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三十路になったら魔法使いになってた 作者:下北沢
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ゲームシステム

このサンガの町は城塞都市ではない。
正確には城塞都市だった、と言う言葉が当てはまる。
元々の規模はドガと同じぐらいで、城塞もあった。
しかし町の拡張と発展により、元の城塞都市を囲む様に広がった結果が今の町の姿らしい。
重要施設は城塞の中にあり、後から出来た街並みの殆どが城塞の外だ。
僕達は町の中心部にある城塞の中から出発し、慌ただしい喧噪に包まれる住宅地の中を抜ける。
あちこちで大声で騒ぐ者がいるのは「街道を塞がれ、抜けようとした者は殺された」この情報が警鐘と共に伝わっているからだろう。
彼らを横目にして、森の西側の間道に一番近い出口から町を出た。
町の街道側では自警団が集結し始めている頃だろう、今はきっと大混乱に違いない。
間道に入る前に並び順を決めておく事にする。

「マインとケイトが先頭で、敵が見えたら右側の森に入って待ち伏せする弓隊を襲撃して下さい」
「見えてからじゃぁ、弓矢で撃って来るんじゃないの?」

マインの疑問に僕の予測と対応を教えておく。

「僕らに逃がすつもりは無いでしょうから、かなり近寄るまでは撃って来ないとは思います。もし今朝みたいに襲ってきたら、少し下がってからその場で応戦しましょう」

マインは納得したのか「わかった」と言ってこちらに手を振るケイトと先頭を歩き出した。

「次がジュリアで、エルザ・僕・スズの順番で続きます」
「了解した」
「はーい」

ジュリアとエルザが返事を返して、マインとケイトの後に続く。

「スズは最後尾で後ろを塞ぐ者が来ないか警戒をしておいて下さい。伏兵をして退路を塞ぎに来る可能性も高いと思います」

僕は隣にいるスズに伝えてエルザの後に続く。

「わかった、気を付ける」

スズも僕の後ろを歩き始めた。
日が高くなり、今が大体お昼の12時頃だと教えてくれる。
囮にされているPCが襲われたのは、恐らく昨日の14時から15時ぐらい。
あと精々2~3時間が僕の魔法で蘇生できるタイムリミットだろう。
そもそも僕が何故こんな危険を冒して見ず知らずのPCを助けるのかまでは誰にも説明をしていない。
僕が単なる正義感でやっていると思っている者もいるに違いない。
僕と神様には目標がある。
それはこのゲームの大会での優勝だ。
その為にはこの予選を上位で通過する必要があると思っている。
では、戦闘能力の無い僕がポイントを稼ぐにはどうすれば良いのか。
ここまでプレイを進めて気になった事がいくつかある。

1.モンスターはいないのに強力なスキルを持つPC
2.PKや住人の殺害にペナルティが無い
3.運営は戦闘をさせたがっている
4.未だに得点配分が不明
5.魔法ジョブの存在感の無さ

シンパシー能力のPCが、PCを殺すのが一番ポイントの高い事だと判断しているという予測は、今までの状況からも判る。
PCの殺害を仮に1000ポイントとしたら、それを阻止して蘇生させた場合どのぐらいのポイントが貰えるのだろうか?
アタッカーにしか出来そうもない事だけがポイントに結び付くとしたら、後衛のジョブを用意する意味が無くなる。
ならば後衛でもアタッカーと同等に稼げるシステムになっていなければ、大会で後衛をやるPCなどいなくなる。
生産が後衛の稼ぐ方法の一つかもしれない。けれど「生産だけやっていたら優勝しちゃいました」なんて事になればそんなクソゲーム二度とプレイして貰えないだろう。
ならば後衛を生かし尚且つ生産だけでは高得点を稼げなくするシステムを作らなければならない。
そこでウチの神様は賭けに出た、前衛でバンバン戦闘するというジョブではなく後衛に。
そこで、時空魔導士としてのスキル条件をクリアした僕を連れて来てPCに据えた。
きっと神聖魔法の様なスキルに適した人を連れて来ても良かったのだろうけれど、アンナみたいにモラルが高すぎては扱いにくいのかもしれない。
いざ戦場に行く様にと、神様が指示をしてもあっさり断られたりするのかもしれないし。
では後衛が前衛と同様に稼げるシステムとは?
僕と神様はPTプレイをさせる事だろうと思っている。
その為にもソロではクリア出来ない依頼を混ぜて、PTプレイのきっかけを作っているのではなかろうか。
あの斡旋所の契約がPTプレイの承諾書であれば辻褄が合って来る。
契約を済ませる事によって前衛が倒して得たポイントや魔法で回復したポイントを共有すれば、後衛でも稼げる様になるハズだ。
そうなると今回の様なPT戦はポイント配分の参考になりそうだ。
そう言えば、神様が言っていたが、ポイントのランキングが神様の世界でそろそろ発表されるらしい。
ランキングを見ればポイント配分の法則が判って来るだろう、発表されたらじっくり分析してみよう。
あのシンパシーのPCは間違いなくトップランカーの一人だろう、何か手掛かりでもあればいいが・・・
僕が考えに耽りながら間道を歩いていると、後ろからスズが僕の服の裾を引っ張った。
考えを中断しスズを見ると、前方を指さして教えてくれた。

「見えてきたよ、縛られたPCのいる所が」

スズの指さす方を見ると間道の続く所に広場が出来ている。
その広場に生える一本の木には縛られたPCの死体が先程と同じ様にある。
考え事をしながら歩いてて忘れていたが、槍の男二人の死体は通り過ぎたのか?
僕は気になったのでジュリアに声を掛けて聞いてみる事にした。

「ジュリア、先程来た時に倒した男の死体は今通った時にありましたか?」

エルザの前を歩くジュリアはこちらを振り返り

「いいえ、見ていません」
「どこかに運ばれたんでしょうか」
「埋葬したのでは?」
「そうだといいんですが・・・」
「?」

先頭のマインとケイトも既に足を止めていて、こちらの様子を伺いながら聞いて来た。

「囮が見えて来たぞ、まだこのまま進むのか?」
「いえ、マインとケイトは間道の右側の森の中を移動して下さい。敵が朝の様な動きを見せて回り込もうと向かってきたら、お二人は森で待ち伏せて倒して下さい。僕たちはこのまま二人の動きが目立たせない様に、正面から堂々と近づきます」
「判った」
「了解っす」
「では、行きましょう」

マインとケイトは身をかがめて草むらに身を隠すと、そのまま間道の右側の林の中に消えて行った。
僕達はゆっくりと前進を開始した。





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