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童貞で三十歳を迎えたら魔法使いになってたよ! 作者:下北沢
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報告

僕達は森を探索し始めてまもなく、マインとケイトが襲い掛かったと思われる敵の弓部隊の死体を見つけた。
矢の飛んできた方向に目星を付けて探しに来てみただけなのだけれど。
倒れている人数は五人、位置はバラバラだ。
後ろや横からの刺し傷が多いのは、ケイトとマインの奇襲が成功したからなのだろう。
だとしたらケイトとマインはどこだろう?
逃げ出した残りの敵を追いかけて行ったのか?
僕達は死体の周囲50メートルぐらいの範囲までを徹底的に探したけれども手掛かりが無い。
彼女達の死体も無いので生きているのだろう。
それから一時間程探してみたが何も見当たらない。
探している間に体がフラついてくるのが判った、足取りも重い。
疲れを自覚した所で一気に睡魔が襲ってくる。
そういえば、昨日から寝てないんだった。
これ以上は無理そうだ。そう思ったのでみんなに一旦戻る事を提案する。

「一度町の斡旋所に戻りましょう、報告と休息を兼ねて」

僕達は戦闘の邪魔になる荷物は全部置いて来ている。
全員が武器以外は手ぶらで、みんなも喉が乾いていても我慢していたはずだ。
真っ先に賛成したのはエディだった。

「ドガから何にも食べてないんだ、いい加減腹が減って動けなくなる。戻ろうぜ」

ケイトとマインの事が気になるが、何しろ手掛かりが無い。
マインと付き合いの長いエルザが

「賛成、斡旋所に戻って休もう」

と言って僕の提案を後押ししてくれた。。
僕達は爆発の跡地から間道に出て、町へ戻る事になった。
途中で町から爆発の音を聞いた人が、何が起きたのかと様子を探りに来ていたのをチラホラと見かけた。
距離が近い事もあって、町へはすぐに帰り着いた。
斡旋所の扉をくぐるとリードさんが待っていた。
戻って来た僕達に気が付くと、立ち上がって出迎える。

「ああ、お帰りなさい。どうなりましたか?」
「報告もあるのでそちらで」

受付のカウンターを指さす。
別々に話しても仕方が無い、二人まとめて報告しよう。
カウンターの向かいに受付の女性、こちら側に僕とリードさん。
他の人達がそれぞれ待合の席に腰かけたのを確認して説明を始める。

「僕たちは行方不明の一人が死体になって木に縛られているのを奪還し、僕の魔法で蘇生する事を作戦の目標としていました。囮の死体に向かって行った私達に左右から待ち構えていた弓隊が矢を浴びせて来たのでこれを撃退をしました。その後、正面に現れた敵の弓隊との撃ち合いにも勝ち機に縛られた死体を開放し、死体を蘇生する事に成功しました」
「おお、それは凄い」

話を聞いていたリードさんが素直に称賛する。

「敵を全て倒し、死体を蘇生した所。死体だった人が縛られていた木の洞から杖を取り出しました。彼の装備品かと思っていると、突然魔法を起動させ始めました。予め地面に描かれていたらしくも大きな魔法陣となった起動式が浮かび上がり、止める間も無く爆裂しました」
「何と言う事だ・・・」
「爆発に巻き込まれ、スズ・エルザ・ジュリアが死亡しました。僕も体が真っ二つになっていましたが、魔法で治し何とか生き延びました。その後、爆発で散り散りに吹き飛ばされた死体を探して蘇生をしようとしていると、敵の首謀者と思われる人物に襲われました」

ゲフッゲフッ
いい加減に喉の渇きが限界だ、喋るのがきつい

「すみません、何か飲み物をお願いします。喉が乾いている様で」
「判りました、皆さんの分もご用意しますね」

受付の女性はお茶を入れる為に、奥へと引っ込んで行った。
十五分もすると木のコップにお茶を煎れて皆に配って回ってくれた、ありがたい。
僕もお茶で喉を潤すと続きを話始める。

「男はクロウと名乗り僕達を襲っている事を認めましたが、それ以上の事は何も語りませんでした。結局そのまま戦いになって、僕の治療するマナが尽きるまで僕を殺し続ける事にしたらしく。馬乗りになったまま、何度も何度も刺し殺されました。そこへ駆けつけたのがそこにいるエディです」

