが・・・』

中々発言しない大統領。
話し辛い事なのか、それとも、間を計ってるのか。

『一月程前、木連より正式な宣戦布告を受けた事は皆さんもご存知でしょう。
 彼らが語る決戦。私達政府も軍も迎え撃つ事に決定しています。
 その後、再び彼らより連絡が来て、決戦における詳しい事が決定しました。
 場所、時間、日付。それら全てが正式に決定しましたのでご報告したいと思います』

決戦の場所、時間、日付が正式に決定された・・・か。
そのどれもが地球、木連の両陣営にとってかなり重要な事項。
果たして、地球にとって都合が良い方向に話を進める事が出来たのかしら?

『まず、場所ですが・・・』

間違いなく地球に近い場所。
でも、明確に位置付けするのなら・・・。

『地球にとっても木連にとっても因縁深い月となりました』

月。地球軍と木連軍で幾度も争った場所。
現在では地球側が独占しているけど・・・。
いつまでたっても月の民に平穏はないのね。
精神的に資源的にもかなり消耗してるでしょうに・・・。

『なお、その際、強引で申し訳ありませんが、月の民には退去して頂きます。
 もちろん、衣食住は保障いたしますので、どうか寛大な心を持って応じて頂きたい』

結局、犠牲を強いられるのは民。
退去しなければ確実に死んでしまうとはいえ・・・。

「やるせないわね」

彼らの故郷である月が戦場になるのも、荒らされるのも・・・悲し過ぎるわ。

『日付は月時間での十月五日。木連の宣言通りの日付となります』

木連という国家が建国された日だったかしら?
縁起を担ぎたいって所かしら。
でも、いずれその認識は変わるわ。
地球と木連が手を取り合うきっかけとなった最初の日だって。

『その日の現地時間1200にて木連艦隊が登場となります』

登場後、争う前に互いに告げるんでしょうね。
己の意思と想いを。

『今日から数えておよそ二週間。それが私達に残された時間です。
 それまでの間に私達は地球の方針を決定し、動き出さねばなりません』

そう、たったの二週間しかない。
選挙をするのにだって時間は必要だし。
戦力の立て直しにはもっと必要よね。
本当に間に合うのかしら?

『今すぐにでも国民の方々に協力して頂き、地球の意思を決定したい。
 ですが、何事にも準備は必要。そして、準備には時間が必要なのです』

仕方がないとは分かってる。
シティや国単位でも大変なのが選挙。
それが世界規模なんて事になったらどれだけ大変か。
しかも、どの国も同様のやり方で選挙を行っている訳ではなく、その辺りの調整も必要。
分かってる、二週間という期間でもギリギリであるという事は。
でも、どうにかするしかないのよ。
切羽詰ってるのは今まで妥協していた分のお釣りが来ただけなんだもの。

『その準備時間を考慮して、総選挙は十月一日に執り行いたいと思います』

決戦の四日前。
すぐに票を数え始めても一日二日は掛かる。
最終的な結論が出るのは、決戦の二日か三日前・・・か。
本当にギリギリね。

『投票方法は追って皆様に連絡致します。
 是非とも世界中の全ての人間に参加して頂きたく思います』

それが理想。
でも、実際は難しい。
投票をするという事は投票する人間にそれ相応の知識が必要となる。
民主主義が取れるのは国民の能力が高いから。
ううん、正確に言うなら、国民に学べる環境が出来ているから。
でも、学べる環境が出来ていない国では民主主義、所謂投票が意味を成さない。
それ故に一部の人間に依存した方法で政治を行っているの。
民主主義は平等という謳いだけど、その実、能力が求められているが故に不平等なのよ。
結局、世界規模の選挙とて全ての人が平等に意見を唱えられる訳ではないという事。
でも・・・。

「和平を結ぶか、抗戦を選ぶか。その選択ぐらいなら・・・」

誰だって争いは嫌。
知識がないからこそ、打算がなく純粋に平和を願ってくれるかもしれない。
そう思うのは独り善がりかしら?

