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第十八話 犬とアザラシその二
「ラッシーがどうかしたの?」
「やっぱりジョンにとっては親友よね」
「勿論じゃないか」
 ジョンは何を今更といったふうに答える。
「僕にとっては永遠の友達だよ」
「そうよね。丁度ペットの話してたのよ」
「ああ、そうだったんだ」
 それを言われてようやく納得したように応える。
「それであんたにとってはラッシーってペット以上よね」
「友達だよ」
 それをまた言った。
「それ以上かも知れないね」
「そう。じゃあやっぱり一緒ね」
「!?」
「彼と」
「ああ、彼だね」
 スターリングには蝉玉が誰のことを言いたいのかすぐにわかった。それで笑顔で応える。
「彼もね」
「彼!?一体何のことなんだ」
 フランツにはわからない。
「わかるか、彰子ちゃん」
「うん、まあ」
 彰子に顔を向けるとすぐに答えが帰ってきた。
「ネロ君よね」
「御名答」
 蝉玉は彰子の言葉に笑顔で答える。
「その通りよ」
「ああ、成程」
 ジョンはこれでようやく納得した。
「ネロとパトラッシュだね。あれはね」
「あそこも凄く仲いいでしょ」
「確かに。ひょっとすると僕のとこ以上かも」
 トップブリーダーと謳われるジョンもそれを認める程であった。実はネロと愛犬パトラッシュの友情もまたかなりのものであるのだ。
「犬飼ってる人ってやっぱり多いからね」
 蝉玉は言う。
「確かカトリだってそうだし」
「うん」
「猫も多そうだけれどね。ただ変わったので言えば」
「私のところは違うわよ」
 今度はナンが話に入って来た。
「あれでしょ?ペットの話」
「ええ」
「私とスーホーはもっと別の関係よ。ペットでも友人でもないわよ」
「じゃあ何なんだい?」
 スターリングがそれに問う。
「一心同体よ」
 ナンは胸を張ってそう述べた。
「一心同体」
「そうよ、昔からモンゴル人の足は四足って言われてるのよ」
「それどういう意味なの?」
 彰子が尋ねる。
「ほら、いつも馬に乗ってるわよね」
「ええ」
「だからよ。それで足が四本って言われるのよ」
「そうなの」
「これでわかったかしら。私達にとって馬はもう分身っていうことなのよ」
「成程ね」
 皆その言葉を聞いて納得して頷く。
「そういう考え方もあるわね」
「スーホーの考えは私の考え」 
 こうまで言う。
「何があっても離れないわよ」
「ううん、流石はモンゴル民族」
「そこは立派ね」
「混血しても宇宙に出ても私達は草原の民だからね」
 その誇りは決して忘れないというわけである。
「そこんとこ宜しく」
「了解」
「それ考えると何か一概にペットとは言えないのね」
 蝉玉はナンの話を聞いてそれをあらためて認識した。
「一心同体って考えまであるなんて」
「私もそうよ」
 次に名乗り出てきたのはこのクラスでは非常に少数派の日本人の女の子であった。和泉七美その人である。
「私最近水族館でバイトしてるんだけれどね」
「また面白いとこでバイトしてるわね」
「何か空気があってね。それでね」
「ええ」
「シャチとかアシカとかスナメリの考えてることがわかるのよ」
「それはまた凄いね」
 スターリングはそれを聞いて素直に驚きの言葉を述べた。
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