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第百三十一話 住所不定その二
「しかしな。それでもな」
「他のことはまだ全くの謎だ」
「やっとレバーが好きだってわかった位か」
 これも微々たるものでしかない。
「何者なんだろうな、本当に」
「そこまで謎に包まれた人間がいるとはな」
「しかし。あれだぜ」
 マチアはこれまでの話を転換させるようにして言ってきた。
「ここで調べたりするのもな」
「嫌か」
「嫌かっていうか俺達誰かの謎を調べたりばかりしてないか?」
 ふとこのことに気付いたのである。
「考えてみればな」
「そういえばそうだな」 
 アルフレドも言われてそのことに気付いたのだった。
「じゃあ調べたりするのは」
「ああ、止めておこうな」
「そうだな」
 こう結論付けるのだった。
「そんなことはな」
「それでだ」
 マチアはそのうえでまた話をしてきた。
「あいつの謎はとりあえず置いておいてな」
「ああ」
「レバーな」
 話をレバーに移してきた。
「御前もあれは好きか?」
「牛のレバーはあまり好きじゃないな」
 まずは牛のレバーについて述べるアルフレドだった。
「あれはな」
「御前牛肉いけたんじゃないのか?」
「それでも牛のレバーはあまり好きじゃない」
 こう限定するのだった。
「あれはな」
「そうだったのかよ」
「しかし豚とか鶏とかのレバーはかなり好きだぞ」
「ああ、どっちもいいよな」
 マチアはどちらのレバーも好物なのだった。
「特に鶏な。あれいいな」
「他には羊のもな」
「羊もか」
「あれもいいよな」
 羊は極めてポピュラーな肉である。これは連合だけでなくエウロパでもそうであるしサハラでもだ。サハラでは肉といえば羊である。イスラムの伝統だ。
「羊の内臓は全体的に好きだ」
「というか御前内臓系好きか?」
「実は大好きだ」
 こう答えてニヤリと笑うアルフレドだった。
「いいな。あの独特の味が」
「栄養もあるしな」
 そしてそれはマチアもであった。
「しかも安い」
「サハラでは内臓は食べないらしいな」
「あそこじゃ血も飲まないぜ」
 それもなのであった。しかもこれにはしっかりとした理由があった。その理由が何であるかはもう誰もが知っていることであった。
「コーランに書いてあるからな」
「この前コゼットホルモン食べてたぞ」
 インドネシア人の彼女がだ。なおこの時代においてもインドネシアはイスラムの国である。ムスリムは連合にもかなりの数がいるのだ。
「確か。豚のな」
「こっちじゃそういうの五月蝿くないからな」
 連合のイスラムはこの辺り実にいい加減である。
「っていうかあいつ大酒飲みだろ」
「ああ」
「まあこの辺りはサハラでも飲んでるけれどな」
 サハラでも酒は飲まれているのである。
「この辺りはいい加減か?」
「イスラムでは食べる前にアッラーに許しを乞えばいいからな」
 それだけで済むのもまたイスラムなのだt。
「それだけでな」
「それ考えたら厳格一辺倒じゃないんだな」
 マチアはあらためてイスラムについて思った。
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