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ラーメンさんとソーメンさん

作者:昼熊
 むかしむかし、といっても、それほどでもないむかし。
 メンストリートでラーメンさんが、みんなにかこまれているのを、ソーメンさんがうらやましそうにながめていました。
 ラーメンさんは人気麺でソーメンさんのあこがれの麺です。
 赤いうずまきがオシャレなどんぶりに入るラーメンさんは、いつ見てもかっこいい。

「あのメンスタイルすてきだなー。細いのも、太いのも、ちぢれているのも、じゆうじざいだもんなぁ」

 ソーメンさんが遠くからラーメンさんを見ていて、そんなことをつぶやいていると、それを聞いたラーメンさんが近づいてきました。

「ほめてくれてありがとう、ソーメンさん。でも、ソーメンさんだって、少し太いメンスタイルだってあるじゃないか」

「ううん、ちがうんだ。少し太いソーメンはヒヤムギって名前が変わって、別のものになるんだよ。ちなみにソーメンとヒヤムギのちがいは太さだと思われているけど、じっさいはそうじゃなくて――」

「あ、うん、そこまでくわしい話は別にいいかな。あ、ほら、それに、メンにワンポイントで色がついているじゃないか。赤とか黄色とか、あれはとてもすてきだと思うよ」

 ラーメンさんがほめたのは、ソーメンさんのメンの中に数本だけまざっている色つきのメンのことです。

「あれはね、元々はソーメンとヒヤムギをまちがえないように、ヒヤムギにだけ入っていたものなんだ……だから、ボクのに入っているのはヒヤムギのマネなんだ」

 ラーメンさんは思いました、ネガティブなソーメンさんはあつかいづらいなと。
 でも、人気麺のラーメンさんはくじけませんでした。こういう気づかいも人気の出るポイントだと、りかいしていたからです。

「ソーメンさんは夏の人気がすごいよね。やっぱり夏と言えばソーメンさんだよ。ラーメンは夏になると人気がないから」

「そうかなぁー。まあ、あついときに冷えたボクはおいしいよね」

 ソーメンさんのきげんが良くなったのを見て、ラーメンさんは安心してほっと息を吐きました。


 何十年かして、またソーメンさんとラーメンさんがメンストリートでばったりさいかいしました。
 ラーメンさんはきがるに話しかけようとしたのですが、ソーメンさんはじっとラーメンさんをにらんでいます。

「久しぶりに会ったというのに、どうしたんだい?」

「ラーメンさん見た目かっこよくなりましたね」

 ラーメンさんは、そこの深い、かるいざいしつのどんぶりに入っています。どんぶりはいぜんよりも、色がいっぱいでとてもきれいでした。
 ほめられてうれしいのか、あたまからはゆげが出ています。
 ソーメンさんは氷の入ったすずしげなガラスのうつわがお気に入り。

「今はやりのかっこうだからね。どうしたんだい?」

「ラーメンさんは、前に会ったとき、夏は人気がないと言っていましたよね」

 その言葉にピンときたラーメンさんでしたが、よけいなことを言うと話がややこしくなると思い、何も言い返しませんでした。

「ラーメンさんレーメンとかはじめちゃっているじゃないですか! それもこれ見よがしに、夏だけどうどうと看板やのぼり立てて、冷麺始めました、とかやっちゃって。どんだけ、アピールしているんですか! 夏はボクの独壇場じゃないのですかっ!」

 ソーメンさんは童話だというのにむずかしい言葉が口から飛び出るぐらい、こうふんしています。

「おちついて、ソーメンさん。たしかに夏にしゃしゃり出たのはわるかったと思っている。そこは、はんせいしているよ。でも、レーメンもラーメンもお外で食べるものだよ。家で食べるときはあっとうてきに、ソーメンさんの方が人気じゃないか」

「それは、ボクが外食でほとんど扱われることがなく、自分は専門店が各地に点在しているという自慢ですか! へー、凄いですね! うわー素敵ですねっ!」

 ラーメンさんは正直、とてもめんどうくさいと思いました。そして、じゅようをかんがえて漢字は少なくすべきじゃないかと思いました。
 でも、ここで口をはさむと、もっとめんどうなことになることを知っているので、だまって聞いています。

「だいたい、つけ麺ってなんですか。あれって食べている途中でぬるくなるんですよ! それに油そばでしたか、あれも許せません。前に焼きそばさんが怒っていましたよ!」

「で、でも、焼きそばさんも、地方では汁を入れてラーメンみたいにして食べるところも――」

「知名度が違うでしょ! 世の中に知れ渡っている油そばと一緒にしてどうするのですか」

 それはその地方の人にしつれいじゃないかなと思いましたが、またもむごんをつらぬきます。
 ラーメンさんは、めんどうになってきたので話すときは、むずかしい漢字もまぜることにするようです。
 しばらくだまって聞いていたのですが、とちゅうでラーメンはことばをさえぎりました。

「いいかげんにしてくれないか」

「ひっ」

 さっきまでおとなしかったラーメンさんの強いくちょうに、ソーメンさんはおびえています。

「これ以上は、付き合っていられない」

「お、おこったの?」

 そう問いかけるソーメンにラーメンはこう言ったのです。

「これ以上の無駄話は、麺がのびる」

 ラーメンさんはカップラーメンでした。

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