第二十話 転校生は美少女だけれどその一
転校生は美少女だけれど
「ねえねえ、聞いた?」
朝学校に来るとジュディが皆に対していきなり話をしてきた。
「一体何?」
それにセドリックが尋ねる。
「このクラスにね」
「うん」
「転校生が来るのよ」
「転校生!?」
皆それを聞いて驚きの声をあげる。
「そうよ。それもね」
「ええ」
「とっても可愛い娘なんだって」
「へえ」
「それはまた」
「こら、そこ」
ジュディはニヤリと笑ったフックとジョルジュに突っ込みを入れる。
「あんた達は大人しくしていなさいよ」
「何かいきなり失礼なことを言うな」
フックはそれに不満な様子を見せる。
「可愛い女の子なら声をかけるのが礼儀じゃない」
「そうだよな。そして記念撮影に」
「あんた達ねえ」
ジュディはそんな二人に対して呆れ顔を見せる。
「そんなのだから写真部の汚れたエースとかタイの変態とか言われるんでしょ」
「汚れたエースって」
ジョルジュはそう言われて何と言い返していいかわかりかねた。
「そりゃ幾ら何でも」
「いつも女の子の写真ばかり撮ってるからだよ」
セドリックがにこりとあどけない笑みを浮かべて容赦ない突込みを入れる。
「ジョルジュ君も気を着けた方がいいよ」
「あ、ああ」
にこりとした笑みでストレートに言われてさしものジョルジュも沈黙してしまった。
「ううむ」
ジュディはその容赦の無い突込みを見て心の中で唸った。
「やっぱりセドリックは容赦ないわね」
「そうだな」
それにロザリーが頷く。流石に突っ込みの厳しさではセドリックに勝てる者はいなかった。
「それでさ」
ロザリーはあらためてジュディに問う。
「どんな娘なんだ?」
「ちょっとどんな娘までは」
ジュディは首を傾げて応える。
「わからないのよ」
「そうなのか」
「とりあえずマウリアから来た娘らしいわ」
「マウリアから!?」
皆それを聞いて顔を顰めさせた。顰めさせていないのは彰子だけである。
「そう、マウリアから」
「何かなあ」
「ああ」
皆急に難しい顔をしだした。フックもジョルジュもそれまでの明るさや期待感が消えていた。
「大丈夫かな」
「どんな娘が来るやら」
「何か皆急に様子が変わったけれど」
「そりゃまあそうでしょ」
ジュディは彰子に対して言った。
「マウリアからよ」
「うん」
「それだけで充分でしょ」
「そうなの」
「そうなのって」
ジュディの方が驚く。
「マウリアなのよ」
連合ではマウリアは異世界扱いとなっている。異次元のような認識なのだ。
これは単に住んでいる世界が違うというだけではない。文明が違うということである。その為連合ではそうした認識になっているのである。
「あの恐ろしい映画」
マウリア映画のことである。異常に長くストーリーの脈絡がない。何でも入っていていきなり何処からともなく現われた人達と一緒に踊りだす。その異様さは麻薬とも謳われる。
「それに独特の考え。絶対に何かあるわよ」
「それ偏見じゃないかなあ」
彰子はそれに対してポツリと述べた。
「幾ら何でも」
「そう言われたらね」
ジュディもそれは認めた。
「そうかも知れないわね」
「折角クラスメイトになるんだしさ」
彰子は純粋そのものの声で述べる。
「そんな偏見持たずに仲良くやろうよ」
「そうか」
「そうよ」
何か場が急に和んできた。
「だからね。ここはリラックスして」
「じゃあ」
それを受けてクラスメイト達はリラックスしだした。
「何も妖怪変化が来るわけじゃないんだし」
「気楽に行くとするか」
そう言って朝のホームルームを待つことにした。暫くすると金髪碧眼の若い奇麗な先生がやって来た。マリア=ヴェルテンフルスという。ケベック人でこのクラスの担任でもある。
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