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第百十八話 二人の前世その八
「神様かどうかはね。そこで何かよくないことがあったら別だけれど」
「それ以外は」
「私は私だから」
 またここで己の考えを述べた。
「それでいいのよ」
「そうなの」
「明香はどうなの?」
 自分の考えを述べたうえで妹に尋ねてきた。
「明香は。どう考えてるの?」
「私?」
「そう、明香よ」
 見れば妹に顔を向けて微笑んでいる。背は姉の方が低い姉妹なのでどうしてもこうした形になってしまうのである。一歩間違えれば姉妹が逆に見える。
「どう考えてるの?このことは」
「同じかしら」
 左手を少し拳にして口元に当てて少し俯き加減になって。そうして考える顔になって述べた言葉であった。
「私も」
「じゃあ前世はどうでもいいのね」
「運がいいのは有り難いわ」
 姉と同じ言葉になっていた。
「けれど。それが何かをしなくちゃいけないものでない限りは」
「いいのね」
「ええ。私も」
 姉と同じであると自分でも言うのだった。
「それで。いいわ」
「そう。だったらね、今は」
「今は?」
「早くお家に帰りましょう」
 こう妹に告げる彰子だった。
「今はね。それでいいわよね」
「お家に?」
「そうよ。だってもう夕方よ」
 彰子が次に言ったのは時間のことだった。確かにもう辺りは朱に染まっており夕陽がもう弱くなってしまった光を見せている。本当に日が落ちようとしていた。
「だから。帰ってね」
「カレー?」
「そうよ、作りましょう」
 彰子が言うのはこのことだった。
「いいわね。さもないとお父さん達もお兄ちゃんも帰って来るわよ」
「そうね」
 言われてそのことを思い出した明香であった。
「それじゃあ」
「まずはお米といでね」
「ええ」
 お米をとぐのも忘れないのであった。
「お野菜とか切って。作りましょう」
「わかったわ。それじゃあ今からね」
「そう、お家に帰って」
 またこのことを明香に話す。
「作りましょう、カレーを」
「わかったわ、姉さん」
 姉に対して微笑んでそれから頷く。こうして二人はまずは前世のことよりも今を考えるのであった。さしあたってはそのカレーのことをであった。


二人の前世   完


               2008・12・10
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