挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
童貞で三十歳を迎えたら魔法使いになってたよ! 作者:下北沢
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

29/72

スズ

学校の記憶、道場の記憶、友達の記憶は残っているのに自分の名前は思い出せない。
元の世界での私は楽しそうにしている。
その姿を神様に見せられたら、誰かに心配をかけていないんだって判ったから安心した。
だから私は神様の申し出を何となく受けちゃった。
そうしたら神様は嬉しそうに笑って、私の名前を一緒に考えてくれた。
私の新しい名前は「スズ」になった。
神様は説明が苦手みたい。
たどたどしくも一生懸命話してくれた。
きっと隠し事無く説明してくれたんだと思う。
神様達が作った世界でゲームに参加するのが私のお仕事らしい。
危なくなったら神様が憑依して助けてくれるって事みたいだから安心だね。
私が神様と話していると扉が開いて
「たけし!あんたまた仕事もしないでゲームなんてして。まともに働きなさい!」
「うるせぇ、クソババア!今忙しいんだ、あっち行ってろ」
と言って神様は扉を強引に閉める。
扉の向こうからは
「あんた親に向かって何て口の利き方だい!小遣い減らすよ!」
「・・・あの、いいんですか?」
私はちょっと心配になって神様に聞くと
「ん?ああ、大丈夫だ。これに着替えて出発するといい」
神様は私に初回特典の民族衣装を渡してくれたので、隣室で着替えて慌ただしくゲームの世界に出発する事になった。
「よーし!異世界の冒険ガンバルぞ!」
私は張り切って神様の作った世界に足を踏み入れたのだ。
・・・・
そして開始たった30分、あっと言う間に死亡してしまった・・・
後で聞いた所、神様は親子喧嘩の続きをしていたらしく「すまん、気が付かなかった」と言っていた。
私はタロウというおじさん手前の人に助けられた。
お腹が出ていて走るとすぐにゼーハー言って動けなくなっちゃう。
運動は全く駄目みたい。
神様曰く、蘇生が出来るPCが通りかかるなんて有り得ない程の偶然らしい。
大きな町の司祭クラスじゃないと死亡の蘇生は出来ないから、このままゲームオーバーを覚悟してたとか。
回復職は地味だから人気も無く数も少ない、だから回復職に付いてまわれって神様に言われた。
まぁ、また怪我をしたり死んでしまったりしても生き返らせてくれるだろうし。そうしようかな。

とりあえず、盗賊退治に出かける事になった。
私も学校や道場で沢山練習してきたんだし、かなりやれるハズだよね。
そう思っていたけど甘かった。
タロウが目の前で刺されちゃったのに、体が竦んで動かなかった。
すぐに神様が私に憑依して助けてくれた。
ごめんタロウ、ありがとう神様・・・と思ってたら神様、ノリノリで楽しんでるし。
私に「戦闘を経験させてやる」とか言って一対一の戦闘をやる事に・・・何とか勝ったからそこは自信になったと思う。
でもその後、神様から罰として盗賊の止めを刺して回らされるという拷問にあった。
”まだ息のある人間を楽にしてやれ”って
ううー、トラウマになりそう。
盗賊退治をして村に戻ったら、みんなから感謝された。
これが人助けの楽しみなのかもしれないね。
捕まっていた子供達と、飲んで、食べて、歌い、踊り、そして笑いあった。
私はこの世界の事がちょっぴり好きになれた気がする。

タロウと新しい町に到着して、私達は何も出来ない事が判った。
戦闘する以外にお金や食料を稼ぐ手段を学んで、じっくりと修行する必要があるんだ。
このままじゃ先日の盗賊みたいになっちゃう、それはイヤだ!
私達はウサギを捕る罠を学び、食べられるキノコや野草の種類を覚え、魚を捕る方法を身につけた。
フィールドワークをするのはかなり楽しい。
たまにタロウの長いウンチクが始まってイラっとするけれど、それでも知った人が傍にいてくれるのはこの世界においてとても安心できる。
タロウには感謝だ。

