第百三十七話 不死身のラムダスその一
不死身のラムダス
二年S1組には誰もあえて突っ込まないことがある。それは何かというと。
「そういえばあんたのとこのクラスのよ」
「何だよ」
中将棋をしながらラビニアが相手である宿敵フックに対して言ってきていた。
「あのお嬢様いるじゃない、マウリアからの」
「セーラのことか?」
「そう、その後ろにいる二人」
彼等のことである。
「何っていったっけ」
「ラムダスさんとベッキーちゃんのことか」
「あの二人って学生さんじゃないわよね」
そしてあえて突っ込まないこととはこれであった。
「前から思っていたけれど」
「ああ、そうだぜ」
フックは将棋の駒を動かしながらラビニアの質問に答えた。
「それがどうかしたのか?」
「何で学生さんじゃないのに教室にいるの?」
ラビニアもまた駒を動かしながらフックにさらに問う。
「だったら何で?二人共いつもあのお嬢様の後ろに立ってるけれど」
「気にするな」
フックの返答はよりによってこれであった。
「気にしても何にもなりゃしないからな」
「気にするなって随分強引ね」
「強引も何もあの人達はセーラの従者だぞ」
マウリアのマハラジャの娘であるから当然その地位も富もかなりのものである。従者を二人位持っていても当然のことなのだ。
「いて当然だろ?それも」
「授業中もいつもいるのよね」
「ああ」
そのことにも素っ気無く答えるフックだった。
「いるぞ」
「やっぱりおかしいじゃない」
ラビニアはまた駒を動かしながら言う。
「クラスの人でもないのに普通にクラスにいるって」
「普通はそうだけれどな」
フックもそれはわかっていた。
「普通はな」
「じゃああれは普通じゃないっていうの?」
「だから相手はマハラジャの家の御令嬢だぞ」
「マハラジャねえ」
「何なのかはわかるよな」
その点もラビニアに対して言う。
「マハラジャって何なのかはな」
「いきなり何処からか出て来た人と一緒に踊るのよね」
しかしラビニアはこんなことを言い出してきた。
「確か」
「そりゃ踊るマハラジャだよ」
フックはこう述べてそれは違うと言った。
「だからな。マハラジャっていったらよ」
「わかってるわよ。マウリアの王侯貴族よね」
「そうだよ」
もっとはっきり言うと藩王である。マウリアのそれぞれの星系を治める王家である。マウリアでは様々な国家内国家が存在しているのである。
「それだからな」
「で、仮住まいがあの宮殿ってことね」
「ああ、あのタージマハールそっくりのな」
「あれが仮なのね」
「仮でも何でも中には動物園や博物館に美術館があるんだよ」
「えっ!?」
さしものラビニアもそれを聞いて唖然となった。
「仮住まいなのよね」
「ああ」
「それで何でそんなものまであるんだよ」
「何でも向こうの親父さんの方針らしいんだよ」
「方針!?お家の中に動物園や博物館や美術館があるのが!?」
「あと水族館もあるけれどな」
「余計に凄いじゃない」
つまり一式あるということだ。なお連合でも相当な金持ちでない限りは自宅の中にそうしたものを一式中に入れることはできはしない。
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