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童貞で三十歳を迎えたら魔法使いになってたよ! 作者:下北沢
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RPG

どうやら元の世界に戻ればコピーである僕は消滅するらしい。
まぁ、本人がちゃんといるなら僕は戻らなくても問題は何も無いのか・・・
いらん混乱を招くだろうし元の世界に戻る事は諦めるしかなさそうだ、多少話に興味もあるし。
ここはちょっと前向きに聞いてみるか。
「えっと、さっきチョット聞き流してしまっていたんで。キャラクターがどうのって話を少し分かり易く説明をして貰ってもいいですか?」
「分かりました」
多少前向きに話を聞く気になった僕に何か察する物があるのか、愛想よく受けてくれた神様は
「まず、私達「神」は宇宙における上位文明であり、下位文明の保護・育成・管理が主な仕事であるとご理解下さい」
それはそうなのだろう、地下鉄の出口をこんな所に繋げたり。本人に気付かれずに人間の複製を造ってしまったりと人の領域を超えてしまっている。
「分かり易く神を名乗ってはいますが、私たちにも文明としての生活や娯楽があります」
「へぇー、神様達の文明ですか。生活があるって事はそれぞれの神様にはお名前があるんですね」
「勿論です。個体名が無ければ区別が付きません」
「でしたら・・・神様のお名前をお伺いしても宜しいでしょうか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は"♰赤い閃光♰"と言う名前です」
「ちょっと!嘘ですよね、それ実名ですか!?絶対に後で後悔する痛いハンドルネームじゃないですか!!」
不機嫌な表情の神様、口をタコにしながら
「だって仕方が無いじゃないですか!。私たちは生まれた時から知性があって何でもポジティブに考えて色々とやらかしてしまうんですぅ。名前も自分で付けないといけないし・・・」
「ああ、知性を持って生まれて来るのも大変なんですね・・・」
「誰も止めてくれませんでした。その癖に私の周りがニヤニヤしてたのをよーく覚えいます」
以前ハマっていたMMOのハンドルネームで"漆黒の翼♰"とか"紅の堕天使♡"とかの痛いネーミングのヤツらがいた。でも後でハズかしくなったのか、そのキャラを倉庫キャラにしてセカンドアカウント(省略して2アカ)で活動してたしなぁ。
最新のボイスチャットのゲームで「漆黒の翼じゅうじかさぁーんw」とか「紅の堕天使はぁとさんw」とか呼ばれた日には悶え死にそうだ。
何かを思い出しては「ブッ殺してやる」とか物騒な事をブツブツと言っている神の気を逸らす為にも話題を変えておこう。
「あのっ、神様達の娯楽ってどんな物があるんでしょうか?」
唐突だけれども、兎に角思いついた事を聞いてみる事にした。
荒んだ目になっていた神様が、流石に正気を取り戻し、コホンと軽く咳払いをして居住まいを正す。
「大きく分けて二つですね。娯楽を享受するか娯楽へ参加し自ら楽しむかです」
神様は指を一本立てながら
「一つ目の方は貴方の文明にもあったTVの様な物です。私たちは様々な文明を管理育成している為に個々の人が起こす大きなドラマを好み、英雄譚・悲恋譚・愛憎劇・等々生い立ちから録画をして壮大な人生を追体験するのが流行っています。勿論、バラエティやニュースも在りますが」
リアル大河ですか・・・神視点のさぞや素晴らしい映像になっているに違いない。
「そして二つ目が」
まるでピースサインの様に指を二本立てた神様は
「ROG、"Real time Online Game"の略称ですね。これには全てのジャンルのゲームが入っています。
基本的に私たちはゲームをする際に貴方の世界のコントローラーを使用しません。それはアバターとなるキャラクターに私たちが直接憑依してキャラクターを操作するか、小動物や機械になりキャラクターを誘導するのが私たちのプレイの基本です」
どうやら神様達はデフォで憑依や変身ができるらしい、どうもスペックが高すぎて僕にはピンと来ない。
「牧場を経営したり錬金術屋を経営しながら恋愛をするストラテジー系。飛んだり跳ねたりジャンプするアクション系。大量の敵をひたすら殺しまくる無双系。色々な宇宙文明の歴史的戦争の司令官になって戦争の
ifを楽しむ戦略シミュレーション系。一兵士になって局地戦を楽しむFPS系」
錬金術屋を経営しながらの恋愛ストラテジーには興味をそそられるな。
アトリエ経営しながら錬金術の材料集めに色んな娘とリアルに・・・いいかもw
「そして最も人気のあるのがRPGのジャンルです」
「人気があるんですか?」
「はい。どのジャンルのゲームも専用のアバターが居ないと成り立たない物が多いのに反して自分でキャラクター探しから始められます。動きの速いキャラクターでプレイしたければその才能を持ったキャラクターを自身でスカウトして来ればいいのです」
自分がそのスカウトされている所なのだという理解には及んだ物のキャラクターとしての自分の使用価値がサッパリ解らない。
僕自身は体力も下り坂の三十歳、お腹も出始めてるしモテた試しも無い。
「あのぅ・・・何となくROGのRPGジャンルのキャラクターにスカウトされたという事は理解したのですが、僕なんかに出来る事があるんですか?」
最近お腹の辺りの肉が気になり始めた30代に何が出来るんだろう。
おずおずと僕から切り出してみると以外にも。
「勿論です!」
と強い口調で返事が返って来た。
「貴方には魔法の才能があります。私のプレイヤーキャラクターとしてROGのオープン大会に参加して頂きたいのです」
「魔法!?僕がですか?そもそも僕の世界には魔法は無かったですし、才能なんて本当にあるんですか?」
「はい、そこは神の目を信用して下さい。地球の様に遥か昔にマナが枯渇してしまった地球では魔法の発動を確認は出来ませんが・・・魔法の概念のある場所に行けばその才能も十分に発揮できます」
どうやら僕には厨二設定が備わっていた様だ、ちょっと嬉しい。
「地球にマナがあれば僕は今頃大魔導士に、いやそこは神様をも目を付ける程の溢れんばかりの才能ですか!フフフ・・・一国の大統領にでもなっていたかもしれないですね」
僕の中の想像に大統領となって国民に手を振る僕の姿が浮かんできた、悪く無い・・・。
ニヤリと笑みを作り神様に同意を得ようとするが
「いえ、それはありません」
とバッサリ切られた。
「え?何故?」
「魔法の才能を受けたのが本日だからですよ」
パチパチパチ・・・おもむろに拍手を始める神様。
「えっ?」
「本日めでたく三十歳の誕生日を童貞で迎えた事で生まれた魔法の才能の入手です。おめでとうございます」
えっ!?あの都市伝説は本当だったの!
「ハッピーバースデイ・トゥーユー・・・」
神様自らの歌と拍手によるのバースデイソングが始まる。
「イャャァァァァァーーーやめてぇぇぇ」
神様のネットリとした笑みと嫌がらせの歌と拍手は僕の心のHPはガンガン削られる。
「ハッピバースデイ・ディア・童貞さん、ハッピバースデイ・トゥーユー」
そしてこの美しい神様に「お前は童貞三十歳だ」と現実を突き付けられる、あまりの恥ずかしさに両手の平で顔を隠しながら絨毯の上を転げまわる。
この時初めてな気がする神様の本当の笑顔、神様だけど悪魔の笑顔を見た気がした。
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