この世界に来て、タロウ以外のPCに初めてまともに会った。
このPCの人、名前をエディって名乗ってた。
斡旋所で話しかけて来たエディは、初対面なのに討伐のクエストに連れてけとか図々しい。
最初に見たPCに殺された身としてはPCなんて全く信用が出来ない、これはしょうがないよね。

半月程の間、生産系の依頼を頑張った。
おかげで生産のスキルがかなり上がったので、そろそろ別の町に移動しようって事に。
一応少しは打ち解けたエディの頼みも聞いてあげようかと、町を出る前にエディを誘って討伐依頼に行ってあげる事になった。
かなり苦労したけれど、野犬の討伐と熊の討伐の依頼をこなした。
これは、今後の町の安全の為には絶対に必要な事だったらしい。
でもエディの神様は子供の神様みたいで、犬や熊を沢山殺しちゃった所為で泣かせちゃったんだって。
エディも心配して元気が無かった、ちょっと心配。
実はエディは子供に気を使える結構いい奴だったみたい。
態度はチャラくてイラっとするけれど、少しはエディってPCを見直した。
せっかく仲良くなれたから、私達と一緒に旅をしないかってタロウが誘ってみたけどダメだった。
エディの神様は優しいからあんまり戦闘には向いてないんだって、残念。
タロウとはもう半月以上この世界で二人で行動してきたし、このままずっと二人のまま冒険するのも悪く無いかも。
最近は痩せて、少しは恰好良くなってきたしね。
その夜ベッドでタロウに魔法をかけて貰って目が覚めた。何でも神様は私達に憑依して散々飲んで酔いつぶれたらしい、お陰でその後の記憶が無い・・・。
もう!神様何してくれてるのよ。
酔いつぶれてタロウに変な事言ってないか、怖くて聞けなかったじゃない。

町の斡旋所の紹介で商隊に同行させて貰って、王都近くまで行く事になった。
商人のリードさんと部下で御者のおじさん達、その護衛をするPCのマインとエルザちゃんの二人との旅だ。
マインはモデルさんみたいに綺麗だけど男っぽく喋るの、宝塚みたいですごく恰好いい。
エルザちゃんは小学生と見間違うぐらいに小っちゃくてフワフワの髪が可愛い天才少女、ゆるーい喋り方が癖みたい。
ここまでたった二人で山賊から商隊を守って来た凄腕なんだって。
商隊の馬車はとってものんびり、これならタロウも歩いて付いて行けるって喜んでた。
お腹の無駄なお肉がこれで全部無くなるね。

宿泊予定の村の手前で山賊が通せんぼしてた。
エルザちゃんが山賊の中に1人で向かって行ったと思ったら、山賊がバタバタとみんな倒れちゃった。
すごい!エルザちゃんはどんな魔法を使ったんだろ。
マインが山賊に止めを刺して回り、それをタロウが観察しながらマインさんと何やら会話してた。
むむむ、気になる。
タロウは美人なおねーさんがお気に入りなのかしら・・・
ちょっとだけ胸の辺りがザワつく、何でだろう?

村で一晩女子トーク、マインとエルザの話をいっぱい聞けたよ。
マインは現役フェンシングの選手、エルザは飛び級したMITの学生さんなんだって。
マインの神様は放任主義で、基本アドバイスのみ。
憑依もしないんだって、変わってるね。
でもちゃんと行動は見ていて、しょっちゅう相談しながら行動してるみたい。これも楽しみ方の一つらしい。
エルザちゃんの神様はベッタベタの甘やかし。常に10%の憑依をしてて、いつでも神様と会話が出来る状態みたい。
話を聞く限り、女装した男の神様で完全におねぇ口調なんだとか・・・
色々な神様がいるんだね。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