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第百三十二話 意外と怪力その六
「それをそんなに軽々かよ」
「重いね、そういえば」
 それを言われてもこんな調子であった。
「このお肉」
「そういえばじゃねえだろ」
 マチアは顔を顰めさせた。
「そんな軽さじゃないんだぞ」
「それじゃあマチアさん」
「お野菜はここに」
「調味料も」
 言っているその側から妹達が野菜や調味料を台所に入れていく。彼はそれを見てまた言うのだった。
「それだけの野菜とかをそんなに軽々とかよ」
「食堂の娘ですから」
「これ位は」
 表情を全く変えないでの言葉であった。
「鮪一匹かつぐこともありますので」
「平気です」
「鮪一匹をかよ」
 マチアは今の妹達の言葉にまた絶句した。
「そんなのも扱ってるのかよ、ここは」
「うん、そうなんだ」
 やはり家持の言葉は何でもないといった感じだった。
「和食だから、うち」
「和食は確かに鮪よく食うさ」
 マチアもこれはわかっている。
「鮪だけじゃなくて魚全体をな」
「他には鮫一匹とか」
「鮫もかよ」
「アオザメとかシュモクザメとかね」
 なおどれも人食い鮫である。この時代の連合では鮫を食べることもわりかしポピュラーになっている。メガロドンを食べる場合もある。
「それも一匹丸ごと。冷凍で」
「だから力があるっていうのかよ」
 マチアは話しているうちにこう思ったのだった。
「御前も」
「子供の頃からだから」
 だというのである。
「自然とね。そうなったんだ」
「そうか。何か意外だな」
 マチアは彼の今の言葉を聞いて思わず唸った。
「その細い身体でな」
「如何にも力はって感じだけれどね」
 ダイアナもそこを言う。
「案外そうなのね」
「みたいだな。しかし人間本当に見かけじゃ」
「わからないわね」
「ああ、全くだ」
 今はこの結論に至った。とりあえずマチアの持って来た肉や魚も台所に入れられる。そのうえで今御馳走が振舞われようとしていたのだった。


意外と怪力   完


                 2009・4・12
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