第百二十八話 面白ければいいその五
「自己変革って。何でそんなことしないといけないの?」
「あんた、人の話聞いてた?」
流石に今のローリーの言葉にはむっとしたおのを感じていたのだった。
「ちゃんと。聞いてたの?」
「当たり前じゃない。聞いてるよ」
ローリーは平然とこう返すのだった。
「だからこうして話すんじゃない」
「何処がよ。わかってるようにはとても見えないわよ」
「それは主観の相違ってことでね」
あくまでこう言う彼であった。
「そういうことでさ。いいよね」
「よくないわよ。何よ、変えるつもりはないって」
「僕は今の僕が気に入ってるんだ」
だからだというのである。
「だからさ。別にね」
「変える気はないの」
「そういうこと。だから他の人には迷惑かけてないよね」
ローリーはこのこともまた言ってきた。どうやらこのことだけはかなり気を使っているようである。ジュリアにもそれは感じ取られた。
「だったら」
「あのね。あんたね」
「ああ、今日さ」
まだ言いたいジュリアに対して今度は彼から声をかけた。
「風紀部の会議もないし」
「それがどうかしたの?」
「遊びに行かない?それか買い物にでも」
「買い物って?」
「携帯のストラップでもさ」
こうジュリアに提案してきた。
「買いに行かない?どう?」
「そうね」
根はとても明るく流行やファッションには極めて関心の高いジュリアだ。実は携帯のストラップも集めているのだ。だからこの話にも自然と目を向けてきていた。
「それだったら」
「行くんだね」
「ええ、行かせてもらうわ」
さっきまでのお説教は何処に行ったのかもう明るい顔になっているジュリアだった。
「丁度買いたいのがあったのよ」
「そうだったんだ」
「だからね。一緒にね」
顔はさらに明るくなってきている。にこにことさえしている。
「行きましょう。今度のストラップはね」
「どんなのが欲しいの?」
「派手なね。薔薇のストラップがいいわ」
笑顔で語るジュリアだった。
「それ探してたのよ」
「じゃあそれを買うんだね」
「そのつもり。あればいいけれど」
「そうだね、それじゃあね」
そんな話に変わっていた。ローリーの自己変革の話は完全に消えていた。そしてその日の放課後。二人はアクセサリーショップで話をしていた。
「あったわ」
「よかったね」
ローリーはお目当ての薔薇のストラップを見て喜ぶジュリアに対して声をかけていた。アクセサリーショップの中はアクセサリーというよりもアンティークなものでありその内装は古風な、十九世紀の欧州のそれを思わせるものがある。何処かイギリス調である。
「あってね」
「ええ。それにして」
「何?」
「いつも思うけれどこのお店の内装ってあれよね」
ジュリアもそのお店の内装を見回して言うのだった。
「アメリカよね、これって」
「そうだね。アメリカだね」
実は連合においてはこうしたイギリス調のものはアメリカにされたりケルトにされたりする。彼等は十八世紀アメリカ東部のものだと思っているのだ。
「これって」
「レトロな趣味ね」
「ここのお店のマスターの趣味らしいよ」
こうジュリアに説明するのだった。
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