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第百三十五話 ガジュマルの木へその四
「やっぱり馬よ。しかも」
「しかも?」
「心があるのよ」
 今度言うのはこのことだった。
「それってやっぱり凄いじゃない」
「心があるってことがか」
「その通り。まあここじゃわざわざ餌買ってるけれど」
 流石に草原ではないので餌は何処にでもあるというわけではなかった。
「草原だとそうよ」
「ここじゃ餌を買ってるのか」
「仕方ないわね」
 苦笑いでそれは受け入れるしかないのだった。
「草原じゃないんだし」
「だからってそれでも馬を乗り続けるんだな」
「バイクや車はね」
 難しい顔も見せるのだった。
「あれだから。苦手だし」
「苦手なんだな」
「そうなのよ。酔ったりもするし」
 これまた意外なことであった。
「だから馬なのよ。モンゴルからそのままね」
「そういえばあの馬は」
 ダンはナンの馬の話を聞いているうちにその馬のことについても気付いたのだった。
「あれだな。競争馬じゃないな」
「わかる?」
「わかるさ。足の形とか全然違うからな」
 この時代の競争馬はサラブレッドからさらに進化している。走る速さはさらに速くなりそのうえ足も丈夫になっている。ガラスの足ではなくなっているのだ。
「それに大きさもな」
「ちょっと違うでしょ」
「ああ」
 また答えるのだった。
「ちょっと小さいか?」
「それがモンゴルの馬なの」
 こうダンに話すのだった。
「小さくて頑丈なのがね」
「頑丈か」
「そういうこと。長く適度な速さで走ることができる」
 ナンは話を続ける。
「だって草原で競争したりしないじゃない」
「それはないよな」
「でしょ?だから別に滅茶苦茶速く走る必要ないから」
 だからだというのである。
「ああいう形なのよ」
「小さくて頑丈か」
「私にぴったりかしらね」
 それを受け入れているような残念なような。今度はそれがいささか読めないような微妙な笑顔であった。その笑顔で話すのであった。
「そういう馬が」
「さてな。けれどな」
「けれど?」
「いい馬だな」
 ナンのその馬達を褒める言葉だった。
「どの馬もな」
「そうでしょ?モンゴルの頃からのパートナーよ」
 つまりモンゴルからわざわざ連れて来ているのである。
「どの子もな」
「そうだな。性格もいいみたいだしな」
「あっ、わかるの?」
「何となくな」
 こうもナンに話すのだった。
「目とか顔立ちでな」
「それだけでわかるのね」
「人間だってそうだろ?」
 今度は人のことも話すのだった。
「人間だってな。性格って結構目とか顔立ちに出るだろ」
「少なくとも明るい時には明るい顔にはなるわね」
 ナンもこれは実感できた。
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