僕がエディを手で指し示すと、エディは立ち上がって親指で自分を指さし、大げさに「俺」アピールをする。

「エディはドガの町で行方不明になっていた未帰還者でしたが、襲撃から逃げ出しサンガに辿り着いたそうです。僕とクロウと言う男の争う場面にたまたま遭遇し、男を殴り飛ばしました。エディの登場で分が悪いと悟ったクロウは逃げ出し、ようやく邪魔が無くなった僕たちは、爆発に巻き込まれて死んだ皆を蘇生して戻って来る事が出来ました。」

僕達を見回しておかしいと思っていたのだろう、リードさんが疑問を口にする。

「あの、マインさんともう一人戻っていない様ですが・・・」

マインには護衛をやって貰っているから、僕達が斡旋所に戻った時点で気が付いていたのだろう。

「マインとケイトは最初の弓隊を倒す時に別で動いて貰ったのですが戻って来ていないんです。囮を助け出した時点でも姿を見ていないので、爆発には巻き込まれてはいないんですが見当たりません」
「敵とやり合って殺されてしまったんでしょうか?」

不安そうに僕に聞くリードさんに

「いえ、奇襲は成功していました。現場には弓隊の死体が転がっていたので、敵に負けて殺された訳ではないみたいなんです。そもそも彼女達の死体もありませんでしたし」
「ではどこに?」

僕は首を横に振ると

「判りません、周囲をくまなく探したんですが手掛かりになる物は何も見つかりませんでした。何かを見つけて追いかけて行ったのか、それとも何かに自分から付いて行ったのか・・・」
「そんな・・・」
「僕達の行動の報告は以上です」

僕の報告を聞き終えて、受付の女性が報告を始める。

「報告ありがとうございます、ではこちらからのご報告です。町の自警団が南の街道にを占拠していた集団を戦闘の上に殲滅いたしました」

そうか、自警団はちゃんと勝ったのか・・・

「ん?南側だけ?」
「はい。戦力を二分にするのを嫌がった自警団が南を殲滅してから北に向かった所、北の街道の敵は逃げ出してしまったそうです」
「ああ、それでは安心出来ませんね」
「はい、今も逃げた敵を追いかけています。自警団の成果は後日また報告しますね」
「判りました」

リードさんは僕の報告を町の上層部に報告しに行くのか「また後程」と言って斡旋所を出て行った。
僕はリードさんが出て行ったのを確認してから受付に向き直る。
僕は報告のついでに確認しておきたい事があったので、この際だからと聞いてみる事にする。

「行方不明のエリックという男性PCの詳しいプロフィールを教えて貰う事は出来ますか?出来ればジョブを・・・」

受付の女性は申し訳なさそうな顔で

「すみません、ジョブまではお教えする事が出来ません」
「そうですか・・実は囮になっていた男はエリックではなかったと思われます、頂いた資料とは身長と髪の長さがあまりにも違っていました。魔法の発動をして自爆をしたのはその成りすました別人だろうと考えています。そうなるとエリックはもう死んでいるか、あの連中に脅されて仲間になっているのかもません。僕達が今後気を付ける為には、せめでジョブが判れば対策も立てやすいと思ったですが・・・」
「申し訳ありません」

受付の女性からはキッパリと断られた。
やれやれ、やはりそうなるか。運営がどちらかに肩入れする訳にもいかないし。
クロウの仲間にPCがいる可能性があると考えておくしかないか。

「ああ、あとエディはドガの町から逃げて来たらしいんで、見つかったと連絡しておいて下さい。報告は本人から聞いて下さい。エディ!こちらで逃げて来た顛末の報告をお願いします」

駄目だもう頭が回らない、寝よう。

「エディ、僕は商館に戻って寝ます。何か用事があったら商館へ来て下さい」

僕の言葉にエディは右手を上げて立ち上がる。

「ああ、判った。俺は斡旋所に紹介して貰った宿に泊まるから、用事があったら斡旋所に聞いてくれ」
「ジュリア、定宿を教えておいて貰えますか?何かあったら連絡を入れますので」
「了解した」
「エルザ、済まないのですが二人の宿を聞いておいて下さい。僕は商館に戻ります」
「は~い」
「では皆さん失礼します」

僕は皆に挨拶をすると、そのままフラフラとした足取りで斡旋所を後にする。
スズが何やら言いながら護衛についてきてくれた。
町に刺客が現れても、僕では防げないのでありがたい。
僕は商館の宛がわれている部屋のベッドに倒れ込んだ。

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