第百四十話 ソーマの力その一
ソーマの力
「えっ、テンボとジャッキーが飲んだの!?」
「それも全部」
「はい、そうです」
セーラは頃合いを見て教室に戻ってきたクラスの面々に穏やかな顔で答えた。
「実に美味しそうに」
「そういえばあいつ等もいたか」
「そうだったわね」
皆ここでやっと二人のことを思い出すのだった。
「あの二人なら普通に飲んでも」
「平気よね、本当に」
「全部気持ちよく飲んで食べておられましたよ」
セーラはにこりとしてまた皆に話すのだった。
「ですからもうソーマはありません」
「いや、それはいいけれどね」
「ソーマがなくなったのは」
皆それは気に留めていなかった。むしろ恐ろしい霊薬とやらがなくなってほっとしている位であった。それだけセーラの薬は恐れられているということだ。
「それはいいんだけれど」
「あの二人が」
「どうしたものかしら」
ウェンディは困り果てた顔で皆に問うた。
「あの二人頭は悪いけれど体力と行動力と機動力はあるから」
「だよね。それに防御力と回復力もね」
「余計な能力は高いのよね」
それがテンボとジャッキーだった。
「しかも思い込みも凄く激しいし」
「周り見ないし」
つくづく探偵には不向きな二人である。
「ああ、あと予測は絶対に外してるし」
「しかも検証能力もないし」
つまり頭は全くないのである。頭を使わない探偵なのだ。
「その二人がパワーアップかあ」
「最悪ね」
「全ては運命です」
そしてセーラはそれを簡単に運命という言葉で終わらせるのだった。
「御二人はよいカルマを積まれます」
「カルマねえ」
「っていうかもう何が何だか」
それについては皆話は聞いているがよく理解できないものだった。
「要するにあれ?仏教で言う業とか?」
「あと善行とか悪行とか?」
「はい、そうです」
セーラはまたにこりと笑って皆に話した。
「簡単に言えばそうなります」
「ふうん、そうか」
「それならわかるわね」
仏教は連合にも多くの信者がいるのでわかることだった。もっともそれでも完全にはわからないが。完全にわかればそれで悟りを開けるものだ。
「仏教はヒンズー教の一派ですから」
「おい、待て」
「それ何?」
皆今のセーラの言葉には速攻で突っ込みを入れた。
「仏教がヒンズー教の一派!?」
「何よそれ」
「仏陀はヴィシュヌ神の転生した姿の一つです」
セーラはその彼等の問いに穏やかな顔のままのベルのだった。
「ですからそうなるのです」
「お釈迦様って神様の転生した姿だったの?」
「さあ」
皆セーラの言葉に困惑した顔を見合わせるだけだった。
「確かに悟りを開いた人だけれど」
「神様だったなんて」
「全ては偉大なるヴィシュヌの御力です」
その間もセーラの言葉は続いていた。
「人と世界を導く為の」
「っていうかヴィシュヌってクリシュナじゃなかったか?」
フックはその眉を顰めさせ腕を組みそのうえで口をへの字にさせて考える顔になっていた。
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