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第十五話 いつも前向きにその二
「お菓子食べ放題」
「じゃあ和菓子屋さんなんかはどう?」
「最高ね、それ」
 特に和菓子が好きらしい。
「お茶は日本茶でね」
「うん」
「やっぱりそれがいいわよねえ」
「それじゃあ和菓子屋さん?」
「ううん、どうしようかな」
「それなら、ほら」
 ペリーヌがそっと雑誌を出してきた。アルバイト雑誌である。
「それ読んで選んだらいいわ」
「有り難う、ペリーヌちゃん」
「私も良く使うのよ、この雑誌」
「そうなんだ」
「少しでも実入りのいいアルバイト探す為にね。使えるわよ」
「そういえばきっちりとチェックは入れているわね」
 付箋や折り目が入ったその雑誌を見てパレアナが言う。そうしたところのチェックも抜かりがない。
「成程ねえ。これが実入りのいいアルバイトなのね」
 見れば家庭教師とかそんなものが多い。若しくは肉体労働だ。
「ふむふむ」
「家庭教師かあ」
「彰子ちゃんいいんじゃない?」
 パレアナがふと言ってきた。
「頭いいしさ」
「どうかなあ」
 だが彰子の返事はほんわかしたもので実感のあまりないものであった。彰子らしいと言えば彰子らしいのであるが。
「私やっぱり和菓子屋さんがいいかなあ」
「和菓子屋さん?」
「うん」
 彰子はこくりと頷いた。
「やっぱりそれ」
「わかったわ、じゃあそれでいきましょ」
「そうね」
「和菓子だったらさ」
 ペリーヌがまた言ってきた。
「何?」
「茜がいいわよ」
「ああ、あのお店ね」
 二人もよく知っている店であった。学校の側にあり中々繁盛している。奇麗で和風の店の中が人気である。味も上品でそれでいて安いので評判であった。
「じゃあそこにしましょ」
「茜ね。何か馴染みなのよ」
「そうなの」
「お客様が来られる時はよくそこでお茶菓子買うの」
「へえ、それはまた」
「そこなら私よく知ってるし」
「悪くないわね」
「うん」
 彰子は頷いた。こうして彰子とパレアナは茜にバイトに入ることになったのであった。
「八条学園の娘ね」
「はい」
「宜しくお願いします」
 二人は面接でそれぞれ挨拶をした。和服を着た四十位のおばさんが二人の面接をしていた。
「小式さんのところのお嬢さんじゃないですか」
「どうも」
 彰子はにこにこと彼女に挨拶をした。
「ちょっとアルバイトをしてみようと思いまして」
「お金は?」
「勿論それも。働いてお金を手に入れることの大切さも勉強しようと思いまして」
「いい考えね」
 お店のおばさんはそれに頷いた。
「それじゃあカウンターお願いするわ」
「わかりました」
 こうして二人は正式に採用された。ユニフォームの鶯色の和服を着て店に出る。
「やっぱり似合うわね、彰子ちゃんは」
「そうかなあ」
「私よりずっとね」
 パレアナは自分の着物姿を見て少し苦笑いを浮かべてこう述べた。
「やっぱりこういうのは民族衣装だからかなあ。私はちょっと」
「パレアナちゃん凄く似合ってるよ」
 彰子は苦笑いのパレアナに対してそう返した。
「スタイルいいしさ」
「そう言ってくれるの、有り難う」
「いや、本当に」
 実際のところ二人共スタイルのよさもあり着物姿がかなり似合っていた。そのままコンパニオンをやれそうな程である。だが彰子のそれはもう犯罪的とまで言える程似合っているのであるが。
「それじゃあ二人はね」
「はい」
 おばさんの言葉に応える。
「カウンターで受付してね。大丈夫よね」
「任せて下さい」
 パレアナが返事をした。
「それじゃあお願いね」
「わかりました」
 二人は早速受付になった。カウンターでお客さんの相手をする。
「それじゃ彰子ちゃん」
「うん」
 パレアナが彰子に教える。
「大事なのは笑顔。後は計算間違えね」
「その二つだけ?」
「計算は私がやるから彰子ちゃんはスマイルメインでやって」
「わかったわ。じゃあそれで」
「ええ。頑張っていきましょう」
 だがここで問題点が起こった。彰子自身である。急に可愛い娘が入ったと聞いて客が殺到してきたのである。それも八条学園の生徒達がである。
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