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童貞で三十歳を迎えたら魔法使いになってたよ! 作者:下北沢
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準備

スズとジュリアを待つ間、エルザの新しい術法に必要な道具を作成する為の術式りを手伝わされた。
どうやらエルザは指向性を持たせた錬金術武器を作りたいらしい。
エルザの作った設計図を見る限りはバズーカ砲に近いイメージだろう。
筒に詰めた鉛の弾を錬金術による小爆発で敵に飛ばすという構想だ。
まずは錬金で鉄の筒を作り出したいらしいのだけれど、細かい数値が必要なので僕に頼んできたのだろうか。
「これ、錬金術で作るにしてもどうやるつもりなんですか?」
「あのね~、錬金術で溶解した純度の高い鉄を作れるの。純鉄に近い鉄の硬度は分子結合の密度が高くなるからとっても固くなるのね~。それを型に流し込んで作りたいんだけど~・・・、型を作る為の原型が必要になるの。出来るだけシンプルな形にするから作るの手伝って~」
「ああ、純鉄ですか。錬金術なら良い素材がふんだんに使えますね。ん?原型」
「そうなの~、そこだけは手作りになっちゃうの。砲を真っ二つにした形の木型を作りたいの~」
「ちょっと、これ。ライフリングまで入ってるじゃないですか。こんなの素人が木を彫ってなんて作れませんよ!」
「ええ~、これが無いと真っ直ぐ飛ばないよ~」
「ならライフリングを刻んだ棒に型材を流し込んでそれを削って芯棒にしましょう。長い筒にライフリングを刻んだ棒が真ん中に来る様に入れて石膏を流し込む、ちゃんと二つに割れる仕組みを作っておけば原型が完成します。でも・・・あー」
「なぁに?」
「溶接の技術が無いので薄く伸ばした鉄板をグルグルと巻き付けたでかくて重い物になりますね?素材の強度に心配なくても構造的にはちょっと暴発の危険がありますね。熱に強いライフリングを刻んだ芯に溶解した純鉄を流し込んで冷やし、芯棒をクスリ等で溶かす?そんな都合の良い物でもあれば一発で出来ますが・・・1500度の熱に耐えられる訳も無いですし」
と言ってはみたものの、そんな都合の良い物は思い浮かばない。
「粘土とか砂で作るのが一番マシなのかもしれませんね、型を作ったら一度焼いて固定した焼き物を芯棒に使えば後で壊して取り出せますから」
「作業の出来そうな場所ってあるかしら~」
「エルザが作ろうとしている物って、この世界の人に知られちゃいけない技術になりますからねぇ。ヘタに技術を盗まれたりすれば、この世界から消去されてしまいかねません。どこか空き家でも借りて隠れて作業しないといけませんね」
「そっかぁ~」
僕とエルザがそんな会話をしながら細かい術式を作って行く、バズーカみたいな物は長い期間かかるのは覚悟しているらしい。
並行してすぐに使える術法も考えているみたいだし、何とか役に立ちたいのだろう。
実際に乱戦になればエルザには何も出来る事が無い。先制攻撃をドカンと一発食らわせるぐらいしかやれる事がないとなると、何か他に出来る事を探そうとするのは当たり前の話か。
僕達がそんな作業に没頭していると、屋台でお昼を買って来たススとジュリアが戻って来た。
受付の女性にお金を支払い人数分のお茶を入れて貰い、お昼にする事になった。
二人に買ってきて貰った屋台の食べ物は、どれも味付けが濃くて美味かった。
「どれも美味しかったです、ありがとうございました」
良い物を買ってきてくれた事に素直に感謝の言葉がでた。
ドタドタドタ、バタン
食後にお茶で一服つけていると、けたたましい足音と共にリードさんが斡旋所に走り込んで来た。
「よ、よかった。こちらにいらしたんですね」
ゼーハー、ゼーハー
息を切らせたリードさんが僕達を見てそう言った、どうやら僕達を探して走り回っていたらしい。
「皆さん、先程ケイトさんと言う方が瀕死の状態で賊の探索を行っていた自警団に保護されました。詰め所まで来て頂けますでしょうか?」
僕達はリードさんのもたらした報告に驚いた、手掛かりの全く無かった二人の内の一人が見つかったのだ。
「判りました。皆で向かいますので、案内お願いします」
僕がスズ・ジュリア・エルザを見回すと「うん」と皆うなずいてくれた。
息を切らせて駆け込んで来てくれたリードさんには悪いけれども、また詰め所まで先頭に立って案内をして貰う。
朝に寄った詰め所は北門に近い位置だったが、今向かっているのは南門の方になる。
当然南門側の自警団詰め所なんて判らない、リードさんがいてくれて良かった。
斡旋所を出てから10分程歩いて南の詰め所に到着した、入口には副団長が立ってた。
「おお、タロウ殿。お待ちしてました。皆さんも中へどうぞ」
と言って僕達を中へ案内する。どうやら表で僕達を待っていてくれたらしい。
中に入ってみると奥のベッドにケイトが寝かされていた。
自警団の人に話を聞くよりもケイトの治療をした方が話が早いのかな。
ベッドの傍まで行ってケイトの様子を伺う。
どうやら呼吸はあるみたいだけれども意識は無いみたいだ。
