初投稿です。よろしくお願いします。皆さん、エチケット袋の御用意を。
プロローグ:殺人鬼覚醒
闇の中で彼は目覚めた。
首を上げる。体が鉛のように重い。
巨大な体躯を揺り動かして上半身を上げる。
黄色く光る月が雲の間から覗いていた。
その光が赤黒く染まった彼の腕を照らす。丸太の様な太い腕にはゴムホースの様な太い血管が浮き出ている。
ふと、彼の目に小さな変化が生じた。表情の無かった彼の目に僅かな動きがあった。それは怒りの様でもあり、安堵の様でもあり、哀しみの様でもあった。
まってろ すぐにいく
彼は側にあった斧を掴むとスッと立ち上がった。
月光に照らされた彼は異様な風体をしていた。
2メートルはあるであろう、その体に黒ずんだボロボロの服を纏っている。その服の隙間から覗く厚い胸板はクッションの様に盛り上がっていた。その様に全身の筋肉が周囲を威嚇する様に盛り上がりっていた。
太い指にしっかりと巻き付けられた斧は赤黒く色づいている。
数多の人間の血を吸った斧だった。そしてこれからまた新たな人間の血を吸う斧だった。
しっかりとした足取りで前方へゆっくりと歩いていく。枯葉を踏み小枝を折る固い音を出しつつ彼は猛然と歩いていく。
それらはまるで今宵死ぬであろう若者達に、肉を潰され骨を砕かれるであろう若者達に捧げられる嘆きの歌にも聞こえた。
ふと、彼は足を止めた。僅かな静寂が彼の周りを包み込む。
突然彼は空いている左腕を足下の地面に突き刺す。目的を果たし彼の
目の前に掲げられた大きな掌の中に蠢く影が一つ。
1匹の鼠だった。鼠は必死に彼の手中から逃れんとするも、激しく動く手足はただ空をきるだけだった。
彼はその光景を数秒間見つめ、頭に喰らいついた。彼の鋭い前歯が唾液にまみれた鼠の頭を噛み砕く。中から血と脳味噌が流れ落ち、彼の味覚を刺激した。
頭を噛み砕かれた哀れな鼠は全身を痙攣させ
ている。
頭を半分噛み千切った彼は鼠を血に濡れている唇から離した。鼠の断面からは骨の欠片と肉と脂肪の塊が覗いている。
彼は再び鼠を口に含み、今度は胴体半ばで噛み千切った。彼は血と脂肪と骨と糞尿の味を感じているだろう。鼠の骨ごと肉を咀嚼する。骨の砕ける音と肉の潰される音が辺りに響く。
そして、鼠だったものを音をたてて飲み込むと、
残りの肉を口の中に放り込んだ。
上半身を失ってなお、鼠はもがきその足が彼の歯と肉にぶつかる。4、5回咀嚼した後で鼠は残らず呑み込まれた。
深い息を一筋吐くと、何事も無かったかの様に再び歩き始めた。
雲が月を隠し
殺人鬼は闇に溶けた。
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