第百四十九話 サハラの商人その六
「そんなもの?」
「それ位じゃないかな」
「そうよね。やっぱり五テラよね」
ペリーヌは皆の言葉を聞いてあらためて頷いた。
「それ位のものよね」
「それで五十テラって」
「ぼったわね」
まさにぼったくりであった。本来の価値と十倍の開きがあるのだから。これをぼったくりと言わずして何と言うかという話であった。
「流石サハラ商人だけれど」
「どうなの、それって」
なお連合でそうした商人といえばサハラ商人の他にマウリア商人がいる。マウリア商人に至ってはその商いは異次元とさえ言われている。
「よく見たら五テラでも高そうだけれど」
「四テラでもおかしくないんじゃ」
「まあ五テラにしておいてあげたけれど」
ペリーヌの優しさであった。
「やっぱりあこぎよね」
「うん、あこぎだと思うよ」
「私も」
このことは皆も同じ意見であった。
「十倍ってねえ。やっぱり」
「ぼったくりにも程があるわ」
「全くだよ」
「さて、それで」
また言うペリーヌだった。
「ロミオはそのぼったくりに対してどう向かうのかしらね」
「ええ。それね」
「どうするのかな」
皆もそのことに注目するのであった。ロミオがそのぼったくりのサハラ商人に対してどうするか。それをじっと見守るのであった。
そのロミオは道をまっすぐに歩いていく。それは何の迷いもないかのようだった。
「それでさ」
「何?」
ベンがペリーヌに声をかけてきた。ペリーヌもそれに応える。
「そのお店ここにあるんだよね」
「昨日はあったわ」
ペリーヌは何でもないといった顔でこう答えた。
「昨日はね」
「じゃあ屋台だからないかも知れないね」
ベンはその可能性についても指摘するのだった。
「屋台はすぐに動くことができるから」
「いえ、あるわ」
しかしペリーヌはこう言うのだった。
「あのお店は絶対にここにあるわ」
「あるんだ」
ベンはペリーヌの断言にその目を少し動かさせた。そこにかなりはっきりとした自信を見たからである。この道にあの店が今日もあるのだという。
「何でそう言えるのかちょっとわからないけれど」
「勘よ」
ペリーヌの自信の根拠はこれであった。
「勘がね。そう教えてくれてるのよ」
「勘ねえ」
ベンは勘と聞いてまずは微妙な顔になるのであった。
「勘も外れる時があるけれど」
「けれど今回は大丈夫よ」
そう言われても変わることのないペリーヌの今回の自信であった。彼女は元々自信家で自分の言ったことに不安を抱いたりしないタイプであるが。
「絶対にね。まあ見ていなさいって」
「そこまで言うのならだけれど」
ベンもその強い自信に押されてしまった。
「僕も見させてもらうよ」
「そうしてもらったら嬉しいわ。さて」
「んっ!?」
「まさか」
ここでベンだけでなく皆がその見えたものを見て言うのであった。
「お店だよね、あれ」
「それも屋台のお店」
皆それを見て悟ったのであった。これ以上はないまでの確固たるものであった。
小説・詩ランキング
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。