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第百四十八話 障害物競走その五
「えっ!?」
「競技場が!?」
 皆競技場が急激に変わっていくのを見た。それまでごく普通の競馬をする場所だったのが忽ちのうちにプールやハードル、それに落とし穴等があるさながらアスレチックジムのような異様な競技場に変貌したのだった。それもまさに一瞬でそう変わってしまったのだ。
「こんなふうに変わるんだ」
「物凄い競馬場だね」
 皆その急に変貌した競馬場を見て唖然とした。
「何ていうかもう」
「特撮ものみたい」
「本当にこの学園って色々な設備があるわね」
 だがナンはこれだけで話を済ませてしまった。
「本当にね」
「そうだね」
 そしてポルフィもこれで終わらせるのだった。
「設備は本当に凄いね」
「八条学園はね」
 言わずと知れたこの学園であり皆が通っている学園である。その生徒数も設備も連合で随一なのである。それで有名でもあるのである。
「さてと。それじゃあ」
「やりましょう」
 二人は今回も何でもないといった調子で競技に趣いた。早速二人並んでスタートラインに立つ。しかも二人は同時にお互いに言うのだった。
「ねえ」
「いいかしら」
 顔を向かい合わせて同時に言い合う形になった。
「あれっ」
「ひょっとして」
 それと共に笑みを浮かべ合った。そしてそのうえでまた言い合った。
「同じこと考えているのかな」
「そうかもね」
 その楽しそうな笑みのまままた言い合う。
「手綱を握らずにね」
「それでしましょう」
「また滅茶苦茶言ってるわね」
 コゼットは今の二人の言葉にこれまで以上に呆れてしまった。
「手綱握らないで障害物競走って」
「流石に無理なんじゃないの?」
 トムも怪訝な顔になっている。
「そんなのって」
「下手しなくても危ないよ」
 マルコも流石にそれは無理だと思った。
「普通の競争じゃないんだし」
「止めたら?」
「そうだよ」 
 そして皆で二人にこう言うのだった。
「流石にそれはね」
「危ないわよ」
「大丈夫だよ」
「そうそう」
 しかし当の二人は相変わらずこんな調子であった。
「これ位のハンデがないとね」
「面白くないわよ」
「面白くないって」
「障害物競走でそれって」
 皆またしても言いはした。
「何かあったらどうするのよ」
「怪我だけじゃ済まないよ?」
「だから。何度も言うけれど」
 それでも平然としたままのナンであった。
「私は手綱なくても大丈夫なのよ」
「僕もね」
 ポルフィも平然としたままであった。
「全然大丈夫だから」
「どうしてもなのね?」
 アンは釘を刺すように彼等に問うた。
「絶対に大丈夫なのね」
「ええ、絶対よ」
 ナンの返答には何の淀みもなかった。
「絶対に大丈夫だから」
「僕だってそうだよ」
 ポルフィの返答にも淀みが全くない。
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