『また、その結果によって空席となっている現最高司令官の席。
 この席に誰が座り、軍の指揮を執るかを決めたいと考えています』

これはコウキ君の予想通り。
やっぱり国民の意思を反映し、実行できる人間にこの席は任せたい。

「ミスマル司令がこの席に座れたら良いわね、コウキ君」
「はい。そう願わずにはいられません」

改革和平派として働いているコウキ君。
コウキ君からしてみれば、今更方針が抗戦となる事に納得ができる筈がない。
でも、それは抗戦派の人間からしてみても同じな訳で。
世界はそんな簡単なものじゃないって・・・実感したくないけど、実感する。
あぁ、神様。どうして人とは同じ気持ちを抱けないのでしょうか?
同じ考えを抱き、共に歩む事が出来れば争うこともないのに・・・。
・・・なんて、応えてくれる訳がないわよね。
人間の意思がそれぞれのように信仰する神様もそれぞれ。
神様に頼んだ所で庇護下に全ての人間がいる訳じゃないんだもの。
願いを叶えてくれる訳がない。
やっぱり、願いを叶えるならば自分の力じゃないと駄目って事か。
それなら、頑張るしかないわね、精一杯。

『以上です。皆様、選挙当日までゆっくりと考え、己の結論を決めてください。
 他人に委ねる事なく、己の意思のみで和平か抗戦かを。それでは、失礼致します』

会見が終わった。
決戦の事、選挙の事。
その全てが私達にとって大きな意味をもつものだった。

「地球連合軍、地球連合政府が出した答えがこれです」

艦長が口を開く。

「私達ナデシコは全方面軍の教導を終えた後、
 極東方面軍と共に月へと向かう事になっています」
「予定ではちょうど選挙が行われる日に月へと到着。選挙結果は月で聞くことになるね」
「今はただ私達のするべき事をするしかありません。
 地球に住む人々を信じて、やるべき事をやりましょう」

そうね。私達は信じるしかない。
彼らが和平を選んでくれる事を。

「それでは解散とします。アフリカ方面軍の基地に着くまでは自由時間としますので」

その言葉を機にクルーが動き出す。
えっと、コウキ君は・・・。

「コウキ君? どうしたの難しい顔して」
「いえ。あえて決戦の場に月を選んだのは何故かと思いまして」
「何故って、それは・・・」

何故かしら?

「地球に有利過ぎませんか? 木連の強味は補給に掛かる時間がない事。
 月面基地付近で戦えば、地球もほぼ同様の条件になってしまう。
 俺だったら何かしらの意図がなければ、わざわざ月を決戦の場にはしませんよ」
「それじゃあ、木連は何かを企んでるって事?」
「恐らく・・・」

相変わらず、色々と考えてるのね。
そんな事、私は考えもしなかったわ。

「かといって月に直接何かをするとは思えない。やはり・・・」

またブツブツと。
完全に思考モードに突入しちゃったわね。
しばらく放っておいてあげるか。

「セレセレ。一緒にお風呂にいこうか」
「・・・はい」
「あ、コウキ君も一緒だけど、良いよね?」
「・・・もちろんです」

セレセレはOKと。

「コウキ君。いくわよ」
「だから・・・いや、もしかしたら・・・」

いつにもまして酷い症状。
ま、今の私には都合が良いんだけど。

「付いて来るのよ、コウキ君」
「あ、はい」

返事をした後、再び思考モードに。
厄介だけど、この間は殆ど言いなりに近くて・・・。

「さて、行きましょうか」
「・・・はい」

歩き出す私達とそれに無言で付いて来るコウキ君。
多分、無意識だから、自分が今、どこにいて、何をしてるのかも理解していない。
だから・・・

「あれ? なんで俺こんな所に? ってえぇぇぇ~~~!?」
「エッチ」
「・・・エッチです」
「何故に風呂に入ってるとですか!?」

なんて事もできるのよねぇ。

SIDE OUT



最後のは気にしないで下さい。

決戦&選挙についての連絡。
これで明確な期日が決まりましたので、
より本格的かつタイトに動き回るでしょうね。

さて、それでは次回にお会いしましょう。


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