「すみません、どこを怪我しているのか調べて貰えませんか?全体を治すと記憶も消えてしまいますので、まずは患部だけの治療に留めたいんです」
僕は一緒に来てくれたスズ達にケイトの具合を見て貰う事にした。
僕と入れ替わりでスズ・ジュリア・エルザがケイトの防具や服を脱がせて患部を確認し始める。
僕は後ろを向いて彼女達の診断を待つ。
「いいわよ、タロウ」
スズの声に振り返り、彼女達の診断を聞く。
「どうでした?」
僕の問いに答えてくれたのはジュリアだった。
「色々調べたのですが、背中に矢傷が二か所です。他の箇所に傷は見られません」
「矢傷でここまでの状態に?」
「はい。矢の刺さった場所がドス黒く変色していますので、恐らくは毒矢にやられたのではないかと思われます」
「そうですか。判りましたありがとうございます」
傷は背中だから片手のリターンで一部分だけの巻き戻しで済むが、問題は毒だ。
全身に回ってしまっている毒を片手のリターンでは治しきれない。
記憶が消えるが、ここは諦めよう。
僕はケイトの傍に寄ると彼女のお腹の辺りに両手を当てて、リターンを発動する。
一分・・・二分・・・三分・・・まだ回復しない。
意識を失ってからかなり経っていたらしい事が判る。
四分・・・五分・・・
ビクッ
ケイトの体に反応があった、ケイトがゆっくりと目を覚ます。
傷はまだ治っていない状態らしい、矢傷を受けてからそれなりに歩きまわったのかもしれない。
「ケイト、僕ですタロウです。何があったのか判りますか?」
「え・・・ああ、タロウさんっすか。マインさんが殺されたっす、私の事を逃がして・・・早くタロウさん
マインさんを助けてあげて欲しいっす・・・」
「判りました。傷をちゃんと治しますのでもう暫く横になってて下さい」
僕は再びリターンを起動する、するとケイトの顔色も良くなり
ガバッとベッドから起き上がった。
「マインさん!・・・あれっ?」
ケイトはスズ達に服を脱がされていた所にシーツを掛けられていただけだったらしく、勢い良く起き上がった事でシーツは腰の辺りまで下がっていた。
当然僕の目の前には上半身裸のケイトが僕の前に。
僕は決して大きくはないが、形の良い胸に目が釘付けになり固まってしまっていた。
ケイトは気が付いていないのか、僕の肩をユサユサと揺すりながら
「タロウさん、ケイトさんはどうなったっすか!?」
と僕に聞いて来る。
はわわわ、ちちチチ近い!
「ケイト!胸出てるわよっ。ちょっとタロウも何をじっくり見てるのよ!」
「えっ、ふぁぁぁ!何で裸!?」
スズの指摘にようやく気が付いたのか、シーツをズリ上げて胸を隠す。
「タロウさん!今のは・・わ、忘れて欲しいっす」
僕の頭の中にケイトのちっぱいは頭の中に永久保存されたが、ここは大人の詭弁
「判りました」
と答えておく。
喋り方はこんなだけれど、くびれのあるスレンダーなモデル体型で綺麗な上半身だった。ご馳走様です!
このままでは話が進まないと思ったのか、スズが
「昨日居なくなってから何があったの?」
と代わりに質問を始める。
「そうっす、マインさんは戻ってないんすか?」
「ええ、さっき「自分を逃がして殺された」ってあなたが言ってたわ」
「えっ!?」
「すみません。毒を受けていたんで完全に治しましたので、毒矢を受けた後の記憶は全部消えました」
僕が補足で説明をする。
「タロウさん、ちょっと後ろを向いてて欲しいっす。服を着るんで」
「ああ、ちょっと待って下さい。血だらけになっているんで魔法で戻します」
と言ってケイトの脱いであった服にリターンを起動し、必要な事を聞いておく。
「マインとケイトが交戦した場所は判りますか?」
「地図は持ってたから大体判るっす」
「町からの距離はどのぐらいですか?」
「町から一時間半から二時間ぐらい離れた所っす」
「相手は何人ぐらいいましたか?」
「十人ぐらいっす」
「お腹は減ってますか?」
「ペコペコっす」
服から血の跡が消え、矢の貫通した穴も消えた。
詳しい事情は移動しながら聞く事にして、今は現場に急ごう。
僕は巻き戻した服をケイトに服を渡すと
「ではこれからマインの探索をしたいと思います、一度斡旋所に戻ってからランタンと装備を持って集合しましょう」
僕は振り返るとリードさんに
「斡旋所までの道案内お願いします。一度装備を整えてからマインの遺体を探しに出ますので」
とお願いをするとリードさんから
「判りました」
という返事の他に
「私も同行してよろしいですか?」
という声が自警団副団長から上がる。
「構いませんけれど、戻るのは夜になるかもしれませんよ?」
「大丈夫です」
「ケイト。外で待っていますので、着替えが終わったら外に来て下さい」
「わかったっす」
外に出るとリードさんが
「商館に寄ってから斡旋所に行くのがいいかもしれません、通り道なので」
助言をくれる。
「あ、お願いします」
「お待たせしたっす。行きましょう」
「ケイト、途中の屋台で買って食事は済ませておいて下さい。暗くなる前にマインの死体を見つけ出したいので」
「了解っす」


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