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童貞で三十歳を迎えたら魔法使いになってたよ! 作者:下北沢
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宿飯

斡旋所に紹介して貰った宿に行き人数分の部屋を頼んでみると、二人部屋二つと一人部屋が三つしか空きが無かった。
他の宿に分ける手もあるが、明日には全員分を個室で用意出来るとの事。
それとこの宿には運河からの水が引き込まれている為に天然のプールがあるらしい。
女性陣は宿を分けるよりも二人部屋でも良いからここを選びたいだろう、何せ全身を水で洗える機会は中々無いのだ。
僕が一人部屋なのは確定として、後の部屋割りは二人部屋マイン・エルザ、二人部屋ケイト・ジュリア、1人部屋スズらしい。
荷物を置いてすぐに食堂で夕食を食べる事になった。
食堂は酒場も兼ねているので、他の客も入っている為に賑やかだ。
本日の定食みたいな物を人数分注文し、お茶を多めに頼んだ。
この世界はどこも水は有料だが味気ないので、僕は有料のお茶の方が好みなのだ。
まぁ、どちらも煮沸をしているから手間は変わらないし。
料理が出揃うまではかなり時間がかかりそうなので、僕はジョーイさんから得た情報を総合して考えた今後の方針を話合う事にした。
「まず、僕から報告があります。このゲーム世界において僕のポイントランキングが一位になっていました」
「おお、流石は我が主。感服いたしました」
ジュリアだけが世辞を述べていて、後のみんなは渋い顔をしている。
まぁ、喜ばしい事は何も無いからね。
「これで一位になった僕の名前が知れ渡って、PK集団からより一層狙われる事になると思います。先日サンガ周辺で戦った賊は全員が蘇生されたと思われ、僕達にいつ攻撃を仕掛けて来るか判らない状況になりました。今までは、僕達は護衛を受けていた為に先回りをされて待ち伏せを受けていましたが、これからは待ち伏せはほぼ無くなります。僕らが何処にいつ向かうか判らないからです」
「あれっ?王都には行かないの?」
「そうですね、スズには王都へ取り敢えず向かうと前に言ってましたが状況が変わりました。まずはこの町で依頼を受けながらPK集団の方針を見極めます。生き返った彼らの手下を各地のPCを襲わせるのか、僕を再び追いかけ回すのか。追いかけ回すつもりであれば、王都への道で全員連れて待ち伏せをするでしょう」
「ああ、だから王都へはすぐに行けないのね」
「はい。待ち伏せなら痺れを切らしてこの町へ様子を探りに来るのを待ちます」
「タロウの事は放置するって場合は?」
「彼らの足取りを追ってPK集団のトップを叩くのもアリかもしれません。明日には「寺院襲撃者の調査又は殲滅の依頼」が出るらしいので、それを受けておいてどちらにも動ける体制を取ろうと思います」
「依頼は必要なの?」
「はい、絶対に必要です。今回のランキングで治療や蘇生のポイントがかなり高い事が判りました。僕と初期からPTを組んでいたスズもランキング入りをしています。これは僕の治療や蘇生のポイントの約70~80%を皆さんも取得出来ているからです」
「えっ、私ランクインなんてしてたの?」
「九位っすよ、羨ましいっす」
「まぁ、PTで50%・同じ依頼を受けていれば70~80%も取得が増えるらしいので、これからは必ず長期の依頼を受けて行動ををしようと思います」
「そうか、私は前衛だから危険があってもタロウと一緒に行動するメリットは大きいな」
マインは神様と話しているのだろう、ぶつぶつと独り言みたいに喋っている。
「このゲームは依頼を大勢で達成する事がポイント収益率としては一番稼げるのだと思います。まぁ、数をこなすのが難しいので生産が一番なんですけど、PK集団がいるので生産はいつ殺されるか判りませんしね」
「明日「寺院襲撃者の調査依頼」を受けるとして、それを実際にやるの?」
「スズの疑問も尤もです、そもそも手掛かりも何も無いのでこれは遭遇戦に備えたなの保険です。暫くは討伐依頼や殲滅依頼をこなすつもりですが、急にPK集団に襲われた場合にそれを返り討ちにすれば報酬になるかもしれませんし」
「寺院襲ったのもPK集団だしね」
「そういう事です。まぁ、この地域から一度離れるのもアリかもしれませんけどね。船にでも乗って他国へ入ってしまえばPK集団と遭遇するのはかなり後になりますから」
「その頃にはヤバい組織になってるかもしれないっすねぇ」
「そうですね、数を増やすのが得意なスキルみたいですからね」
ある程度の方針を話した所で食事が運ばれてくる。
流石にお腹が減っていたのか、みんな夢中になって食べ始めた。
斡旋所のおすすめの宿はどこも飯が美味い、これは本当に有難い事だ。
もしかしたら斡旋所の人が一軒ずつチェックしているのかもしれない、今度ジョーイさんにでも聞いてみるかな。
食事を終えると女性陣は慌ただしく部屋へ戻って行った、恐らく天然プールに入りたいのだろう。
僕が食後のお茶をのんびり啜っていると
ツンツン
誰かが僕の袖を引いた、振り返るとエルザが僕の袖を握っていた。
「どうしたんですか?プールには行かないんですか」
「あのね・・・、明日斡旋所に行ったら工房になりそうな場所教えて欲しいの・・・」
何だかエルザの様子がおかしい、そう言えば今日も殆ど喋っていなかった。
「もしかして、活躍出来ない事を気にしてるんですか?」
エルザは僕の袖を握ったまま俯いてしまった、暫くそのままにしていると
「みんなの武器を錬成してみるの・・・それで練習をして砲を作る・・・の」
いつもの舌っ足らずな声は出さぬ事が、エルザの中での決意表明なのだろう。
語尾を伸ばさぬ様に頑張っているのが微笑ましい。
「判りました、明日ジョーイさんに工房に使えそうな場所を聞いておきます。水場が近いとかだと便利ですかね、色々冷やすのに水を使いますから」
「うん、お願い・・・ね」
「判りました、今日はもうプールで体を流しておやすみなさい」
「うん」
エルザがトタトタと部屋へ戻って行ったので僕も部屋へと戻り荷物を整理していると
”タロウ、今日はこれから憑依をしますよ”
「あれっ?神様が僕にちゃんと断ってから憑依するなんて珍しいですね」
”そんな事はありません、いつも通りです”
「そうですか・・・それでどちらへ?」
”プールで泳いだ後に情報収集へ”
「神様泳ぐの好きなんですね、こないだも川で・・・って情報収集ですか?狙われる有名人になってますけど平気ですか?」
”勿論です。それなりに動けますから”
それが出来てたらクロウとの一騎打ちに憑依してたのでは?
本当に平気なのかな・・・
”それに新しいスキルも取得しましたし”
「はっ?えっ?そんな大事な事教えて下さいよ!」
”ですから今言いました”
くぅぅ・・・こういう方だ、面白がって内緒にしてたに違いない。ドヤ顔が目に浮かぶ。
「えっと、どんなスキルなのか教えて貰ってもいいですか?」
”それは内緒ですw”
ハァァァァ・・・
盛大なため息と共に脱力して、まさしくorzの絵文字みたいなポーズになってしまった。
「判りました、兎に角気を付けて行って来て下さい」
”では、良い夢を”

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